敦煌から西安へ 中国東方航空A319エコノミークラス

さぁ、年末年始のシルクロード旅行もいよいよ大詰めを迎え、この日は中国東方航空便で甘粛省の敦煌から今回の旅の最終目的地である陝西省の西安へと飛んでいく。本当は鉄道、いや、三蔵法師諸氏のように駱駝と苦楽を共にしながら西安まで向かいたかったところなんだが、時間の都合上、今回はどうしても飛行機をつかわざるを得なかった。

ひだり みぎ
空港への移動はホテル前から12番のバスで3元。新疆では殆ど見なかった観光客もここまで南下すればチラホラと見かけるようになる。殆どが中国人だけど。

ひだり みぎ
モダンな敦煌空港は国内線専用で、西安・北京・上海・大連・南京・成都・蘭州・ウルムチ・杭州とを結ぶ国内線が発着する。今年の3月15日から改修工事の為に全面閉鎖だよーなんて広告があったけど、今はもう利用再開してるのかな。

中国西北航空を買収した際の名残だろうけど、今回利用する東方航空は社名に反して中国西方地区での路線も充実してて、敦煌発着で北京・上海・西安・蘭州・昆明・花土溝線の6路線を運航してる。この日なんか中国西部を飛ぶフライトだけど、何故か敦煌⇒西安便は2便共に中国東方航空便で、時間も15:55発・16:00発とモロ被りだったしな。さぞ人気路線なのかと思いきや20人くらいしか乗ってなかったし、色々と謎w

10分遅れでやってきた東方航空のA319-100。機体小せー。だいぶ小せー。


A319はA320より一回り小型の短胴型機。2×2の8席がビジネスクラス、3×3の112席がエコノミークラスというシート構成になっている。オールエコのモノクラスでもおかしくないところ、一応はビジネスクラスの席も積んでんだな。この日はC客ゼロだったけどw

ひだり みぎ

エコノミーもビジネスクラスも流石に狭いわ。この日はガラガラだから良かったけど、こんなんド満時に巨体の白人観光客が乗ったら体が収まりきらんで大変だと思うんだが。

ひだり みぎ
ドリンクホルダーに思いっきり被った広告にも突っ込みたくなるし、やる気のない英語アナウンスといい色々と面白い。


西域都市・敦煌で隣も西安行き東方航空という奇遇。お先に失礼しますよーと言わんばかりに搭乗準備中のお隣さんを後目に出発する。



さらば砂漠。感動をありがとう。


砂漠を過ぎ、雪山も越えていく。目指すはシルクロードの西の終点・西安だ。

ひだり みぎ
砂漠を眺め感傷に浸っていると、マッチョなCAによる機内食配給タイムがやってきた。パン×2・スナック×2・パックの搾菜・魚ソのような鶏肉ソーセージというすっごい喉の乾く構成である。この日は西安での晩餐の為に昼食も抜いていたけど、ここでも食事はスルー。胃袋をセーブする。


体力も回復すべく移動時間は睡眠に充て、ランディングまで爆睡。気付いたらもう夜じゃん。

ひだり みぎ
西安咸陽国際空港から市内へはシャトルバスで。中国北西地区最大の都市だけあってターミナルも巨大だし、シャトルバスや近郊都市行きのバス路線もめっちゃ多いわ。とりあえずインフォの姉さんの言う通りに西梢門のバスに乗ってみようと思うけど、果たして問題無くホテルまで辿り着くのか…

【西安咸陽国際空港⇔市内のシャトルバス】
・1号線 城東客運站 経由 西梢門(空港商務酒店)行き(所要約60分・運賃25元)
・2号線 西安駅(西安隴海飯店)行き(所要約60分・運賃25元)
・3号線 西高新(志誠麗柏酒店)行き(所要約60分・運賃25元)
・4号線 西安賓館行き(所要約40分・運賃25元)
・5号線 建国飯店(互助路二号)行き(所要約60分・運賃25元)
・7号線 西安北駅(火車北客運站:紅旗廠天懸酒店)行き(所要約30分・運賃25元)
・8号線 西北飯店 経由 城南客運站 行き(所要約90分・運賃25元)
・9号線 東大街(西安阿房宮維景国際大酒店)行き(所要約60分・運賃25元)
・10号線 城西客運站 行き(所要約60分・運賃25元)
・11号線 紡績城客運站 行き(所要約60分・運賃25元)
・12号線 城北客運站 行き(所要約40分・運賃25元)
・咸陽専線 彩虹賓館(咸陽市彩虹路1号)行き(所要約60分・運賃15元)



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【2017年新疆・敦煌・西安旅行記】











キングオブ世界遺産 敦煌の莫高窟

この日、朝一で向かう先は、かの有名な莫高窟。莫高窟、その名をまるっきし聞いたことがないという方は少ないのではないだろうか。敦煌を代表する観光地、いや、世界を代表する観光地で、もちろん世界遺産にも登録されている。それも、当時、世界文化遺産の登録基準6項目全てを満たして世界遺産に登録されたというパーフェクト遺産・キングオブ世界文化遺産なのである。一つでも基準を満たせば世界遺産への申請資格を得る中で、全6項目をオールクリアしたパーフェクト文化遺産は世界広しとヴェネチアン・泰山・そしてこの莫高窟だけ、それほど格のある世界遺産なのである。

そんなパーフェクト遺産・莫高窟の造営が開始されたのは五胡十六国時代の366年頃、とある仏教僧が金色に光る神々しい鳴沙山の山肌に修行窟を開削したのが始まりだったとされている。その後、チベット族の吐番やモンゴル族の元など敦煌を支配する民族や王朝が変わっても莫高窟の造営は継続され、なんとシルクロード貿易が廃れる14世紀まで実に1,000年にも渡って彫り続けられていった。もちろん、時代や支配民族によってそれぞれの石窟の構造や彫刻様式・壁画の画題は異なっており、魏晋南北朝時代から元代まで、様々な文化・宗教・芸術が行き交い融合した敦煌の時代時代の美が莫高窟の石窟に凝縮されているのである。凄いでしょう。中国の仏教美術史が一か所で学べてしまう仏教芸術の聖地や砂漠の大画廊とも形容されているくらいだし、やっぱり中国の数ある遺跡の中でも莫高窟の重要さは群を抜いていると思う。

さて、当日朝、先ずは敦煌シルクロード怡苑ホテル前から12番の公共バスで莫高窟から14キロ程離れた莫高窟数字展示中心へ行き、莫高窟への入場券を買い求める。莫高窟に直接乗り込んでも入場券売り場はなく、内部には入れてもらえないので注意が必要だ。


莫高窟数字展示中心では莫高窟に関する10分程の短編映画を2本鑑賞することになる。映画の音声は中国語のみだけど、日本語の吹き替え音源が流れる専用イヤホンの貸し出しがあるので問題ない。映像クオリティも高いし、莫高窟へのテンションを高めるにはちょうど良い内容になっている。

ひだり みぎ

一本目は通常の映画館的な場所でシルクロードと莫高窟の歴史に関するドキュメンタリーを、二本目はプラネタリウムのような3Dシアターで石窟内部を再現した3Dドーム映像作品を見ることになる。この二本目の360°3D動画がまた臨場感・迫力抜群で、本当に当時の石窟の中に誘われた感覚になり、うぉー莫高窟万歳ー、莫高窟今参るぞーって気分が高まってくる。

ひだり みぎ
また、莫高窟数字展示中心では日本人ウケしそうな土産物が充実してる。今回は莫高窟の壁画や塑像が描かれたクリアファイルを購入しただけだが、他にもここでしか売られていない莫高窟モチーフのシャツ・財布・携帯入れ・マグカップ・栞なんかの小物が揃っているので、時間があれば土産物コーナーをちょいと覗いてみるのも良いだろう。


映画鑑賞後は、無料の専用シャトルバスで砂漠の中を10分程走って莫高窟へと移動する。

バスを降りると、山の断崖を全長約1,600mに渡って掘り抜き造られた石窟寺院がお目見えする。「石窟」というちょっとエロい響きはさておき、山崖に掘り込んだ洞窟状の宗教施設を造っちゃうとか、もうその発想が素晴らしいよね。世界史でも出てくるインドのアジャンターにも見られるように、もともとはインドの仏教建築様式だったのがシルクロードを通って伝わってきたっぽいけど。

この山には確認されているだけでも合計734の窟・総面積4.5万㎡の壁画・2,415の仏塑像を有するとされている。こんな大規模な寺院だけど、東西交易のルートが陸上から海上に移ったことで、敦煌も莫高窟も砂漠の中に埋もれ忘れ去られていたそうだ。それが1900年、5万点にも及ぶ文書や写本・麻布に描かれた仏画・古文書の巻物・漢語やチベット語などの文字で書かれた経典を保存した莫高窟が偶然に発見されたのだ。発見された文化財は主に4世紀から11世紀の物とされ、その題材は中古時代の百科全書と呼ばれるほど幅広く、歴史・地理・政治・軍事・医療など多岐に渡っている。

何故これほどまでに大量の文化財が山肌に造られた石窟に隠されていたのかという謎については諸説あるようだが、当時敦煌を支配していた西夏が中国西端カシュガルで興ったイスラム勢力・カラハン王朝の襲来を恐れて文化財を保護したとする説が有力であるそうだ。今も昔もって感じだな。
ひだり みぎ
水が凍結した大泉河に架かる橋を渡り、ポプラの林の中を少し歩くと牌楼の前に出る。


さぁ。いよいよ石窟巡りの一日が始まる…。ということで受信機が手渡される。耳元に装着すると、前方のガイドの説明が聞こえてくる仕組みのようだ。そう、残念ながらここでは自由気ままに参拝することができず、ガイド同行で、ガイドが選択した幾つかの石窟を30人程度のグループで回っていく形での見学となる。

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鳴砂山の東側の断崖に開削された幾つもの洞窟。高さは最大50メートルにもなり、近づいてみたら予想以上に迫力がある。


でも、なんかキジルの石窟より整備され過ぎてて、なんだか石造りのアパートみたいというか。


滲み出るアパート感。全ての石窟の入り口に部屋番号みたい番号がふってあって扉も設けられているし、中に誰か住んでると言われても疑わんぞ。

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窟内部の大きさやスタイルはそれぞれだけど、今回見て回った窟にはいずれも大小様々な塑像が安置され、窟の側面と天井びっしりに仏像・天女・飛天などの図案が精緻に描かれていた。内部の写真を撮れないのが本当に残念である。


こちらは莫高窟のシンボル・第96窟の九層楼。内部空間も大きく、中央には楽山・栄県の仏像に次ぎ中国で3番目に大きさな高さ35メートルを超える大きな弥勒菩薩の座像が鎮座する。きめ細かく岩を掘り、泥を重ね塗って造りあげられた超大作の塑像である。こちらの洞窟が開削されたのは888年、唐の時代まで遡る。自身を弥勒菩薩の生まれ変わりと主張していた当時の女帝・則天武后が造らせたらしい。確かに体系や顔立ちからは女性的な特徴が見て取れた。


一通りの見学が終わり、ツアー組とは離れて莫高窟のお隣にある敦煌石窟文物保護研究陳列センターを単独で見て回ることに。もう少し待てば日本人ガイドによるツアーもあったっぽいんだけど、中国人のツアーに紛れ込み説明の殆どは聞き取れんかったんで、あとは博物館の説明書き頼りだ。

博物館の内部では主要な窟の幾つかも再現されている。
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金色の荘厳な石窟から密教的な石窟・ヘレニズム的な石窟まで多彩さがウリの莫高窟だが、洞窟には時代によって様々な特徴があり、大まかに言うと南北朝時代・隋唐時代・五代十国時代・西夏時代という4時代に区切られるそうだ。

南北朝時代:中心となる大きな窟の壁に小さな修行用の穴が設けられる禅窟が造られ、壁画にはガンダーラ美術の影響を受けた西域の雰囲気を残す。
隋唐時代:石窟の全盛期で、絵画技術も発達。唐代に流行したふくよかな人物像など、中華要素の高まりが観られる。
五代十国時代:以前からある石窟のリフォームブーム。
西夏:チベット密教に関する芸術品が多くなる。

西魏時代に造られた第285窟に入ってみる。

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奥正面には3つの仏龕、左右に1m四方の禅定窟が4つという空間構造で、壁も天井も壁龕も空間のあらゆる場所が彩色された仏教壁画や装飾で覆われている。一つひとつの石窟が独自の世界観を表しているという意味では、それぞれが曼荼羅なのだろう。

続いて隋時代に造られた第419窟のレプリカへ。
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壁面に描かれた無数の仏に囲まれるように、1仏2菩薩2弟子の塑像が正面中央に鎮座。

いやー、壁画すげーってなる壁画フェチの方向けに博物館の一角が壁画コーナーとなっている。
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五胡十六国時代から元代に渡るまで1000年余りの民俗風貌と歴史変遷が表現されていて、壁画を通して中華文明の発展の歴史を追うことができる。

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庶民から貴族まで、宗教だけでなく、世俗生活の様子も表現豊かに描かれている。砂漠の単調な色彩の中に極彩色の石窟が無数に立ち並んでいるんだから、余計に神秘的に思えてくる。まさに砂漠の中の大画廊である。

いやー。ほんと良かったわ。これで生涯で行きたい場所リストの中の1箇所をクリア。次の中期連休は同じく石窟絡みで行きたい場所リストに挙げている洛陽でも攻めるか。

【莫高窟と莫高窟数字展示中心】

URL:www.mogaoku.net
営業時間:09:00-17:00
電話:+86 937 886 9060


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【2017年新疆・敦煌・西安旅行記】






敦煌の町 沙州市場と敦煌夜市

鳴沙山でのエキサイティングな一人砂遊びを終え、ローカルバスにて敦煌市内へと戻る。

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…と、その前に、鳴沙山の近所に観音寺なる寺院を見つけたので参拝することに。別に名刹という訳でも由緒正しき古刹というわけでもないし自分も仏教徒という訳じゃないんだけど、何だか見えざる力により吸い込まれるような感じで気付いたら境内に向け歩を進めてた。


ひだり みぎ
プリティ長嶋が顔芸したみたいなご尊厳の仏一同に旅路の安全を祈願し、再びローカルバスに乗車し市内へと戻る。


敦煌随一のホットスポットである沙州市場近くでバスを降り、市場探索することに。沙州市場は、歩行者天国になっている小路の両側に生活用品屋が並ぶ地元密着系の生活市場。ぼろっぼろに穿き潰された出所不明の中古ジーパンや靴、何世代も前の古びた家電、生鮮食品などが売られていて、オフシーズンとはいえ何だかこちらまで悲しくなってくるくらいの廃れぶりだ。敦煌は町の規模自体が小さいので、町一番の市場といってもたかだか知れているんだろう。

因みに沙州というのは敦煌の昔の名称。砂の都、確かに周囲の砂漠から吹き付ける砂で町中砂っぽく、寧ろ沙州という名の方がしっくりくるくらいだ。
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その沙州市場の周辺には土産物屋台が並ぶ商業一条街や、手頃な価格の屋台食堂が集積する名吃広場も入ってるんだけど、閑散期だからか廃れきってしまっていて、「商売あがったりだわー」なんて感じで椅子にもたれてテレビ画面のドラマに集中する店主ばかり。商売っ気は殆どなく、客である私と目が合っても知らんぷりでテレビの世界に浸っている。仮に何か欲しい物があって店主に会計を求めても、「ちょっと待って今良いところだから」とか平気で言われそうな雰囲気だ。

ひだり みぎ
沙州市場の中は敦煌夜市にも繋がっていて、夜市というので夕飯がてら夜になってからブラブラと歩いてみた。ウルムチあたりだと肌が痛いくらいに寒くて外出する気が起きなかったけど、敦煌まで下れば夜でも全然過ごし易い。

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夜市の主力商品は西域名物のナッツやドライフルーツ。広東省での値段と比べると半額近い値段だし、種類もすこぶる豊富。とりあえず試食をした上で自分用の土産物としてそれぞれ50元分のピスタチオと胡桃を購入した。量り売りなんだけど、合計100元でとんでもない量が調達できてビックリしたわ。ナッツ富豪だね。とても一日二日では食べきれんほどの大量のナッツを手に入れた。


ひだり みぎ
こちらは名吃広場かな。十数席程度の小さな屋台風食堂が立ち並ぶ。当地が長安と西域とを繋ぐ中継地点であったことを示すかのように、敦煌特有の驢馬肉黄麺屋はもちろん、西安料理や清真料理等の小料理屋が揃ってる。どこの店も店中は清潔に保たれていて、日本人でも抵抗感なく入れるだろう。


迷った挙句、砂鍋の専門店へ。砂鍋とは日本で言うところの土鍋で、中国西北地方の名物の名物らしい。寒い冬に身体の芯まで料理である。

獅子頭砂鍋獅子頭という何とも勇猛なネーミングの一品を注文。12元だったかな。
ひだり みぎ
グツグツ煮立った野菜の海の上に、獅子の頭に見立てた肉団子が載っている。具沢山だし、胡椒のきいたあっさり系のスープで食べ易かった。


食後にこれまた敦煌一帯の名産品・杏皮茶を一杯。杏の皮を干し煮出したものだそうで、市内の至る所に売られている。さっぱりとしたテイストで、砂丘遊びで汗をかいた後のエネルギー補給にはちょうど良い。


ひだり みぎ
食後は夜の町を練り歩いてみたんだが、夜の敦煌は煌びやかだなー。中華世界から西域への入り口として栄えた敦煌であるが、現在の新しい街には古いものは余り残されていないようだ。とにかく全てが新しくてネオンギラギラで、古都風情ってものが感じられん。

【沙州市場と敦煌夜市】



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【2017年新疆・敦煌・西安旅行記】






敦煌の砂漠で遊ぶ 月牙泉と鳴沙山

敦煌到着日はフライトの遅延で万里の長城の最西端とされる玉門関まで足を運ぶ時間が無くなってしまったので、代わりに近くの砂漠で遊んできた。

敦煌はシルクロード上のオアシス都市として栄えた古都。周囲一帯には無限の砂漠が広がっており、街から僅か5Km程のところには鳴沙山という有名な砂丘が存在するというので行ってみた。

市街地からは鳴沙山へはバスで移動。街によってバスの種類や乗り方はマチマチだが、敦煌のマイクロバスでは運転席の横の箱に運賃を投入するスタイルだった。運賃は二元だったかな。時刻表などはなく、一定の乗客が集まった段階で出発するようなスタイルのよう。幸いなことに、ちょうど自分が乗り込んだと同時にナイスタイミングで発車してくれた。

因みに、郊外にありアクセスの悪かった敦煌古城・陽関・五門関・ヤルダン地質公園方面への観光バスが出ているようだ。運賃は敦煌飯店からヤルダン公園まで往復で76元。今迄タクシーチャーターで数百元かかっていたことを考えると全然アリだろう。フライトの遅延が無ければ五門関まで攻めたかったのんだけどな~。
ひだり みぎ
あと、興味のある方には魅惑の砂漠KTV(カラオケ)にバーベキューもコースになったツアーも用意されている。


市内から20分足らず、鳴沙山に続く直線に入ると正面に更にでっかい砂丘が見え、やる気急上昇。ウォォっとなってバスの最前席まで乗り出したくらいですから。砂漠デビュー、目の前に広がる砂丘はそれくらいの衝撃だった。


バスを降りると、左手前方に武芸の達人みたいな唐代の男の砂像を発見。高まるテンションが抑えられなくなってくる。

ひだり みぎ
うおー。門の奥には広大な砂漠が広がっているじゃないですか。ラクダやスライダー、カートにグライダー、更にはヘリコプターのアトラクションなんかもあったりしてレジャーセンターのようになってしまってはいるが、砂漠はガチ。大自然の賜物だ。


来たコレ、砂漠だーーー。なんで砂漠を見たらテンションが上がるのか自分にも分からんのだが、多分、南国の人が雪を見た時にはしゃぎ出すのと基本的には同じだと思う。


砂丘はなだらかな放物線を描いて起伏し、何重にもなって広がっている。砂丘が風邪で移動した後に数百年前の町が現れたりすることもあるみたいですからね。ロマンの塊ですよ。

ひだり みぎ
感無量。砂質がサラサラだから風に舞いやすく砂丘ができるのかな。鳥取砂丘よりも起伏に富んで砂漠砂漠した感じ。

砂漠の中に設置された遊歩道を少し進むと、客を持っているのか待っていないのか、ラクダたちが道端でグータラしてるのが見えてくる。砂漠に駱駝とか、後はターバングルグル巻きで変な発音の英語を話すアラブ人がいたら完全に映画で見たアラブ世界なんだが。

おとなしく月の砂漠を荷物を背負って黙々と歩いていく童話的なイメージなど微塵も感じさせない駱駝の獣臭と不機嫌そうな鳴き声がまたね。迂闊に近づこうもんなら、余所者ものを威嚇するように声をあげた後、「乗せてやってもいいけど」 とでも言いたげな上から目線な感じの眼でこちらを覗き込んでくるし。でもなんだか萌えるわー、この駱駝の態度!


殆ど砂遊びで作った砂山くらいにしか見えないが、遺跡なんかもあったりする。

最大の目玉は公園の一番奥に位置する月牙泉だろう。

フリー素材の画像を載せるが、こんな感じ。まさに絵本とかに出てくるような砂漠の中のオアシスで、綺麗な三日月の形をしてる。内陸河川の水源である祁連山脈からの地下水が月牙泉を潤しているそうで、砂漠化の進む周囲環境に逆らうかのように2,000年に渡って枯渇することなく広大な砂丘地帯の民を潤し続けてきたそうだ。


月牙泉の手前には立派な楼閣が建てられている。嘘だろーとは思うが、シルクロード全盛期時の景観を復元されたものらしい。当時はこのような楼閣を持ったオアシス都市がシルクロードの中に点在していたと言われている。砂漠の中の旅を続け、命からがらオアシス都市に辿り着いた行商人からしたらさぞ天国のように思えたことだろう。



こんな素晴らしいオアシスは人里離れてひっそりと佇んでいて欲しいなんて思うけど…入口から徒歩10分で簡単に着いてしまうというね。イメージでは砂漠をひたすら歩いた後に現れる秘境だったんだけど。

で、肝心の月牙泉といいますと…。
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凍結してるし、水位も随分と低下してるよう。命からがら地獄の乾燥砂地獄からオアシスに辿り着き、凍結した水を見せられた時の旅人の気持ちが慮られる。

月牙泉は期待外れに終わってしまったが、続いて鳴沙山へ。山といっても実際には特定の山を指すのではなく、ここら一帯に砂が堆積して出来た山の様な砂丘の総称が鳴沙山と呼ばれているらしい。その規模はなんと東西に約40キロ、南北に約20キロ、最大高さ250mという巨大な物。自然の風に吹かれて出来た風紋が非常に美しく、風に吹かれた砂はまるで音楽が奏でられているかのような音をたてて舞い上がるそう。故に砂が鳴る山で鳴沙山、と。

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まぁパッと見でも砂丘が大きいことは分かるのだが、余りに無機的な景色なので遠近感がさっぱりつかめず、実際にどれくらい高いのか見ただけでは測れない。

とりあえず登ってみる。

砂に埋め込まれた梯子のような足場を利用して登っていくのだが、それでもぐっと踏み締めるとサラサラとした砂が液体のように流れ、足が砂に沈みこんでしまう。傾斜も思ったよりきついし。

先に登った人の足跡の上を歩くと砂に埋まらないという素晴らしい発見をしてからは楽になったんだが、やっぱり通常の登山とは比べ物にならないくらいに時間がかかる。三蔵法師を軽く見直したわ。
ひだり みぎ
20分弱で尾根に辿り着いたら、そこは時折吹く風の音以外は無音の世界。そして、その風によって細かい砂の粒が飛び舞い、まるで波打つ大海原のように美しい水波状の砂紋が時々刻々と姿を変えてる。風で作り出される砂漠の神秘的な造形美、まさにアート作品のような砂漠の景色が広がっていた。その美しい自然の造形美、どこまでも続く砂漠のスケールの大きさにただただ圧倒される。


振り替えると、足下には不滅の水をたたえるとされる月牙泉が、遠くには敦煌の街が見える。吹き付ける砂嵐なぞ気にならないくらいの絶景で、暫し一人座り込む。


そして…影でちょっと遊んでみたり。完全に高橋先生でほっこりくるわ。


これこれ、何頭身あるんだよっていう。完全に影がキャプ翼。


30分以上は尾根で砂とじゃれ合ってただろうな。気温が下がってきたので、本当に後ろ髪を引かれる思いで下山。頭からつっこんでいく無謀なスタイルで紹介されてるけど、砂サーフィンならぬ砂スキーのアトラクションもあるんだと。私は思いっきりダーーって駆け下りましたけど。

ラクダがいる砂漠の風景と、砂にまみれた楼閣、湧き出る三日月型をした神秘の泉…。なんかベタな観光地みたくなってるけど、ここは本当にお勧め。夏に来ると暑いし観光客まみれだろうから、私が再訪するとしたらやっぱり冬かなー。入場料もオフシーズン特価で安くなってるし。

【月牙泉と鳴沙山】

営業時間:08:00-20:00(4月下旬-10月上旬)・09:00-18:00(10月中旬-4月中旬)


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【2017年新疆・敦煌・西安旅行記】






敦煌シルクロード怡苑大酒店 宿泊記

敦煌での宿は立地条件最強の敦煌シルクロード怡苑大酒店。空港・鉄道・莫高窟からのバスの終着点がホテルの目の前にあり、敦煌最大のナイトマーケットまで50メートルの距離という圧倒的便利さを誇る自称5つ星ホテルである。


大通りの交差点に面した13階建て全456室の大型ホテル、田舎町には不釣り合いなモダンで堂々たる外観だ。いくらオフシーズンど真ん中とはいえ、これで一泊込々130元(朝食無し)とはにわかに信じ難い。


砂漠を連想させるような駱駝色のシルクロードホテルだが、夜は漢族得意の下品なライトアップが全開に。「中国漢唐式文化ホテル」とか自己アピールしているのに、全てをブチ壊すこのド派手イルミネーションはあんまりだわ。それともあれか?唐代の敦煌はこんなにもネオンがギラギラとしてたというのか?

そんなシルクロードホテルらしからぬシルクロードホテル、玄関口に設けられた分厚すぎるビニールカーテンを開け、本当に130元かよーと半信半疑で館内へと入ってみる。

ロビーは大理石の床で広々としており、フロントの接遇も丁寧な接客態度で概ね良好。予約についてはどうやらホテルへのダイレクトブッキングを奨励しているようで、予約サイトをキャンセルしてホテルに直接払いにすることで128元(2元の節約)になりますよ、なんて逆に130元より安くなるような小技を教えられた。

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館内には申し訳程度にシルクロードモチーフの絵画やモザイク画もチラホラと。

フロントの背後にも長安からローマに至るまでの往時のシルクロードマップがデカデカと掲示されている。シルクロードは、西方に向けての中国側の出発地長安(今日の西安)を出ると蘭州まで北西に向かって伸びる交易網だ。蘭州から大黄河の西側を祁連山脈と万里の長城の間を縫うように続く河西回廊を進むと…最初に辿り着くオアシス都市がここ敦煌なのである。「大きく(敦)栄える(煌)」という敦煌の町の名前の由来は、このシルクロード交易の中継点としての町の繁栄ぶりからきている。……でも、この説明の後にフロント背後の地図を見ると…「???」ですよね。なんで長安が蘭州の西にあるのかと。もっと言えば、甘州が蘭州より東に位置しているのもダウト。往時の皆様方はこんな位置関係ガバガバな地図を頼りに命懸けの旅に出かけていたというのか。

あと、地図には一つのルートしか示されていないが、シルクロードはここ敦煌から大きく三つのルートに分岐する。

天山北路:敦煌からトルファンへ向かい、そこから天山山脈の北側をウルムチ経由でカシュガルへと進むルート。
天山南路:天山北路と同じくトルファンへ向かい、天山山脈の南側を抜けカシュガルへと進むルート。
西域南路:敦煌から西方へ進み、玉門関や陽関を経てタクラマカン砂漠を抜け、カシュガルへ向かうルート。

砂漠の灼熱地獄を避けたり、あるいは山賊蔓延り酷寒の山地を迂回するなど、季節やルート上の情勢に応じて最適なルートが選択されていたのであろう。個人的には“死の場所”ことタクラマカン砂漠を通る自殺志願者向けコースだけは絶対に嫌だわ。

部屋:

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2015年に改修されたばかりらしい。けっして広くはないが、独立したデスクにスタンド・壁掛け液晶テレビ・パーソナルチェアにミニデスクが完備され、内装・設備的には4つ星ホテルには相応しいか。勿論、無料Wifiや暖房も問題無いレベル。ただ、無難なビジネスホテル調の設えとなっていて、シルクロード風情は皆無。



ミネラルウォーターやお茶のサービスもある。自称5つ星ホテルですからね、これくらいはないと困る。

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水周りは清潔なんだけど、洗面台・トイレ・シャワーの仕切りが貧相なシャワーカーテンのみとなっており、且つ、排水溝が詰まってしまっているので、シャワーを浴びたら水周りのフロア全体が大洪水になるという致命的欠点がある。バスタブが無いのは諦めもつくが、足元の洪水状況を気にしながらシャワーを浴びるというのは気持ちの良いものではない。


バスアメニティは必要最低限に揃っていて、各アメニティグッズには五つ星アピールのホテルロゴが描かれている。

ひだり みぎ
窓の外は敦煌中心部。交通至便、オフシーズン時のコスパは最強だ。名前に釣られて唐代風情満点なデザインホテルかと思って泊まると失望すること間違いなしだけど、快適でお財布に優しいホテルをお求めの方にはお勧めできる。逆に宿泊先でも敦煌気分を味わいたいなら…。こちらの砂漠キャンプホテルしなかいでしょう。

シルクロード怡苑大酒店(丝路怡苑大酒店 )


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住所:6 Wenchang S Rd, Dunhuang Shi, Jiuquan Shi, Gansu Sheng
電話:+86 937 882 3807


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【2017年新疆・敦煌・西安旅行記】