おどろおどろしい名前の由来は?血の上の救世主教会

国立ロシア美術館でロシア芸術を楽しんだ後は、いよいよサンクトペテルブルクの象徴的存在である血の上の救世主教会へと向かう。

血の上の…なんておどろおどろしい名前で呼ばれることの多いこちらの教会であるが、ハリストス復活大聖堂という立派な公式名称もある。それでも「血の上の教会」の愛称で呼ばれるのは、この教会が、ロシア皇帝アレクサンドル2世が革命派による凶弾に倒れた場所に建てられた為。

時は19世紀のアレクサンドル2世による治世。クリミア戦争の最中に崩御したニコライ1世に代わって即位し、農奴制を解体するなどロシアの近代化を進めるべく大改革を実施したアレクサンドル2世。しかし、一連の近代化政策による効果が上がらない状況が続いたことで社会不安が増大。更には皇帝が反動的政策をとり始めたことで民衆集団、政治集団、革命集団の過激化を招き…1881年3月、遂に皇帝までもが革命派による爆弾テロにより斃れ、その暗殺現場に教会が建てられたのである。故に血の上の救世主教会は、文字通り、血の上に建てられた教会なということなのだ。謎めかしいロシアにあるということもあって、血をも恐れない超原理主義的ロシア正教徒の根拠地くらいに思ってたわ。

そんな血生臭い建設由来とおどろおどろしい名前を持った教会がありそうにもない感じの平和な通りを歩いていると、視線の先に尖がりコーンが見えてきた。


運河効果で更にほのぼの感100倍。運河に沿って並ぶ露店の客引きもゆるーくやってます。


土産物屋の主力製品はやっぱりマトリョーシカ。


女性をモデルとした定番物だけでなく、ピョートル1世、ニコライ2世、レーニン、スターリン、ブレジネフ、ゴルバチョフ、エリツィン、プーチンといったロシアの歴代政治指導者をモデルとしたチョイ悪系マトリョーシカも。プーチンの中にエリツィン、その下にゴルバチョフ…メンツが濃すぎるぞ。

土産物屋を冷やかしながら歩き、教会の前の広場へと出た。
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名称や教会の建設由来に反し、ザ・ロシア正教会的な玉ねぎ型のクーポラや、おとぎの国のお菓子の家かのようなカラーリングとデザインが妙にかわいらしい。なんだったらプーチン氏のご結婚を祝ウェディングケーキの再現ですと言われても信じちゃいそうだし。名前と中身のギャップが人気の秘訣なのだろう、私も激しくギャップ萌えしちゃいました。


でも、ディティール見てると、そこはかとなく邪悪な感じが漂ってくるというか、中にボスがいそうな不穏な感じがする。玉ねぎも邪道な感じで刺々しかったり…

ここは入る前に装備品を整えてきたいところだが、近くに売っているものと言えば戦闘には役に立ちそうになりマトリョーシカくらい。諦めて初期装備の“ぬののふく”で教会ダンジョンに突入する。
ひだり みぎ
中に入るといきなりクライマックスというか、アレクサンドル2世が暗殺された場所に建つ小さな聖廟がある。まさにここが“血の上”ということになるが、歩道の敷石と鉄製の手すりは当時のままの姿で保存されているらしく、ここだけ周りより低くなってて、ちょっと不気味に思えるくらいのリアルな血の上感を味わえる。

ひだり みぎ
中央に進むと、壁という壁、天井という天井にはびっしりとモザイク画が描かれていて、聖なる空間感が半端ない。こんな神聖なる空間、宗教の一切が否定されたソ連時代はどうしたんだろう?と思ったら、やっぱり荒らされまくった挙句に野菜倉庫とかゴミ置きにされてしまうという憂き目に遭ったらしい。一般に公開されるようになったのもソ連崩壊後の1997年と比較的最近なんですね。アレクサンドル2世も浮かばれません。

ひだり みぎ
モザイク画のテーマは教会建立の由来が由来だけに、聖書の中から悲劇的な要素の強い主題がピックアップされている。これらは複数の芸術家により作成されているので、よーく見てみると作風が微妙に違ったりして面白い。


このモザイク画の質感、伝わりますでしょうか。360°見渡す限りに小さな陶片や宝石で埋め尽くされていて、鮮やかな色彩で視界が一杯になる。


ロシア正教の教会らしく、祭壇のてっぺんにも形の良い玉ねぎが付着。

ひだり みぎ

隙あらばジーザス。ジーザスを探せみたいになってる。


土産物も勿論ジーザス尽くし。タロットカード的なものなのか、マジックザギャザリング的なカードが多数揃っています。

【血の上の救世主教会(Church on Spilt Blood)】

公式サイト:http://eng.cathedral.ru/spasa_na_krovi/
所在地:26 A Griboedov Canal Embankment, St. Petersburg
電話:(821)3151636
営業時間:10:30-18:00(4月下旬-9月は22:30まで)


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