チベット仏教の聖地・ボダナートと輪廻転生の象徴・パシュパティナート

パタンを離れ、チャータータクシーで次なる目的地・チベット仏教の聖地ボダナートへと向かう。

ボダナートには高さ約36mとネパール最大の巨大仏塔があり、カトマンズの渓谷の一部としてユネスコの世界遺産にも登録された観光名所になっている。
なんたってネパール仏教の仏塔はネパールを象徴する建築物ですからね。カトマンズからも近いですし、ネパールに来たら外せないツーリストスポットでしょう。自分の中でもネパールと言われて初めに頭に思い浮かぶのは「インド料理屋の店員」、「ヒマラヤ」、そして三番目にブッダアイがついた「ネパール仏教の仏塔」というくらい、ネパールといえばあの独特の仏塔のイメージが強い。

人やバイクを轢きそうになりながらも荒々しく車を走らせる女性運転手。神聖なる牛の近くでは終始安全運転に徹するくせに、人に対してはクラクションもバンバン。轢きそうなくらいの車間距離で攻めの運転をする感覚が本当に凄い。


信号が殆どないネパールの町。車線もなくカオスな大通りには制服を着た交通整備隊が配員されトラフィックコントロールされている…はずなのだが、カオスすぎて実際にはあまりコントロールできてない。牛なんてSTPサイン見たところで止まってくれないですしね。

ひだり みぎ
人も車も牛も多ければ、道路にはゴミや穴ぼこも多いもんだからとにかく移動に時間がかかるネパール。運転手も疲れてしまったようなので、途中、タクシー運転手の妹が切り盛りするお店で遅めの昼食を頂くことに。


中東に出稼ぎに行った親族の方々も戻ってきており、謎の歓待を受けつつ頬張る麺料理。味つけは普通だったが、肉がとにかく硬くて硬くてしょうがなかった。で、なんの肉か聞いたらまさかの水牛。神聖なる崇拝の対象を食べちゃったやんけ!!異邦人枠でワイは牛を食べてもOKなの?と思ったら、水牛は牛は牛でも食べてもいいグレーゾーン的な扱いらしい。バナナがおやつに含まれないように、水牛は牛に含まれないということか。


ウォーターバッファローで腹を満たしたところで再出発。「駐車場が無いので、1時間後にここで合流しましょう。」と、ボダナート広場のゲート前で車を降ろされた。これ、絶対時間になっても迎えにきてもらえないパターンだよなーなんて思いながら運転手のもとを離れるワイ。

400ルピー(≒400円)の入場料金を支払ってボダナート広場に入ると、正面になんとも神々しい仏塔の姿が見えてくる。あー、これこれ、これぞザ・ネパール的なイメージですわ。


パタン博物館の解説に拠ると、台座は地、ドームは水、尖塔は火、頂上の傘は風、先端にある尖塔は空と、この仏塔は宇宙を構成する5大元素を表しているらしい。ようわからんが、きっと運気を良くしてくれるパワースポットなんでしょう。

ひだり みぎ
由来には諸説あるが、5世紀には既に建てられてたという。仏塔の中に仏の骨が埋められていることから、昔から聖地的な扱いをされてきたようだ。


東西南北の四面に描かれたブッダアイの目力はすさまじく、大量の鳩が吸い寄せられている。



仏塔の足元には回すとお経を読んだのと同じ功徳が得られる便利な参拝グッズ・マニ車があったので、わんぱくな子供と一緒にマニ車を時計回りに回してお経を読んだことにしてもらう。

ひだり みぎ
その後、ストゥーパを取り囲むように立ち並ぶ土産物屋や仏具屋を時計回りに巡っていく。そう、この時計回りというのが当地では肝のようで、とても反時計回りに回れるような空気ではなかった。現役の仏塔だけあって、ガチの僧侶組みも結構いたりしますからね。

ひだり みぎ
ひだり みぎ
土産物は、パタンと同じくお面がメインなのだが…。黒魔術系(?)のような気色の悪いものばかりなのだが、これらは買い手がいるのだろうか。

ひだり みぎ
曼荼羅などのスピリチュアル系グッズはまだ分からないでもない。買わなかったけど。

ひだり みぎ
実用的な土産はほんの一握り。これなら大衆受けするので女性陣へのバラマキ土産にもいいだろうと、石鹸とパフュームを購入する。

そんなこんなで1時間が過ぎ、次はパシュパティナートというシヴァ神を祭るネパール最大のヒンドゥー教寺院へと向かう…はずだったのだが、案の定、約束の時間になっても運転手が来ない。もうお約束だわ。時間を気にしなさすぎて、時計持ってないんじゃないのかとすら思うわ。

【ボダナート(Boudhanath)】

入域料:400ルピー

パシュパティナート(Pashupatinath)

パシュパティナートはガンジス川の支流であるバグマティ川の川岸にあり、ネパール最大のシヴァ寺院と火葬場があることで有名な観光地。

道中でスコール的な豪雨に見舞われ、ドロドロになった悪路を通行人にドロを飛び散らしながら飛ばす運転手。相変わらず人を人とも思ってないような扱いでびっくりするのだが、周りの車両をみても皆さんそんな感じで通行人に泥パックを見舞いまくりながら爆走してる。南アジアで最も温厚な民族とされていたネパール人だが、一たび運転席につくと性格が一変してしまうようである。

ひだり みぎ
相変わらず神聖なるお牛お様の前では一々スピードダウンするのが本当に笑える。

ボダナートから分。パシュパティナートに着いた頃にはすっかりと空も晴れ上がってくれていた。

「1時間くらいで戻ってきてね。」と言われ、駐車場から歩いて寺院を目指す。この人達、自分は思いっきり遅れるくせに、こちらが待たせると文句を言ってくるのでタチが悪い。


入域料として1,000ルピー(≒1,000円)を支払い中に入るも、肝心の寺院は残念ながらヒンドゥ教徒以外立ち入り禁止とか。何のための1,000ルピアだと失望していると、自称ガイドが火葬場は見学無料で写真撮影もし放題との情報を教えてくれる。

火葬場なんて縁起の良いものではないが、旅人はみな火葬場を見学していくのだと。
バグマティー川はヒンドゥーの聖地であるインドのバラナシを流れるガンジス河にも通ずる支流にあたるために聖なる河と位置づけられていて、この地で遺体を荼毘に付すことで母なる大河へと戻ってゆく。
輪廻転生を信じるヒンドゥー教の宗教観では墓は作らない。そのため、ここパシュパティナートを流れるバグマティ河はヒンドゥー教徒の終焉の聖地となっている。

火葬場といっても専用の炉や専用の建物があるわけでなく、棺があるけでもなく、薪で井桁を組み上げ、その上に布でぐるぐる巻きにされた亡骸を載せて焚焼するだけの完全なる野焼き。線香のものかと思っていた寺院の煙は、火葬場での聖なる葬送儀礼によるものだったのだ。

先ほどまで目に見え、この世に存在していた肉体が生々しい音をたて目の前で燃えていく。立ち上る煙に乗って魂は天上へと昇り、またいつか天界から降り注ぐ雨と共に地上に降りてくるという信仰心。日本のように遺骨を拾うこともなく、遺灰も全て聖なる川へと流されて、一体、また一体と、遺体が跡形もなく自然界へと還元されていく。輪廻転生。時空を超えて再び生物として生まれ変わるのか、輪廻の無限ループから解脱して永遠の無限ループ安らぎを得ることができるか、それは全て宇宙の配剤次第。

ただ、パシュパティナートにいるヒンドゥー教徒にとって死は全ての終わりではないと考えられていることだけは伝わった。死は終わりではなく、生まれて、死んで、また生まれ変わってという雄大な世界の流れの中のただの一部であり、ごぐごく自然なことというのが彼らの生死感なんですね。

遺体を火葬し、遺灰を流す横では人々が沐浴し、子供が遊ぶ。価値観を揺るがされるわ。

輪廻転生の象徴パシュパティナート、強烈だった。人によってはトラウマになるような刺激ある光景がすぐ目の前に広がるので、覚悟して行かれた方が宜しいかと。

【パシュパティナート(Pashupati Nath)】

営業時間:明け方4:00-夜まで(シーズンによる)
入場料金:1,000ルピー
住所:Pashupati Nath Road 44621, Kathmandu



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