ポルトガル第二期黄金時代の超大作 サン・フランシスコ教会

老舗ワイナリーでのワインテイスティングでご機嫌気分になった勢いで、ポルト観光の目玉の一つであるポルサ宮を見にいくことに。


ドウロ川を指し示すポルトの英雄・エンリケ航海王子の像、その背後に見えるのがポルサ宮。


夏季は18:30までと聞いてたので18時前に訪問したところ、残念ながら英語でのツアーは17:15が最終だったという。また、個人での見学は受け付けていないとのことで打ちひしがれる私に係員が一言、「隣の教会はまだ入れると思うので行ってみたら?」と。

オブリガード!

クレリゴス教会カテドラルに続き、また教会か…と内心思いつつも、ボルサ宮のお隣りにあるサン・フランシスコ教会へと向かうことに。
ひだり みぎ
ドウロ川の沿岸に威容を誇るバロック式建築のサン・フランシスコ教会。サン・フランシスコという名前のとおり、イタリアのフランシスコ会を本部とする由緒正しき教会です。建立は13世紀。その威厳ある佇まいに、長い歴史を感じられずはいられません。

入場料

内部に入るには、7ユーロの入場料が必要。入場料を払い、チケットセンター併設の博物館とカタコンベを見てからメインの教会へと移るという順序になっているようです。
2018-2019年度版の最新ガイドブックには4ユーロとあるので、上り幅だけでみたら結構の値上がりっすね。

博物館

ひだり みぎ
博物館はキリストをモチーフにしたアートの展示が中心。サンフランシスコ会の教会なので、キリストと聖フランチェスコをモチーフにした作品が多くみられました。

ひだり みぎ
布教活動に精を出される聖フランシスコ氏ですかね。これじゃない感が半端ないですが、これくらい親近感湧くテイストの方が見る者の心に訴えるんですかね。

カタコンベ

地下はカタコンベになっていて、18世紀から19世紀にかけての教会関係者の石棺が並んでいます。地下に埋葬された無数の遺骨が見られるよう床の一部が透明のアクリル板になっていたりと、非常に厳かな雰囲気でした。

教会


博物館でのウォーミングアップを終え、いよいよ教会内へと突入します。


重厚なゲートをくぐり教会内へ入ると、そのあまりの神々しさに鳥肌が立ちました。もしかして異世界に来てしまいましたかね?ちょっと他に類いの無いようなユニークな教会です。

祭壇だけでなく、壁、柱、天井に至るまで眩いばかりの金泥細工がびっしりと施されています。ところどころ金箔が剥がれて下地の木目が露出している箇所もあったので、木彫りの彫刻の上に金箔が塗りたくられてるんですね。よくもまぁこれだけ細かい細工にまで金箔を塗りたくったなと。カトリックの中でも特に清貧を旨とするフランシスコ会のイメージが脆くも崩れ去りました。
ひだり みぎ
これらの金箔細工は、18世紀前半に作られたそう。ちょうどブラジルのゴールドラッシュにより大量の金がポルトガルに流入した時期ですね。金箔なので金の重量ベースでの使用量はそう多くないはずなのに、なんと600kgもの金がフランシスコ教会の改修工事に用いられたのだとか。当時の相場は分かりませんが、今は1トロイオンスの国際相場がUS$1,600くらい。円建てグラム当たりに直すと5,600円。当時とは条件が何もかもが異なるのを承知の上で乱暴に現在の相場に基づき計算すると、600kgの調達にかかる資金は33億6000万円…。奴隷に採掘させた金を強奪してきた…

まさに南米植民地政策が支えたポルトガルの第二期黄金期の栄華とカトリックの権威の強さを語り継いできた教会といえるでしょう。

こちらはキリスト聖者のオールスターが総出演のエッサイの樹。いわゆるユダ王国の12人の王たちとイエスの家系図で、ダビデ王の父エッサイからイエスキリストにいたる系図を一本の樹に表した作品で、バロック装飾の大傑作だそうだ。

いやー、凄い。細かくみていけばここだけで軽く1時間はかかります。教会というよりも、どちらかといえば美術館といった感じの教会内で、見応えでいえばグレゴリス教会やポルト大聖堂よりも遥かに上でしょう。ポルサ宮のプランBとしてたまたま来た程度だったのですが、むしろポルサ宮に行ってたより楽しめたかもしれません。

【サン・フランシスコ教会(Sao Francisco Church)】

所在地:Rua do Infante D. Henrique, 4050-297 Porto
電話:+351 22 206 2125

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