小雁塔と西安博物館

大雁塔で佛の心を会得した後はローカルバスで次なる目的地・西安博物館へと移動する。メジャーどころの兵馬俑博物館・碑林博物館・陝西歴史博物館あたりの影に隠れた地味な存在ではあるものの、比較的新しくてそれなりの展示物を収蔵する穴場的博物館らしい。

地図を見ると西安の中でも有名な観光地である小雁塔の敷地内にあるようなので、ついでに小雁塔にも立ち寄ることに。なんでも小雁塔は玄奘が持ち帰った経典が大雁塔に保管されたのに対し、小雁塔には単身海路でインドに渡った義浄三蔵が持ち帰ったインドグッズを保管するために建てられたらしい。なんかこんなネーミングだと義浄が格下の小者みたいだが、こいつも中々のキワモノで仏教を愛すが余りインドに25年も滞在し、玄奘同様に大量の経典を持って帰国した後に経典の翻訳作業に没頭した仏教界の大物のようである。
ひだり みぎ
最寄りのバス停「小雁塔」で下車すると、円錐形の屋根が宇宙線のように格好良い西安博物館の建物が目に入る。穴場的な博物館とのことではあるが、西安の名を冠しているだけあってそれなりにデカい。

強烈な毒霧に覆われて霞んでしまっているけれど、博物館と同じ敷地内に建つ小雁塔も目視で確認できる。大雁塔に遅れること約50年、707-710年に建てられたそうだ。当時の塔は15層だったものが地震で崩れ、今は13層で天頂部は崩れたままの姿になっている。

高さ43mと大雁塔より若干程度小ぶりなので、サイズ的な理由で小雁塔と呼ばれているのだろう。決して義浄が格下という訳ではありませんのでw

層の数は13と多いものの各層の間が狭く、全体に曲線的で柔らかな印象だ。

どうせ登っても大気汚染に包まれた西安の街並みは見渡せないのだから、塔の上までは行かずに敷地内を散歩することに。


こちら、突くのに金を取られる有料の鐘w。入場無料のしわ寄せが鐘突きに来てるのか、鐘を突くのに10元かかるのだとw。外国人観光客は暫し突くべきか思案し、結局皆様10元を渡して鐘を突いていた。…鐘突くだけで金を取られるのは理不尽に思う自分はもちろんスルー。

ひだり みぎ
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敷地内には色々と古風な建物が他にも並んでいるが、西安市古代建築工程公司が建てたアンティーク風に再現された建物だと思うとゲンナリだ。


さて、小雁塔周囲の散歩を済ませ、満を持して博物館へと入場しよう。

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入って直ぐ、先ずは平安京のモデルにもなった100万人都市・唐代長安の碁盤目状の街並みの模型に目を奪われる。唐の長安城は南北が8651m・東西が9721mという巨大なもので、北辺の中央に大極殿を中心とした宮城があり、碁盤目状の道路で東西南北に区画されていた。こいつを大雁塔から俯瞰したかったんだよな。

他にも西安に都が置かれた時代の遺物や西安関連の芸術品が多く展示されているのだが、個人的に楽しめたのは壁画レプリカのコレクション。

東普時代の墓石内部に描かれた農耕に従事する人達の絵。鍬みたいな農具を使ってせっせと耕してたり、天に祈りを捧げたりしてる。東晋といえば西晋が匈奴の侵入を受けて滅んだ後に漢族の司馬氏が江南で再建した国家。華北の北方民族(胡人)の文化とは異なる漢民族の牧歌的な生活ぶりが一幅の絵に見て取れる。

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後漢時代(25年-220年)末期の屋台と厨房。被写体が生き生きとかつ鮮明に描写されていて、最強古代王朝・後漢当時の場面が頭の中で再生できそうだ。


華やかな晩唐の結婚式。


思い悩む馬夫と、心配そうに馬夫を見つめる馬。一体何があったのか気になるところであるが、西安博物館では作品に対する説明書きが殆ど無いので想像力豊かに思いを巡らせるしかない。

俑コレクションも保存状態の良い展示品が揃っていて面白い。
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色鮮やかで優雅な服装や新しい髪型、精巧な装飾など女性の美に関する文化が大きく花開いた唐代。その遥か千数百年前の花咲ける女性たちの姿が俑を通じて観察できる。

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唐代の豊満な女性像。唐代の人々の審美眼的には豊満なポッチャリ系女性が美人とされていたようで、唐代の作品ではやたらと「おふくよか系女子」の出現率が多い。因みに…絶世の美人とも形容される楊貴妃も60キロ超の豊満ボディの持ち主だったと考えられているようだ。

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こちらは漢代のモノクロ文官像。表情や仕草まで細かいタッチで表現されている。


盾を持った北魏の戦士。やはり北方の遊牧騎馬民族である鮮卑の国の兵士だけあって顔立ち体つきが完全に北方系。

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隋代になると白い素地に灰釉をかけ高火度で焼成する白磁が出現。

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唐代の武官・文官。この時代まで来ると白磁に複数の色釉をかけ合わせた鮮やかな唐三彩が生まれるなど技術力が飛躍的にアップした。

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当時の世界一の大帝国の都である長安には突厥やソグド人・アラビア・ペルシャ・インド人方面からやってくる行商人も多く、明らかに漢族じゃない人たちの像の種類も豊富。


馬の上でふと人生に疲れちゃった人。こういった落ち込み系の人の描写が多いというのは何を示唆しているのだろうか。

こ、これは!?一人の直立した男の頭の上に6人もの男が乗っかっているのだが、雑技団だろうか。6人の男による荷重を支える土台の男の足腰の強さと、頭の上で真っ直ぐに立つ二層目以上のバランス力…これはウルトラA級の難易度の技である。

一番上の男の子がちょっと怯えた感じなのもリアルだわ。

いやー、どうだろうな。楽しめたけど、正直なところ陝西歴史博物館の内容とも被っているので、陝西歴史博物館に行くなら西安博物館の訪問は省いても良いかもしれん。入場無料だし時間が余ってるならアリだけど。

【西安博物館と小雁塔】

住所:中国西安碑林区友谊西路72号



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【2017年新疆・敦煌・西安旅行記】











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