16円の一日乗車券!ヤンゴン中央駅から環状線に乗ってみる

18:00のホテルチェックアウトまで時間があったので、ホテルから徒歩圏内にあるミャンマー最大の鉄道駅・ヤンゴン中央駅に行ってヤンゴン環状線に乗ってみることに。

38の駅を各駅で停車しながら3時間かかりで広いヤンゴン市内を一周するヤンゴン環状線。

一周の全長は山手線の約1.5倍の45.9km。
全29駅、全長34.5kmを1時間で周回する山手線と比べるとのんびりちびちびと走るようだ。

シャングリラホテルから駅へと向かう道中、スーレーパゴタ通りの陸橋からヤンゴン中央駅駅舎と哀愁漂わすレトロな列車が見えてきた。
ミャンマー中央駅は、ミャンマー北部・内陸部・シャン高地・沿岸部の地域を網羅する総延長6,100kmのミャンマー鉄道網の玄関口。ミャンマー風の駅舎は階段式屋根が仏塔を想起させるユニークな設計だが、これは、戦後の1954年に完成したものだそうだ。中央駅というのに周囲には緑が溢れており、駅舎はまるで秘境の中の遺跡のよう。
ひだり みぎ
因みにヤンゴンはミャンマーにおける第一の都市であるが、架線が無く電車は走っておらず、ヤンゴンを走る鉄道はすべて気動車となっている。それも、現役で活躍するのは、定年退職後にアジアに移住し活躍する日本人シニアの皆様よろしく、JRや日本の民鉄・私鉄などで使い込まれて引退した中古車両。日本で現役を退いた後にやってきて、海を越えたミャンマーの地で大活躍しているそうだ。

2000年代以降には、日本で不要となった中古車両が数多く譲渡されている。名古屋鉄道・伊勢鉄道・のと鉄道・天竜浜名湖鉄道・三陸鉄道・甘木鉄道・真岡鐵道・平成筑豊鉄道・北海道ちほく高原鉄道・松浦鉄道・樽見鉄道・いすみ鉄道・井原鉄道・北海道旅客鉄道(JR北海道)・東日本旅客鉄道(JR東日本)・東海旅客鉄道(JR東海)・西日本旅客鉄道(JR西日本)・四国旅客鉄道(JR四国)から譲渡された気動車のほかに、日本貨物鉄道(JR貨物)・北海道旅客鉄道(JR北海道)から譲渡されたディーゼル機関車、北海道旅客鉄道(JR北海道)から譲渡された客車、広島電鉄から路面電車が導入されている。

wikipediaから引用。
この日はどの車体が出てくるか、ヤンゴン環状線ガチャが楽しみである。

ひだり みぎ
陸橋を渡り終えて駅前へと差し掛かると、駅前が青空食堂で賑わっていた。極めて賑やかな駅前、良いじゃないっすかミャンマーらしくてw


青空食堂には胃もたれ間違いなしのミャンマー料理の数々が並ぶ。


駅前の繁華街を抜けると、いよいよ遺跡風のヤンゴン中央駅が姿を現した。4つの尖塔をもつ3階建ての立派な造りの駅舎だが、現役の駅舎というよりは歴史的遺構といった感じの廃れぶりである。



4面7線のホームを有するミャンマー最大の駅になるが、その雰囲気は、どちらかと言えばうらびれた田舎町の地方駅といった感じ。築60年以上たっても全くといっていいほど改修・修繕の手が入っていないようで老朽化も著しいし、切符の販売も改札ももちろん手作業。


こちらは長距離路線用の販売窓口になるのかな。マンダレー行き・パコックー行き・ピイ行き・ダウェイ港行きの時刻表が掲示されていた。因みにヤンゴン⇒マンダレーの所要時間は約15時間だが、この区間に投入される電気式気動車を丸紅主導のプロジェクトチームが受注して、所要時間も短縮されることになるらしい。鉄道譲渡も慈善事業じゃなく、しっかりと実利あるビジネスに繋げているようだ。


そんなこんなで駅ならではの旅情を味わっていると、突如として背後から「写真撮ってくださいおじさん」現る。撮影後に見せたら納得の出来だったようで、握手を求められたうえで満足そうにプラットホームへと消え去っていった。これはなんだったのだろうか…

謎のおじさんの出現に戸惑いつつも、私も写真撮ってくださいおじさんに着いてホームへと入ってみることに。

ひだり みぎ
充電スタンドやら雑誌やらが置かれたホームでは多くの乗客がグダグダと昼下がりのひと時を過ごしていて、スローライフを満喫される皆様のご様子にヤンゴンの日常を垣間見ることができる。



環状線は階段を6・7番ホームからの発車とのことで、ホームに入って左手突き当りの階段から繋がる歩道橋を渡る。


昼下がりの気怠さに支配され、まるで時が止まったかのようなヤンゴン中央駅。この廃れた感じがほんと堪らない。


乗車券はホームのキオスク的な建物で購入。From Yangon to Yangonで、運賃200チャット(≒16円)。16円ですよ、16円。日本のように改札システムは無く、この紙切れさえあれば一日フリーで乗り降り可能ということで、16円の一日乗車券。

ひだり みぎ
乗車するのは7番ホームで出発待ちの13:05ヤンゴン中央駅発JR久留里線w。電車とホームの段差がくっそ高くて飛び乗るような形で乗車することになるのだが、ここで手を差し伸べてくる少年に要注意。助けてあげたことに対する対価とばかりに水を滅茶苦茶な高値で売りつけてきますw しかも、ボージョーアウンサンマーケットの物売りのように、購入を渋ると付いてくるから始末が悪い。仕方なく水を買って追い払いました。


中はほぼほぼ満席で、扇風機が生ぬるい風を掻き回すだけで蒸し風呂のように熱い。車体にドアが無いので走り出したら風が吹いてマシになるかとは思うが、この中で3時間はだいぶ厳しそうだ。

ひだり みぎ
ひだり みぎ
まごうことなき本物のキハ38系w まさか遠くミャンマーの地で久留里線に乗ることになろうとは。

興味津々に車体を観察していると、久留里線は発車のベルもなく都心から郊外に向けてゆっくりと走り出した。無論、行先は木更津駅ではない。
ひだり みぎ
ただでさえ人口密度の高い車内だったが、停車する度に物売りの人達が次々と乗り込んで来て、込み合った車内の車両と車両を梯子して商売を始めるではないか。バナナ・リンゴ・パイナップルといったフルーツからカチワリ(?)やミネラルウォーターといったドリンク系、うずらの卵やもち米菓子といった軽食系、更には仏具や伝統メディスンといった雑多な日用品まで…車内は一気にディープな市民生活の場へと変化する。


かなり年季の入った線路を時速20キロ程度でゆっくりゆっくりと歩を確かめるように走る循環線は、各駅で大量の人を拾いながらのどかなヤンゴン郊外へと走っていく。もちろんドアは開いたまま。というかドア自体が無い。

ヤンゴン中央駅を出るとすぐ、景色は郊外のそれに。道中、線路脇で隣の線路に腰かけて話し込む若者や洗濯物を日干しする老婦、ゴミ山の脇で何食わぬ顔で飯を作る半裸のおじさんなどを次々と横切っていき、沿線で力強く生きる庶民生活が垣間見えて思わずほっこりするような光景がひたすら続く。

ひだり みぎ


ひだり みぎ
長閑な車窓の風景を楽しんでいたのだが、あまりの暑さと車内の人口密度の高さに根負けして20分程走ったところで途中下車。ここがどこだかも分からないので、タクシーを拾ってシャングリラホテルまで戻ることに。

所感

お決まりの観光地巡りだけではなく、お手軽にもっと現地の人の目線でその国を感じてみたい!そんな方にお勧めなヤンゴン環状線。通勤通学する労働者や学生たち、果物や日用品を抱え込み社内販売に勤しむ売り子さん、座席にあぐらをかいておしゃべりを楽しむおじちゃんおばちゃんたち…。地元の人たちと一緒にゆったりと列車に揺られていれば、ヤンゴン市民の何気な~い日常が垣間見えてきます。

【ヤンゴン中央駅】

循環線の1周の所要時間:3時間
運賃:200チャット(≒16円)
便数:1日の本数は15本ほど。始発は6時台から終電は17時台。



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