朝の回民街と回民のメッカ・清真大寺

さあて、昨晩は夜に西安に着き晩餐を楽しんだだけで終わったので、この日が実質的に西安観光の初日となる。どこで何をするべしか…。見所満載の西安で行きたい所は腐る程あるのだが、ここやはり焦らず慌てずじっくりとホテル周辺から見て回ろうということで、この日も回民街周辺のウォーキングから始めることに。まぁ本当は疲れてて遠出したくなかっただけなんですけどw

それにしても回民街は朝から凄まじい人である。開店準備をする者、朝食の買い出しで歩き回る者、私のように周囲を観察しながら見て回る者、周囲の人間に手あたり次第に声をかけ観光ツアーに誘う者、様々な人間が忙しそうに通りを往来してる。
ひだり みぎ
昨晩は気にも留めなかったことであるが、飲食店の名称は老孫家臭豆腐や老劉家羊肉串といった具合に経営者の氏と商材の組み合わせというパターンが多く、中でも馬家〇〇という名が圧倒的に多いことに気付く。馬家一族がここら一帯を牛耳っているのかとも思ったが、後日シェラトンのスタッフに聞いてみたところに拠ると、馬(Ma)というのはムハンマドから来ているらしく、馬は回族の中で最も多い氏になるそうだ。朝鮮族系中国人の金さんみたいなもんだな。「へぇ~」とはなるけど、自分の後世には活きてこないであろう豆知識である。


北院門の中ほどから伸びる西羊市と呼ばれる横丁に入ってみる。

ひだり みぎ
こちらは道幅が狭いこともあり大型の飲食店舗はなく、代わりに簡素な屋台風の土産物屋や御当地ストリートフードの屋台が鬩ぎ合うようにして並んでいて、アメ横の様な雑多でカオスな通りとなっている。香辛料・ピラフ・串焼き・イカの姿焼き等々なんでもござれ。ここで土産として瓶詰めにされた激辛辣油を調達した。


更に西羊市の横路に折れてみると、今度は観光客向けのチープな土産物屋が並ぶ場末感満点のアーケード街が現れた。なんか奥に行く程に雰囲気がディープになっていくな。

ひだり みぎ
始めの内は回民街らしくイスラムアートやイスラムハットなんかが売られているけれど…。

ひだり みぎ
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徐々に誰が買うんだという毛沢東グッズが全面に押し出されてくるw。鞄に毛沢東・マグカップに毛沢東・キャンバスの上に毛沢東・トランプに毛沢東・ライターに毛沢東・ノートブックに毛沢東…そして、各国語訳された毛沢東主席語録というひたすらの毛沢東攻め。すっごい毛に対する信仰心が厚いのか見せかけといて、不敬にも毛主席グッズの中に如何わしい中世東洋物のポルノ商品を紛れ込ませたりと、なんともよう分からん場所である。


Oba Maoなんていうオバマと毛沢東を引っ掛けた実にくだらんパロディーグッズもあったり、ターゲットは外国人観光客なんだろうけど…それだったら毛のパロディーグッズや毛のご尊厳がデカデカと描かれた屏風じゃなく、兵馬俑とか歴史物グッズを置くべきだろうに。

あと、この点は注意が必要なのだが、少しでも毛グッズを手に取り見よう物なら店主が目を輝かせてやってきて営業マシンガントークを喰らうので心してかかるよう。

自分はついつい文化大革命中の紅衛兵必携の書・毛主席語録の日本語版を10元で掴まされてしまった。翻訳もしっかりしてて読物として意外と面白く楽しめたけどw

そんなアーケードの店舗内外に積まれた毛沢東グッズをかき分けるようにして歩を進めると、回民のメッカと称される清真大寺の外壁へと到達した。地図を見てみると、どうやら回民街はこの清真大寺を中心に広がっているようだ。
ひだり みぎ
入場料15元を支払い石壁に囲われた内部に入ると、周囲の喧騒が嘘のような厳かな雰囲気で驚かされる。構造としては縦長の左右対称で、奥の礼拝堂へと続く軸線は西方向、つまりメッカの方角を向いているようだ。やっぱり中国人化しても聖地はメッカなのな。


回教寺院はモスクのくせして建物の造りが中国風という非常に面白いコンセプトの基に築かれている。

建造が始まったのは唐朝時代の天宝元年(西暦742年)。イスラムチックな玉ねぎ屋根のドームも設けず、仏教寺院に似せた形にする事で異文化の中国で生き残ってきた。言わばイスラム文化と中国文化のハイブリッドモスクである。
ひだり みぎ
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入り口から礼拝堂への道は4つのセグメントに区画されていて、それぞれ特徴ある門で仕切られている。これらの門からも仏教寺院と思えてくるが、中華寺院で見られる金ぴかの仏像や聖人の像なんかは一切なく、所々に見られるアラビア文字(?)やアラベスクからここがモスクであることを辛うじて知ることができる。

こ、これがミナレットだと…。ミナレットというと、石造やレンガ造りで天を突くような高い塔を想像するとこらだが、ここのは木造でずんぐりむっくりしているというか…。
ひだり みぎ
こんなん完全に中国風建築じゃんかよと突っ込みたくなるが、柱や壁の浮彫をよくよく注意して見てみると随所にイスラム風のモチーフが確認できる。中国とイスラム世界のコラボとは、なんとも味わい深い建築スタイルだなー。


うーん、やっぱり一番奥の礼拝堂も木造、それも瓦屋根と来たもんだ。流石に瓦屋根のモスクというのは今迄にも見た記憶が無い。中東で生まれたイスラム教が中国に触れるとこうなるのかと思うと面白いものである。


遠目で見ると完全に古廟とか古刹といった印象の建物であるが、木造列柱ホールの造りでやはりモスクなんだと気づかされる。回族の方々が読み書きできるのか疑わしくもあるが、なんかアラビア文字もデカデカと書かれてるし。


こうなったら内部の装飾も見て見たかったのだが、残念ながらエントランスのガードが堅く内部見学とまではいかず…。

鼓楼から土産物屋の並ぶアーケードの商店街を抜けて清真大寺というのは古都・西安らしい風情を味わえる良い観光コースでしょう。毛沢東グッズの調達にもお勧め!

【清真大寺】

住所:化觉巷30号
開放時間:08:00-19:00
入場料:25元(冬季のみ15元)


Booking.com

【2017年新疆・敦煌・西安旅行記】











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