港珠澳大橋のバスを利用してみた 香港からマカオ・珠海へのアクセス向上?

時系列的にはぐっちゃぐちゃになっちゃいますが、ツイッターでお問い合わせを頂きましたので、先日つぶやいた港珠澳大橋に関するエントリーを先にアップさせて頂くことにします。

港珠澳大橋とは

港珠澳大橋とは、その名が示す通り、香港と珠海・澳門を結ぶ橋のこと。
中国共産党が主導するベイエリア(大湾区)経済圏構想の中の中核インフラプロジェクトとして、1,100億元(≒1兆7,000万円)もの工費と9年もの年月をかけ築かれた。橋の管理局の説明(自慢)に拠ると、この橋の建設に用いられた鉄鋼量は実に40万トン、エッフェル塔55本相当という巨大公共事業となったらしい。しかも、橋だけでなく、珠海とマカオ側の沖には、これまた巨大なイミグレ施設を建てる為に人口の島まで作っちゃってますからね。スケールが色々とおかしい。

香港・マカオと中国本土の一体化を進めて巨大経済圏を形成するという中共ならではの超壮大な国家戦略。広東省の主要9都市に香港とマカオを加え入れたこの経済圏を、2035年までに世界最先端の技術が集約するハイテクメガロポリスと変革させるという。

GDP規模で1兆5,000億ドル超、人口規模で7,000万人…東京湾やサンフランシスコのベイエリアなんか比較にならない程の経済規模を誇る経済圏ができあがる。1国2制度なんかクソくらえ!ということで、これから香港・マカオ・中国間で人・物・金が円滑に回るように現行の法的制度にもメスが入っていくことになるのでしょう…
出典:HSBC

で、この橋、マクロ的に考えたら非常に大きな意味のある公共事業ということはわかるのですが、一般市民にはどういったメリットがもたらされるのか。

メリット
1. 香港⇔マカオ・珠海の移動が安くなる
香港空港からフェリーでマカオに向かう場合、運賃はHK$270(珠海はHK$260)~。バスだといずれもHK$71~で移動可能。

2. 香港空港からの夜間の移動が便利に
空港発マカオ行きフェリーは最終便が22:00発(珠海行きは20:10発)だが、バスは24時間運行。

マカオ行きフェリーの時刻表:https://www.turbojet.com.hk/jp/routing-sailing-schedule/hk-airport-macau/sailing-schedule-fares.aspx
珠海行きフェリーの時刻表:https://www.cksp.com.hk/en/route/hk_from_guangdong_and_macao/shipingline_price_hk_m
デメリット
1. 橋までの移動が面倒
フェリーだと香港に入国する必要もなくマカオへと移動できるし、飛行機への預入荷物もバゲージスルーでマカオまで運ばれる。
一方、橋への移動の場合は空港で香港に入国した後、荷物をピックアップしてからイミグレへと移動することになる。
橋が完成したことでフェリーの待ち時間もなくなりマカオへの移動がスムーズに!と紹介するメディアも目にしたが、橋は空港と直結してる訳じゃないですからね。空港での香港入国・預入荷物のピックアップ・イミグレまでの移動・香港出国・バスの出発待ちにかかる時間と手間を考えると、時間帯によってはフェリーの方が早いし楽。

また、香港市内からの移動にも難がある。香港からマカオ・珠海へのアクセスが劇的に改善されたなんて言われてるけど、決してそんなことはない。

地図を見れば一目瞭然だけど、香港側の橋の起点は香港の端の端。香港市内から橋を利用しようとすると、1時間かけてランタオ島のイミグレまで行き、香港を出国してバスに乗りなおし、40分かけて橋を渡ることになる。一方、フェリーなら香港市内からマカオまで70分だし、香港市内からだとマカオ行きのフェリーは24時間運航。

なので、アクセスが改善されたのは、香港空港付近からの移動に限った話だと個人的には思う。

特に、夜間に香港空港に着いてからの移動は随分と楽になった。前までは22:30香港着のJL735便での移動後にマカオに行こうとすると、香港市内に出てからフェリーに乗り継がねばならなかったのでね。

実際に橋を使ってみた

実際にワイもJL735便での香港への移動後に橋を渡って珠海に行ってみることにした。何故にマカオでなく珠海?それはホテルが安いからw


セントレジスがマカオだと8万円だったところ、マカオから直線距離で5kmしか離れていない珠海だと2万円だったので。

ここからは時系列で。

香港空港からバスで香港口岸(イミグレ)へ


JL735便で成田から香港へ。香港空港お得意の“離発着便混雑”が発動して着陸が若干遅れるも、22:35に香港国際空港にランディング。降機後、日々の通勤で鍛えられた健脚を活かしたダッシュで香港市内の各地域行きのバスターミナルへと向かう。

E道でスムーズに香港入国、預入荷物も無くノンストップで香港空港内のバスターミナルへ。

B4のバスでイミグレ(香港口岸)へ。B4のバス乗り場はターミナルを出て右手の横断歩道を渡り、右方向にちょっと行ったところになる。看板が多くあるので、迷うことはないでしょう。

23:00、ちょっとだけ息を切らし始めたところでバス停着。
ひだり みぎ
イミグレ行きのバスも24時間運行。夜間でも頻繁に走ってるので心配無用。

以下、香港特有の時間帯カテゴリーがめっちゃ細かい時刻表。
平日(月ー金)
05:30-06:15   15分間隔
06:15-09:35   8-10分間隔
09:35-16:00   12分間隔
16:00-20:00   8-10分間隔
20:00-00:00   12分間隔
00:00-00:30   15分間隔
00:30-05:30   30分間隔

土日祝日
05:30-06:15   15分間隔
06:15-00:30   8-10分間隔
00:30-05:30   30分間隔

運賃は6香港ドル(≒85円)。香港のバスはお釣りがでないので、小銭を用意しておくかオクトパスカードを用意しておいた方が良いでしょう。「釣りは要らねぇぜ」というマハラジャ様は100ドル札でも1,000ドル札でもぶっこんで頂いて結構です。多く払う分には乗車拒否されることはありません。

23:03、イミグレ行きのB4のバスに乗車。

香港口岸イミグレ


23:15、港珠澳大橋の香港側の橋の起点となる香港口岸着。たかだが橋の為の専用イミグレーションのくせして空港みたいな規模でワロタw


夜間だからか人も多くなく、サクッと香港を出国する。さっき空港で入国したばかりなんですけどね。
やっぱりこれが香港空港から直接バスに乗れれば便利なんだけど…深センみたいに、空港からダブルナンバーの車で直接中国側のホテルにドアドアで移動できるスカイリモのサービスが増えてくれれば便利なのに。

日中はイミグレの人も多いだろうし、荷物が多かったりしたら多少値が張っても空港発のフェリーに乗っちゃうかも。

出国後は発券機で珠海行きバスの乗車券を購入。有人カウンターもあるので、現金やクレジットカードでの購入も可能。

先述の通り、運賃はフェリーと比べて格段に安い。最大のメリットはこの価格だろうな。24時間開通で深夜便でもこの運賃とか驚きだわ。

日中(06:00-00:00): 65香港ドル(≒910円)
深夜(00:00-06:00): 70香港ドル(≒980円)

所要時間は約40分。今のところ、厳しい車両制限が敷かれてるので橋が渋滞する心配はない。一本道のイージーコースだからいくら阿保なドライバーが多い国とはいえ事故による渋滞もないだろうし。まぁ平気で中央分離帯を突破して反対方向に突っ込んじゃうような信じられん事故も頻発するような国なので、運転ミスにより海にダイブみたいなニュースが出てきても驚きはしないが。あとは橋の途中でバス炎上とか。この国で事故の可能性を考え出すときりがない。


発券機の近くにはサークルKやおにぎり屋さんもあるが、残念ながら営業時間外で閉まってる。お店は24時間オープンに対応してないのか!


夜間だと自販で辛うじて飲み物を買えるくらい。

ひだり みぎ
発券後、マカオ行きと珠海行きに分かれてバスに乗る。


23:25、検札。

香港から橋を渡って珠海へ


23:26、乗車。この時間帯でも3台のバスがスポットに待機していた。


21:00-23:59までは10-15分間隔で運行してるらしい。24:00-05:59も15-30分間隔とか、凄すぎるわw


座席に張られた広告はやっぱり不動産関連。橋去橋返即日来回、珠海にもう一戸のマンションはいかが?1平方フィート(0.092平方メートル)あたり2,300元から。最低780平方フィートなので、3,000万円から。確かに豚箱でも数千万する香港と比べれば安いっちゃ安いが、中国だと買えるのはあくまで土地の使用権だしな。

23:30、最後の座席が埋まったところで出発。
ひだり みぎ
海上橋と海底トンネルとで構成された世界最長の海峡横断道路。上下6車線と広々としているのにバスがぽつりぽつりと走っているだけで不気味な感じ。橋の上は原則として停車禁止で信号もなく、一定速度で海上に架けられた橋をひたすら走る。


珠海が見えてきた。

00:10、珠海側のイミグレ着。走り出してぴったり40分で珠海に着いたことになる。車で走って渡るのに40分かかる橋とかw

港珠澳大橋珠海公路口岸

メインの建物は閉まっているので、夜間専用のイミグレでサクッと中国へ入国。いつも上海や広州空港のイミグレであほみたいに並ばされてるので、これだけあっさりと入国出来て軽い感動を覚えた。
ひだり みぎ
くっそでかい建物なのに殆ど人がいなくて気味が悪い。
 
ひだり みぎ
ひだり みぎ

圧倒的人工感。こんなんが人口の島に浮いてるんだからやっぱりスケールがやばいわ中国。


大陸側に来てちょっと物価が下がった。こっちでVitasoy買えばよかったわw

ひだり みぎ
因みに珠海側のイミグレの場所はこんなところ。滴滴では車が拾えなかったけど、こんな時間でも一般のタクシーは列を成して客待ちしてたので、深夜着でも移動の足には困らなそう。

バスも拱北(城軌珠海拱北駅)行きは24時間走ってるみたいだし。
http://zh.bendibao.com/traffic/20181021/48079.shtm
珠海側のイミグレからのバスに関する情報も貼っておきます。日中は珠海各都市行きのバスだけでなく、広州・中山・江門といった広東省の近隣都市行きのコーチも運行してるよう。

実際どうなんだろうな。確かに夜間に香港空港に着いてからマカオ・珠海に行く分には便利になったけど。どっちかっていうと政治的プロパガンダ的な公共事業のようですよね。これでフェリー会社が運賃を落としてくれれば個人的には嬉しいんですがw

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