ジョグジャカルタからスラカルタ(ソロ)へ

ジョグジャカルタでの7泊があっという間に過ぎ、ジョグジャを離れる日がやってきた。次なる目的地はジョグジャカルタと共にマタラム王国の王位継承争いにより分裂した王家が拠点とし、マタラム王国の宮廷文化の中心を担ってきたスラカルタ(ソロ)。今では消滅してしまったマタラム王国の王都として栄えた古都で、バティック、ガムラン音楽、影絵芝居、ジャワ舞踏など伝統文化の中心地としてインドネシアの伝統芸能を育んできた文化都市である。ジョグジャカルタやバリなどに比べてソロは観光地としては目立たない存在だが、観光地化してしまったジョグジャカルタに比べ、ソロはまるで忘れられた土地のように古都としての姿をそのまま残して独自の発展を遂げてきたそうだ。ジョグジャとソロは京都と奈良の関係に似てるのかな。

移動はジョグジャのトゥグ駅からローカル列車にて。ジョグジャからは1時間程度で着くようだ。小心者の小生は当日券が買えないことを危惧し、出発前日にソロへの乗車券を買い求めにトゥグ駅北口の主玄関へと向かった。
ひだり みぎ
1887年開業と非常に歴史のある駅だ。


立派な洋館のような駅舎で、小さいながらも電光掲示板まで付いている。


カスタマーサービスで入手した時刻表。ジョグジャからソロまでは一日13便も出てるじゃないですか! これなら乗りっぱぐれる心配はないだろうが、折角来たので明日の乗車券を押さえておくことに。
チケットカウンターにて乗車したい列車の出発時刻を伝えると、発券は出発3時間前からとのこと…
「満席にはならないからさ!ドンマイ」的な慰めを受け撃沈。完全なる徒労に終わる。

翌朝。

チェックインを済ませ、ホテル前に待機していたヤル気の無さそうなベチャ運転手に駅まで送ってもらうことに。思いっきり悪人面だけど、一応はホテル専属のベチャだし安心だろう。

しかも、ベチャステーションにはフェニックスホテルから主要目的地への運賃が明記されているし、これなら法外な運賃を吹っかけられる危険性もないだろう。

ここまで安心要素があっても簡単に裏切ってくれるのが当地のベチャ運転手。トゥグ駅まで50,000ルピアとか、全くもって訳の分からぬ商売話を持ち掛けてくる。マリオボロまで20,000ルピアなのにマリオボロの手前にあるトゥグ駅まで50,000ルピアとは一体どういう了見だ。抗議をするとあっさり20,000ルピアに訂正するあたりも許し難い。地理感覚の分からないであろう外国人を狙ったあからさまなボッタクリ、朝から感じ悪いなぁ。

坂道をスイスイと走る悪徳運転手に運ばれ、5分程でトゥグ駅へと到着した。が、ソロ行きの発券窓口と改札口は線路の反対側の南口ですよ、と。…昨晩チケットを買おうとした時に時に教えてくれよ。

南口は洋館造りの北口と比べたら大分見劣りする大きさで、大観光地とは思えないほどこじんまりとした駅である。

駅の入り口脇の小屋にあるチケットカウンターで何も言わずにお金を出すと、何も言わずに切符とお釣りを返された。まるで自動販売機のようだ。

ジョグジャから70キロ離れたソロへの鉄道運賃は8,000ルピア(≒70円)。ホテルからトゥグ駅までの数百メートルで50,000ルピアと吹っかけてきた運転手の強欲さを強調するかのような良心的価格設定だ。

入口で駅員に乗車券を見せて構内へと進む。

思ったより全然立派な駅構内。プラットホームは1-6番線の計6つで、1-3番線と4-6番線の間にATMやキオスクが設置されている。

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入線してきた09:10ジョグジャ発のPRAMEKS276号。ジョグジャ―ソロ間は今回乗るPrameks号とSriwedari号がピストン運行しているようだ。頻繁に運行しているので乗車券を事前購入する必要も無い(というか、できない)。

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清潔な車内には4人かけボックスシートが並び、端っこだけ2人かけ席が向かい合って並ぶ。時間には正確なようで、定刻通りに出発した。


トゥグ駅では空席も目立ったPrameks号だが、次のルンプヤンガン駅とマグウォ空港駅であっと言う間に満席となった。 満席も満席で、地べたまでもが座席といった有様だ。


大量の乗客が乗り込んできたタイミングで車掌と短剣を腰に据えた警察によるパトロール。


ジョグジャを出て一時間、古き良きインドネシアの王朝文化が息づく古都ソロ・バラパン駅に到着する。ジョグジャのトゥグ駅もそうだったが、ホームの床は大判のタイルが張ってあり非常に清潔で、キオスクなんかも出店してる。

ひだり みぎ
やってきましたスラカルタ。


駅を出た瞬間に運転手軍団に囲まれる。


駅前にはベチャが並び、地方都市の佇まいを見せるソロ駅。出口で積極的に営業をするような強欲・強面系はもう勘弁なので、奥まったところで行儀良く座っている控えめなオジサンと交渉すると、滞在先のMギャラリーホテルまで20,000ルピアで行ってくれることに。

ここのベチャは人力で移動速度は時速10km程なので、街を見学するには便利な交通手段。バイタクとも違って前方に座る形になるので、日常より目線が低く視界が開けるのもゴーカート感覚で楽しいし。

守りたい、この笑顔。

鉄道駅から20分くらい走っただろうか。お爺さんに漕いでもらったので、途中で何度も健脚なベチャ運転手に抜かれながらもMギャラリーホテルに到着した。炎天下の中を1回りも1回りの年が上の長老に20分も漕いでもらい恐縮だったので、少し多めに運賃を支払ってサヨナラする。すると、ホッコリ笑顔でチップを謝絶して、言い値の20,000ルピアだけ受け取ろうとする誠実なお爺さん。ソロ到着20分でいきなりこの町が好きになりました。



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【2015年ジョグジャカルタ・ソロ旅行記】












シェラトン ムスティカ ジョグジャカルタ宿泊記

ジョグジャ初日はプランバナン遺跡群を見て回り、16:00過ぎにホテルへと帰還。思えば昨晩の深夜便で香港を経ってから殆ど休んでいないので、慢性的睡眠不足や暴飲暴食など日頃の不摂生で弱体化した老体は既に疲労困憊で悲鳴を上げてしまっている。ということで夜はシェラトンでゆっくり休んで体力回復を図ることに。

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プランバナンとジョグジャ市内を結ぶ幹線道路からジャワの大宮殿かのようなエントランスの姿が見えてくる。外観デザインは非常にユニークで、とてもシェラトンとは思えない。恐らく運営受委託方式のホテルで、土地・建物のオーナーは地場の資産家とかだろう。


大通りに面したエントランスからホテル棟への長ーいアプローチ。ロビーが7階にあるので軽いスロープになっている。


スロープを登りきり漸く辿り着いたシェラトンムスティカジョグジャカルタ。ジャワスタイルの宮殿と古代遺跡が融合したような特徴的な外観になっていて、シェラトンと言うよりは地元の豪奢な名門リゾートホテルといった趣だ。

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ロビーは大理石のフロアと巨大シャンデリアでジャワ宮殿の豪壮さが表されている。やっぱりホテルというよりはジャワ王族の旧居館といった雰囲気なんだよな。普通に現国王が住まうジョグジャ王宮の建物より立派だから笑えてくる。

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絵画も独特の感性の作品が集まっていて、趣味の悪い芸術品の収集癖がある富豪の館のよう。

チェックインはスムーズ。スタッフは安心のシェラトン水準で、素晴らしいホスピタリティで迎え入れられた。アサインされた部屋は二階のジュニアスイート。84㎡だと。
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ドアを開けるといきなりリビング。極寒のエアコン設定に体がビビる。

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一人での滞在には勿体ない、ゆったりとしたスイートルーム。

リビングとは仕切られた独立したベッドルーム。キングベッドの向かいにはTVや書斎用デスクなど一通りの設備が備わっている。
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上品なジャワ風建築デザインとインテリアに囲まれながら心身共にリラックスできる。これで一泊税込7,000円程度と、過去に滞在して来たホテルを含めてもコスパは上位の部類に入ってくる。

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シンプルな洗面台回り。


独立したシャワーブース。

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くっそショボイ有料ドリンクバーにウェルカムフルーツ。


バルコニーからは中庭とラクーンが見える。ラグーンに直接アクセスできる部屋もあるようだ。小鳥さえずる良い雰囲気で、日にあたりながら読書をするには最適。ただ、モスクも近くにあるらしく、朝の4時にはホテルの外からお祈りの声で起こされるのがマイナス点。これを異国情緒と考えられれば問題ないけれど。懸念していた飛行機の離発着の音は気にならなかった。

適当に体を休めた後、中庭にある屋外プールに行ってみる。
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中庭プールは水路のようになっていて遺跡風。ホテル館内の随所にジャワ宮殿風要素が散りばめられていて、非常に面白いコンセプトのホテルかと。砂利が混ざっていて水質が良くなくリゾートホテルとしてはイマイチ評価になるけれど、この宿泊費なら観光ホテルとしてのコスパは十分だ。


最上階から俯瞰すると、プールの設計はジャワの密林に埋もれた遺跡のようになっている。やっぱりホテルというよりジャワの王宮に泊まっている気分になる。

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独特な建物のデザインや熱帯植物が生い茂るステキな庭園は遠く異国の地に来たという気持ちを昂めてくれる。

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どこのマヤ王国ですか。

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建物は口の字状になっていて、建物の中央には開放的な吹き抜けの中庭がある。

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夜も王宮の気品を漂わせてる。

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ショックだったのはコレ。夜、湯船に浸ろうと思ったら…どんなに蛇口をひねっても流れ出てくるのは黄色い水なんだが、給水菅はどうなってるんだ!濁り湯かよ!

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クラブラウンジは設備的には古くて即時改修が必要な面も多々あるが、スタッフは常時全力ホスピタリティを見せてくれるし、カテゴリー1のホテルとしては十分すぎる。

【ラウンジ営業時間】
・07:00-23:00
・朝食:07:00-10:00
・カクテルアワー:17:00-20:00

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他にオーダー制でオムレツ・スクランブルエッグ・卵とチーズのサンドイッチ・ワッフル・パンケーキ・フレンチトースト等も頼むことができる。

唯一の欠点は繁華街へのアクセスの悪さだけど、ホテルとマリオボロを結ぶシャトルバスを利用できるので余り不便さを感じることはなかったかな。空港⇔ホテルの車移動も無料なので、ジョグジャ初日や最終日におススメです。
【シャトルバスの時間】
ホテル→プランバナン 08:00・18:00
ホテル→マリオボロ 10:00・13:00・16:00・19:00
マリオボロ→ホテル 13:30・16:30・19:30・21:30

シェラトン ムスティカ ジョグジャカルタ SHERATON MUSTIKA JOGYAKARTA Resort and Spa


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住所:Jl. Laksda Adisucipto KM 8,7 YOGYAKARTA YOGYAKARTA,INDONESIA
電話:62274 488588
空港から車で5分、プランバナンまで15分。



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【2015年ジョグジャカルタ・ソロ旅行記】






























プラウィサタ劇場でのラーマーヤナ舞踊劇

トゥグ駅で翌日の鉄道の乗車券を買うのに失敗した後は、ベチャに乗ってラーマーヤナ舞踊劇の会場であるプラウィサタ劇場へと移動する。ラーマーヤナはマハーバーラタと並ぶ古代インドを代表する長編叙事詩で、ヒンドゥー教の広がりとともに東南アジアへと伝わり、その土地土地で様々な形の芸術や芸能として育まれてきた。

カンボジアのアンコール・ワットの浮き彫りやバリのケチャダンスなど、現代でも定番観光地で様々な形態のラーマーヤナ芸術が披露されているが、ここジョグジャカルタではインドネシアの民族音楽ガムランの調べにのせた舞踊という形でラーマーヤナ物語が表現されている。

舞踊会場は町の東にあるプランバナンと南にあるプラウィサタ劇場の2箇所。トゥグ駅からであればプラウィサタ劇場の方が近いので、今宵はプラウィサタ劇場でラーマ王子とそのシーター姫を中心に展開される愛と冒険の物語を鑑賞することに。

トゥグ駅からの道中、王宮北広場の一角でジョグジャギャラリーというアート作品の展示会場を見つけたので立ち寄ってみる。

自動車にまつわる芸術作品が展示されているようだ。


真っ白い壁に真っ白い天井真っ白いタイルという真っ白な空間にポツンポツンと置かれた作品たち。

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主要な展示品は車のガラスにエナメルを塗ったアートのようだが、やたらとアレな感じの革命家ばかりが描かれてるのは何なんだ。ヒトラーなんかちょっと優しそうなパパみたいなテイストで描かれてるし。


勿論、偉大なる毛様もいらっしゃいます。前髪の後退具合や嫌らしいニヤケ面がよく表現されているが、自動車用ガラスに描くアート作品の題材として彼を選定する意味はやっぱり分からない。


道草を食いながらジョグジャ市内を南下し、開演20分前に到着したプラウィサタ劇場。300,000ルピア(≒2,500円)チケットを支払い入場する。


大邸宅の中庭のような劇場内広場の一角ではディナーパーティーが催されている。入場料以外に+120,000ルピア(≒1,000円)を払うことで開演前にビュッフェを楽しむことができるようだが、食事を済ませてきた小生はショーのみを楽しませてもらうことに。

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ショー会場は野外ステージなんで開放感に溢れ、吹き抜ける爽やかな夜風が気持ち良い。激しい戦士の舞、優雅な女性群舞、闇にきらめく瞑想の舞…多様な舞と壮厳なガムランの音色により演出される古代インドの愛の叙事詩が目の前で繰り広げられると思うと自然と気持ちが昂ってくる。

半円形の劇場内部は三方向からステージを見られるよう階段状の椅子席が配置されていて、舞台に向かって左手奥にはオーケストラ・ピットさながらにガムラン楽団が陣取り今や遅しと出番を待っている。

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定刻になると照明が大きく変わり、アナウンスと共に開演する。客入りは2割程度か。殆どがディナーを終えたばかりの白人団体客で、ディナー不参加の小生は一足早く会場入りしたことから上席を確保することができた。

舞台袖で奏者達が奏でるガムランの独特の音色にのって艶やかな化粧に身を包んだ踊り子たちが踊り、ガムラン・バレエといった趣でゆっくりゆっくりとストーリーは展開されていく。
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ぎこちないカクカクとしたマイムを見せる悪党一味。


バレエの公演のようにセリフは無いが、何も語らずとも悪党顔。

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そこに登場、ラーマ王子。紀元前6世紀頃のコーサラ国の王子として生まれたラーマ王子はガンジス川流域にミティラー国の王女シーターと結婚。その後12年の間、二人は幸せで平穏な日々を都で過ごしていた。

ラーマ王子、ラーマの義弟ラクシュマナ、シーター姫。

コーサラ国のダシャラタ王からラーマが王位を継ごうとした時のこと、ラーマではなく自分の息子を王位につけたいと考えた第二王妃の陰謀によりラーマは国を追われることとなり、ラーマ、シーター、ラクシュマナの3人は人里離れた森で暮らすことを余儀なくされる。

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素晴らしい美貌の持ち主のシーター、その美しさはランカー島の魔王ラーヴァナの目にとまり、シーターを我が物としたい魔王はシーターの誘拐を画策。魔王に説き伏せられた誘拐実行犯は金色の鹿に化け、無邪気な鹿に気を許したシーターは拉致監禁されてしまうことに。ラーヴァナ魔王さん、手口が強引だなぁ。クッパとマリオとピーチ姫のストーリーかよ。

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悪党に捉えられたシーター姫、ラーヴァナ魔王の求婚を頑なに拒否。

シーターを助けるためランカー国へ向かうラーマは、猿族の国を通過。猿の王スグリーヴァはラーマの身の上を聞いた上で悪党制圧に加味する事を約束するが、スグリーヴァは兄のヴァーリンと王位を巡って戦争中で、直ぐにランカーへの派兵をすることができない状況にあった。どこの国も王位継承問題ばっかりw

猿王スグリーヴァと兄ヴァーリンが互角の戦いを繰り広げていたところ、ラーマは背後からヴァーリンを討ち取ることに成功する。ラーマに感謝したスグリーヴァはは猿の軍勢を預けることに。この猿の軍の将軍がかの有名なハヌマーンである。

1つ1つのエピソードが詳細に描かれており、登場人物の衣装も華やかにすることで見物客を飽きさせない工夫をしているようではあるが、ここかへんから旅疲れと眠気を誘う音楽、暗い照明により、眠気を断つのに必死。


一足先に単独でランカー国へ偵察へ向かった勇敢な将軍ハマヌーン、ラーヴァナの一団に囚われるも命辛々ランカー島を逃げ出すことに成功する。

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ハマヌーンからの偵察情報を得たラーマは、自らランカー島へ行き魔王ラーヴァナと決闘することに。戦闘シーンでは役者が屋根から塀から登ったり飛び降りたりと舞台を目一杯に使ったアクロバティックな演技が展開されるが、自分は眠気との戦いで一杯一杯。

魔法の武器でラーマを攻め立てるラーヴァナに対し、追いつめられたラーマは起死回生の必殺の矢を放ち、大激戦の末にラーヴァナを倒して羅刹の国ランカーは滅亡する。

遂にシーター姫と再会したラーマ王子。単純な勧善懲悪劇で王子が姫を取り戻してこれでハッピーエンドかと思いきや…

魔王の国に長く捉えられていたシーターの貞操を疑い懊悩する王子、なんと姫に対して無情にも「火の中に飛び込め」と言い放つ。

最後にまさかの展開が待っていた。


葬送の火を準備するラーマの弟ラクシュマナ。シーターは火に近づき、火神アグニにこう呼びかける。
「もし私のラーマへの愛がまったく純潔でありますならば、私をこの火焔より守らせたまえ」
シーターは火を一巡し…
結末は自分の目でお確かめ下さいw


劇終了後、主役達との記念撮影タイムが設けられ、我先にと舞台に上がる見物客。劇の中では気にならなかったけど、王子も姫も近くで見たら結構なご年齢で…

正直、一回見れば十分な内容かな。旅行も終盤で疲れていたのもあったのだろうが、演者の技術の練度もまだまだだし、芸術と言うより衣装の凝った村芝居、学芸会に毛が生えた程度くらいの印象しか残らなかった。少なくとも300,000ルピアの観賞料金には値せず、かな。市内中心街から離れているし、無駄にストーリーが長いので一晩まるまる使うことになりますしね…



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【2015年ジョグジャカルタ・ソロ旅行記】






























ディエン高原の不思議なカルデラ湖

神々の聖所・ディエン高原には火山活動により地盤がなべ状に陥没して形成されたカルデラ湖や池が多く点在し、中には湖面の色が七変化する不思議な湖もあるらしい。
その名もワルナ湖。ワルナとは『色』の意味で、天気や時間帯、光の当たり方によって湖面の色が七変化するとのことなので、日本で言うところの五色沼といったところだろう。

ワルナ湖一帯は自然公園的な観光地になっていて、中に入るのに入場料を徴収される。それがなんとまぁ100,000ルピア!最初、聞き間違いだと思ってシレーっと10,000ルピア札を渡したところ、思いっきり苦笑いされて100,000ルピアと訂正される。湖ごときに100,000ルピアとか…引き返そうかとも考えたが、「迷ったらGo!」が旅の掟。渋々入場料を払って中へと進む。

ストリートミュージシャンの奥に顔を出すエメラルドグリーンの湖水を湛えたワルナ湖。

見物客は2-3人程度なのにテーマパーク化してるのか、世界的有名人がお見えになっていた。ジャワ島中部の人里離れた山奥でも営業活動とは!手広くやってんなー、○ッキー!でも、顔がどこかお疲れ気味で、目が死んでいる。高山病にでも罹ったかな。

通常、着ぐるみは子供たちの夢を壊さないように中の人は声を出さないのが暗黙の了解であると思うのだが、ここの着ぐるみは普通にインドネシア語で何か喋りかけてくる。くぐもったおっさんの声で。


○ッキーによる演出はさておき、美しい段々畑の丘に囲まれ美しい花々が咲き乱れるワルン湖畔は中々に神秘的。シキダン地熱地帯での泥湯が煮えくり返る地獄の釜の光景と神秘的で美しく幻想的な湖の趣、その対比がまさに『天国と地獄』のようである。

ひだり みぎ
あれ?どの角度から眺めてあんまり湖水の色が変わらないようだんだが。自分の色彩感覚が鈍いのか?それとももう少し近づいたら良いのか?水面近くまで歩いてみる。すると…


ずぼぉぉぉ!!!?????。


最悪。水の通り道的なところを踏んでしまったのか、地面が思いっきり陥没してスニーカーが硫化水素臭まみれでお釈迦になる。片足だけで済んでラッキーだったと考えよう。


入り口脇の有料公衆便所(1,000ルピア)で泥を洗い落としてからワルナ湖の奥へと進んでいく。うっすらと霧が立ち込める中、硫化水素の匂い漂う森と湖は今にも妖怪が出てきそうで、西遊記やら妖怪道中記の雰囲気を楽しめる。


稲のようなカヤツリグサ科の植物が生い茂る奥に鏡の湖と呼ばれるプギロン湖がある。


視界が開けたところに出現したモスグリーンのプギロン湖。風による細波のせいで鏡のようではなかったが、緑に縁どられて美しい湖である。澄んだ青空、湖の美しさ、自然の緑…ここも中々のパワースポットだ。

プギロン湖からワルナ湖に戻る途中、湖畔の一角に幾つかの火山性の竪穴型洞窟を発見。その昔、ヒンドゥー教の僧達やジャワの歴代王達が修行・瞑想に使用したと云われる聖なる洞窟が点在するようだ。
ひだり みぎ
井戸の洞窟と馬の洞窟。こんな人里離れた高原の山の中で古代から人は静かに瞑想していたのかと思うと妙に感慨深くなる。古代の人は自然や天への畏れあるが故に、神聖な場所やパワーのある場所を見分ける力に優れていたのだろう。


故スハルト元大統領も瞑想に訪れたとされるセマル洞窟。残念ながら柵があり中に入り込めないようになっている。
しかしまぁ、最高の富と権力を30年以上掌握していた一国の巨人がこれだけアクセスの悪いディエン高原の更に奥の奥にあるこんな狭っ苦しい洞窟で瞑想するという意味は何だったのだろうか。スハルト元大統領は霊や妖精を使って独裁政治を保ったなんて噂が立っているが…


柵越しに覗き込むと奧が深そうで、独特な雰囲気の中で一人静かに瞑想出来るだけの狭い空間になっていて、ご丁寧に御座まで敷かれてる。


マジャパヒト朝の宰相・ガジャマダの像。


触れたら子供が文字を読めるようになる奇岩。

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湖畔を離れ、高台を目指す。虹色に輝くといわれるワルナ湖を違う角度から見てみたかったのだ。

ひだり みぎ
道が悪く、傾斜もキツイ。結構つらいぞ。


最後のひと踏ん張り。


頂上からはカルデラ盆地の絶景が広がる。手前がプギロン湖で奥が緑味を増したワルナ湖。

ジャワ最古のヒンドゥー聖地、地獄が如く煮え滾る地熱地帯の硫黄泉、七色に変化する神秘的な湖、修行用の洞窟、山の斜面にビッシリ広がる美しい棚田…山岳崇拝の聖地と言うだけあってパワースポットの連続で、ディエン高原は別世界、別の惑星かとすら思えるような美しい場所だった。ジョグジャから一日かけてでも行く価値アリです。

聖地の中の地獄谷・シキダン地熱地帯

ディエン高原は巨大な火山地帯にあり、高原全域がカルデラ盆地になっているので、所々で噴気孔からモクモクと白煙がたなびく様子が観察できる。ジョグジャから来る途中に見た煙も焼畑によるものではなく噴気孔からの蒸気煙だったんだろう。火口原ならではの現象で、ディエン高原には地中から噴出する蒸気で直接タービンを回し発電機を駆動して電気を得る地熱発電所まで有るらしい。生きた火山にいることを実感させられる。

アルジュナ寺院群から車を走らせること10分ほど、先ほどの自然美とは打って変わって何とも荒涼とした奇観地で車を降ろされる。

何だろうな、霊場みたいというか、三途の川みたいというか屍の河原みたいというか。辺り一帯は鼻を劈く硫化水素の腐卵臭と二酸化硫黄の強い刺激臭が立ち込めていて、車を降りるなりマスク売りが声をかけてくる。使い捨てマスクが1つ2,000ルピア。周囲の生態に影響があることを考えれば人体にも有害な火山性ガスが発生しているのだろうということで、マスクを一つお買い上げ。日本でも火山ガスによる死亡事故があったし、何より小学校の社会科クラスかなんかで火山ガスは地球の屁だと習っているからな。オナラ臭が充満する所には最低限マスクくらいの装備が必要不可欠だ。


何と荒れ果てた場所だろう。舗装された道路以外は地盤が緩くなっていて熱湯の温泉が噴き出ているので注意が必要だ。なんの変哲もない畑に地割れが生じて 噴気が現れたりすることもあるみたいだし。

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方々で噴気孔から泥湯や白煙が吹き出す様は日本の地獄谷こと大涌谷を彷彿とさせるが、管理度合いが日本と違い過ぎて、普通に温泉が湧き出るエリアまで侵入していくことができる。当然、地盤が緩くグシャァァァって地面に足が突っ込んでしまうこともあるので、いつか地面が裂けて温泉が吹き出てきやしないか・・何て心配しながら奥のほうへ。


足元の様子。日本では地獄めぐりと言われる火山帯独特の風景で、あちこちでポコポコ・ボコボコ・フツフツと泥湯や温泉が噴出してる。耳慣れない音が響いてあの世にでも行ってしまったような気分になる。

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足下に気を付けながら歩を進め、辿り着いたのがグツグツと泥湯と火山ガスを噴出する直径5-6メートルの噴気孔。煙・水蒸気が立ち込める中でゴボゴボと轟音を上げながら黒灰色の泥湯を煮え滾らせる姿はなんとも地獄の釜の様。白煙を噴き上げる噴気孔で沸き立つ湯、何ともダイナミックな火山活動をこんな近くで観察できるとは。

さすがに沸き立つ湯釜の源泉には怖くて触れんが、少し下流では手ごろなお湯になっているので、ここに穴を掘れば即席の露天風呂になりそうで、日本なら温泉旅館が建ちそうなもんなんだが、ここインドネシアではお湯の風呂に浸かるという習慣がないせいか、温泉施設は皆無。何とももったいない話である…なんて思いながら駐車場へと引き返す。


訪問客は少ないものの、一応は観光地なので駐車場脇に土産屋を兼ねた市場があったので、ディエンの名産であるジャガイモを使ったチップス二袋を10,000ルピアで購入。運転手のアントニオ猪木と食べたけど、普通に美味かった。



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【2015年ジョグジャカルタ・ソロ旅行記】