ピサヌロークから冷凍夜行列車でバンコクへ

いよいよスコータイでの最終日がやってきた。スコータイからはバスか飛行機でバンコクに直行するのが一番楽な移動方法だが、乗り鉄と言う訳でもないのに珍しく鉄道に乗りたいという欲望を抑えきれなかったので、一旦ピサヌロークでバスを降りてバンコク行きの鉄道に乗り換えることに。往路みたく立ち席は勘弁なので既に乗車券もしっかり事前に買っている。21:40ピサヌローク発の04:00バンコク着で、バンコク⇒香港のフライトは時間に余裕をみて昼前のCX便を押さえてある。

朝、いつもの通り安室奈美恵を太らせたようなチャーミングな民宿ママさんと朝飯を摂り、後に主人のルークさんが加わって3人でまったり。その後、レンタルバイクの返却期限まで時間があったので、ママさんに紹介された町郊外にあるスワンカローク博物館を攻めてみることに。
ひだり みぎ
が、しかし、無情にも改修工事中につき閉館と…。ママさん…。

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仕方なく博物館周辺に放置されたスワンカローク焼きの残骸の鑑賞を楽しんでからバイクを返却。

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5日間で461キロと結構な距離を走ったが、返却時は特にクレームを受けることも無くデポジットの返金を受け、徒歩でトボトボと民宿へと帰還。そこで、部屋に入る私を見たママさんが一言、「早かったねぇ。」…。

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荷造りを済ませ、ルーク氏にバスターミナルまで送ってもらい、ラオスとの国境・メーサーイから南下してきたピサヌローク行き大型バスへと乗り込む。


こいつがとんでもない冷凍車で、しかも冷風口のツマミがぶっ壊れてて冷風直撃という悲惨な状況。空席があることを確認し、そっと席をチェンジする。


走り出してからも凍える寒さの冷凍車で何の変哲も無い田舎道を1時間ほど走り…


高名そうな僧侶と共にトップランドホテル前で下車、無事に解凍される。香港の地下鉄どころじゃない狂気じみた冷凍具合に怒りすら覚えてくる。ベトナムもそうだけど、南国の人たちって、寒ければ寒いほど極上のサービスで最大限のおもてなしであると考える節があるようだ。

電車の出発時間まではピサヌロークの町をぶらぶら。
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鉄道駅の南側で開かれる夜市でフライドチキンを貪り食い…


食欲を満たした後はショッピング。

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Superdry風パロディーシャツ。極度日本ってなんだよw。


小さな町なんですぐに手持無沙汰になり、鉄道駅近くで適当に見つけたバーに入ってみる。寝酒の力を借りて鉄道移動中に爆睡したいのだ。

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ここが大正解。後で調べたところによるとAmarin In Townというバーらしいのだが、クラフトビールや輸入もんビールも多く取り扱っている。まさかこんな片田舎でデシューツやのIPAが飲めるとは思わなんだわ。しかも、クラフトビール270バーツ、ラオビール80バーツと値段も良心的。鉄道駅から徒歩2分と立地条件も良いですし、夜行列車でピサヌロークから移動される方、寝酒にはコチラをお勧めします。

そんなこんなで時間を潰し、出発15分前にピサヌロークの鉄道駅へ。
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バンコクを目指す人々が集結していて賑やか。若者の皆さんは大志を抱いた夢追人で目標をもって上京するんだろうな、夜行列車出発前の夜だというのに目が良い意味でギラギラしてる。おっさんは完全にお眠でっせ。


鉄道に乗り込み、ドアを開けてビックリ。スコータイから乗ったバス以上にギンギンに冷やされてやがる。エクストラ・コールド。容赦ない冷気が体を襲い、溜め込んだ眠気は一気に吹っ飛んだ。早朝着だったので乗車して直ぐに就寝予定だったのだが…。


着席して出発するなりバスタオルのようなブランケットとドリンクにスナックが渡され、直ぐに消灯。

ここで寝たら死ぬぞ!という雪山での遭難シーンが頭を巡ってか、どうにもこうにも寝付けない。真冬に全裸で外に放りださせるくらいの拷問、完全に凍てつく夜だ。
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結局、列車は予定より早い03:40にバンコク・フアラムポーン鉄道駅に滑り込み、ほぼ無睡のまま冷凍拷問を終える。このまま空港に直行して香港へと戻り、翌日から通常通りの勤務という荒行だ。旅の疲れもどっと出て、残りヒットポイント1という衰弱しきった状態で翌日から仕事とか考えたくも無い悪夢である。

ピサヌロークからバスでスコータイへ

本日はピサヌロークからバスで1時間の距離にある世界遺産の町スコータイへ。

スコータイのバスターミナルは町の郊外にあるが、市内中心地の停留所でもピックアップしてもらえるので、わざわざバスターミナルまで移動する必要はない。


停留所はトップランドホテルから国道12号線の大通りを西に100メートルほどいった所にある。簡易な作りの停留所でバスの時刻表も無いので、見落として通り過ぎぬよう注意が必要。


一般的にスコータイというと世界遺産のある旧市街の歴史公園とは12Km離れた新市街地にあるバスターミナル行きとなるようだ。新市街地から歴史公園へのソンテオもあるが、乗り換えが面倒。直接旧市街へアクセスしたい場合は、歴史公園のど真ん中を突っ切るターク(Tak)行きに乗って歴史公園で途中下車すれば良い。


10分ほど待ってやって来たローカルバス。車掌的な人にスコータイ新市街地で下車できることを確認してから乗車する。運賃は39バーツ(≒120円)だったかな。欧米と違ってバス・鉄道での移動にかかる交通費が格安なのはアジア旅行の魅力の一つ。


シートピッチは体の小さなタイ人の利用を想定して決めれたのだろう、気持ち狭い。

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ただでさえ狭いシートピッチが前の座席がリクライニングして更に狭くされたところでバスが発車、車窓の外には見渡す限り緑一杯の田園風景が広がってくる。一見すると何の変哲もない農村地帯の一風景だが、この国道12号線は南シナ海に面するベトナム・ダナンからラオス・タイを経てインド洋に面するミャンマー・モーラミャイン迄の全長1,450キロを繋ぐ東西回廊の一部。ゆくゆくは新たな生命線として、ミャンマーから更に西のバングラデシュやインドへと繋がっていくであろうアジアの大動脈なのである。


NNAさんから借用した地図。昨晩は閑散としていて廃れた町という印象が残ったが、こうしてみると緑線の南北回廊と青線の東西回廊が交わるピサヌロークは確かに交通・通商の要衝である。


そんな国道12号線をミャンマー方面に一時間ほど走り、スコータイ新市街のバスターミナルへと到着した。

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町の規模は小さいスコータイだが、そこは腐っても世界遺産の町。バンコク・アユタヤ方面・チェンマイ・コーンケン・ピサヌローク・ミャンマー方面などなど、東西南北の主要都市へのバスが頻繁に行き来しているようだ。一部タイ語での記載になってしまっているが、主要バスの時刻表・運賃一覧表を載せておく。


こちらは新市街バスターミナルからスコータイ各地へのソンテオ運賃表。新市街地までは15バーツ、旧市街地までは30バーツとなっている。営業時間が17:30迄という点に注意したい。


運悪く営業時間外にスコータイに到着した場合、電動三輪車またはトゥクトゥクを貸切ることになり、旧市街地まで150バーツと晩飯一食分くらいの現金が吹っ飛んでしまう。

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小生は一旦ホテルで荷解きしたいので、市内方面行きの乗り合いバスに乗車。市内⇔新市街バスターミナルは3Kmの距離で、ソンテオの運賃は先述の通り15バーツと経済的。


特にバス停などは無く自由に乗車下車できるようだったので、運転手に予めホテルの地図を見せておき、近くに差し掛かった地点で降ろしてもらう。タイ語を喋れずとも地図を見せただけで察してくれたので助かった。


スコータイでのお宿は民宿Baan Georges。国道12号線から伸びる脇道の奥の奥の方にある。

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大通りから400メートルほど進み…


発見!2015年の年越しはここで迎えることになる。



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【2016年スコータイ・ピサヌローク旅行記】















田舎町ピサヌロークの夜

夜、特にあてもなくピサヌロークの町を探索してみることにする。

先ずは町で一番賑やかであろう鉄道駅前へとペダルを漕ぐ。昼間の殺人的な暑さが嘘のように過ごし易く、チャリで走っていると薄ら寒く感じる程に気温が落ちている。20℃切ってるくらいじゃなかろうか。
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町に出てみると電飾が派手に飾られてキレイなのだが、おかげでそこらじゅうから虫が光に誘われ集ってしまっていて、足を止めた瞬間に虫の標的となる。まぁ足を止めて見たいと思えるような店も無いので良いのだが。駅の周辺っていっても簡単な衣類の店、飲食店、ゲストハウス、金物屋等がゴチャゴチャと並んでいるくらいで、観光客として楽しめるような所は殆どといって良いほど無いんで。強いて見所を挙げるなら駅の西側に小規模なマーケットがあるくらいかな。


続いて、ナイトマーケットが開かれるというナーン川の畔へと向かう。

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服・下着・アクセサリーなど衣料品関係の露店が中心に幾つか並んでいるが、チェンマイやバンコクのナイトマーケットのような市場全体に渦巻く活気・熱気は無く、非常に廃れてしまっている印象。


買い物は諦め、川沿いのバーに腰を下ろしてビールを頼む。忙しい企業戦士にはこういった「何もせずにゆっくりしてビールを飲む」という充電時間は最高の贅沢であり、夜風にあたりながら川辺で黄昏ながら飲むチャーンビールは格別に美味く感じるもの。


ピサヌロークはタイ北部ナーン地方に源を発すナーン川が形成する扇状地の扇端部に位置し、北方はナーン川を遡上してラオスと国境を接する北部タイのナーン地方と繋がり、南方にはチャオプラヤ川を下りアユタヤやバンコク経由でタイ湾に出ることができる。また、ピサヌロークの西方には世界遺産の町スコータイやミャンマーが位置し、東にはラオスのヴィエンチャンや遠くべトナムとも陸路で繋がる。このようにピサヌロークはインドシナ半島の南北回廊と東西回廊が交差する交通の要衝に立地しており、現代においても北中部タイ地方の中心商業都市として発展 を遂げている…とジェトロかどっかのテレビ番組で紹介されていた。それが、この日のこの廃れっぷりはどうしたもんだろう。皆、正月休みで出払ってしまって蛻の殻にでもなっているのだろうか。

川辺の露店でビールを一杯飲み、自転車を押してホテルに戻る途中、規模は大きくないながらも賑やかなバーストリート的な一角を発見。

トップランドホテルから西に100m程いった所に3-4軒ほどの西洋風バーが立ち並ぶ。

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中からは威勢の良い音楽が聞こえて賑やかだが、決して大勢の客で賑わっているという訳ではなさそうだ。


幾つか並ぶバーの中から、ライブミュージックが楽しめるSur Barに入店。豹柄パンツのセクシー女性がグラスにビールを注いでくれて良い感じで、客が一人なもんでライブミュージックを独り占め。


他にやることもなく、大瓶ビール一本で1時間くらい粘っちゃいました。チップやカバーチャージも無く、ビール代80バーツのみの明瞭会計。

鉄道でチェンマイやバンコクからスコータイへ向かう場合は必ず立ち寄る事になるピサヌローク、非常に小さな町なので見て回るには1日あれば十分だ。



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【2016年スコータイ・ピサヌローク旅行記】






元軍人さんが管理運営するピサヌローク民俗資料博物館

鉄道駅から10分ほど南にペダルを漕いだだろうか、鉄道駅に掲示されていた観光マップ内で紹介されていた民俗資料博物館に到着した。なんでもピサヌローク出身の学者さんがタイの各地から集めた民芸品やらを展示した個人収蔵の民俗博物館らしい。公的な博物館なのか自称博物館なのか知らんが、他にやることも無いのでちょっくら見てきましたよ。

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50バーツを支払い博物館の中へ。どっかの大学教授を務めるターウィー博士が管理運営している博物館と聞いていたが、正式名称は「Sgt. Maj. Thawee Folk Museum(ターウィー上級曹長の民俗博物館)」だと。教授じゃなくて軍人じゃないか!


野外展示にはターウィー曹長が1,200バーツで買って出社用に使っていたチャリや2,500バーツで買った三輪車などが並んでいる。わざわざ購入金額まで書かれていて生々しい感じだが、中学生くらいの文法で間違いだらけながらも英語での説明書きがあるのは非常に助かる。

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古民家風のこじんまりとした建物木造の中にはターウィー曹長が20年以上かけて集めた約1万点にも及ぶ収集品が並んでいる。展示品は伝統的な生活用品や民具・農具・楽器・寝具など多岐にわたっていて、なかなかどうして楽しめる。

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こいつら、何だと思います?農耕具の一種かと思ったら、ネズミ捕り用のトラップだって。


こいつも何かしらの獲物を捕獲する為の道具だろうが、漁具かな?無造作に床に放置されているのが何だかウケる。

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これらは木製の枕かな?英語による解説は全展示物に備わっている訳ではないので想像力を働かせて考える必要があるのだが、それが逆に面白くて見ていて飽きない。

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タイの農家の生活風景を再現したセット。タイのの農村地方の暮らしぶりが窺い知れる面白い展示物だ。

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お土産として売れそうな物も。

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写真コーナーの1枚。2002年のミス・タイランド。ピサヌローク生まれだそうだ。

どっかの教授の自己満足程度の展示内容だろうと期待はしていなかったが、意外に楽しめる内容で嬉しい誤算だった。自分の学術的興味からとはいえ、ようこんなん私財投げ打って非営利でやりよるわい。尊敬する。リピートする程のものではないとは思うけれど、ピサヌロークで空き時間があればチャリで寄ってみるくらいの価値はあるかと思います。

【ピサヌローク民俗資料博物館】

住所:20/138 Wisutkasat Rd.
電話:+66 55 212 749
営業時間:8:30~16:30
入館料:50バーツ



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【2016年スコータイ・ピサヌローク旅行記】






ピサヌロークの町をレンタサイクルでウロウロ

特に観光名所の無いのんびりとした田舎町ピサヌローク。世界遺産のある世界的観光名所であるスコータイへの中継地点だけに町の中では観光客の姿も時折見かけるが、町の規模は非常に小さく、ゆっくりと南北に流れるナーン川から鉄道駅を中心に市街地が申し訳程度に広がっている程度。本当に見所らしい見所の無い平凡な所なんだけど、折角なんで自転車をレンタルして町を徘徊してみることに。

レンタサイクルはトップランドホテルの目の前にある旅行代理店で借りることができる。
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すっごい生活感があって入るのが憚られるような店内で契約を締結。24時間レンタルで100バーツだったかな。他に原付が200バーツで、シビックが1700バーツで貸し出しているようだが、ピサヌローク市内を見て回るには自転車で十分。


残念ながら自転車の種類は選ぶことができず、シマノ製6段変速ギア搭載のマウンテンバイク一択だった。カゴ付きのママチャリの方が便利なんだけどな。

ギアの機能やタイヤ・チェーン・ペダルに問題が無いことを確認し、いざ出発。
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出発と言っても目的地がある訳ではないので、適当にナーン川の対岸へ渡って川沿いを流してみることに。ピサヌロークの名刹ワット・プラ・シー・ラタナ・マハタートやナイトマーケットもナーン川に面してるし、この街を歩く時の大きな目印になる川なんで、川沿いに走ってりゃ何か見所に引っかかるだろう。


典型的なタイの地方都市といった平凡な街並みの中を川に沿って南下。


すると、急に視界が開けて鬱蒼な緑に包まれた遺跡が見えてきた。


中途半端に再現されたこの遺跡、地図にも載ってないので名称は不明。今では寂れた一地方都市に過ぎないピサヌロークだが、嘗てはクメール帝国による統治時代から政治的・軍事的に重要な都市として栄え、スコータイ王朝時代には首都になったこともある古えの都。探せば幾らでも嘗ての繁栄の跡を見つけることができるのかもしれない。


タイでは様々な姿形を表した仏像を見かけるが、この遊行仏はスコータイ王朝が独自に創出したものらしい。悟りを啓いて仏陀となられた御釈迦様が意を決して初めての説法に出かけるための第一歩を踏み出した瞬間の動的姿を表したものらしいが、どことなく表情が冴えない気が…。よく見たら両足が揃っていて未だ第一歩を踏み出せてない!遊行仏じゃなくてただの立像だった。

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何の説明書きも無く残された何百年前の遺構が子供の遊び場と化してるんだから凄いわ。ピラミッド風建築物に登ったりかくれんぼしたり。地元民にとってはアスレチックパーク感覚なのかな。


遺跡を歩き回って疲れたんで、遺跡の前を流れるナーン川の畔で休憩。ナーン川ってチャオプラヤーの最大支流の一つらしいけど、すっごく流れが緩やかで、もう少し下流に行けば水上生活者もいるそうだ。

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川沿いで暫し物思いに耽った後は、町で一番賑やかな鉄道駅周辺をぶらついてみる。まぁ賑やかと言っても交通量も多くなくのんびりしたもんですがね。ロータリーの中心に設けられたクリスマスツリーだけは気合入ってますけど。


駅舎の左右にはちょっとした商店街になっていて、衣類や生活用品を扱う個人経営の小店舗が並んでいる。


ベタなパンツを100バーツで購入。このパンツ、軽いしかさばらないし旅行中は重宝するんですよ。使い捨てだと思えば幾らでも汚せるし。

ひだり みぎ
漫画屋なんかもあったり。品揃え凄すぎだろ。今日から俺はの全巻セット、日本語版あったら買いたかったわ。



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【2016年スコータイ・ピサヌローク旅行記】