唐代の安西都護府跡 亀茲古城

クチャ王府を出て、亀茲古城を目指す。唐代の安西都護府跡である。

648年、西域支配の拡大を続ける唐は亀茲(現クチャ)に都督府安西都護府を設置。東は現・敦煌郊外の陽関や玉門関から西は中央アジアまでを包括する広大な西域地域を管轄する重要拠点として亀茲国は栄えた。クチャ出身の三蔵法師・玄奘は大唐西域記で7世紀の亀茲国について「東西千余里、南北六百余里、大都城は周囲十七、八里」と伝えているくらいなんで、玄奘が話を盛っていなければ大変な大都市だったのだろう。

王府から古城への向かう道。ポプラ並木が続く中、一定間隔で設置された中国国旗が風にたなびいている。


片道四車線の無駄に広い幹線道路に出た。古城跡がある天山西路のようだ。


王府から30-40分歩いただろうか、天山西路沿いのナツメ林の脇に不自然にこんもりと盛られた土塊を発見。

殆ど原型を留めておらず痛々しい状態にあるが、どうやらこいつが唐代の安西都護府跡のようだ。どこにでもありそうな田舎風景に溶け込んでおり全く存在感の無い遺跡、よく見逃さなかったなあと自分を感心してしまうレベルの代物である。断片的もいいところ、殆ど残りカス程度の物である。

中国西域の遺跡の多くはこのように土塊と化してしまっている。たかが土の塊なんかを見ても面白くないと扱き下ろす人もいれば、だからこそ面白いんだと主張する人もいる。後者曰く、朽ち果てた遺跡には「空想の空白」があるんだと。立派に再建された“遺跡”を見ても、「おぉ」としか思わないのが、想像の手助けにもならないような僅かな痕跡しか残らぬ遺跡を見ると、「一体これは何だったんだ」と想像を巡らし楽しめるのだと。

亀茲国は、天山山脈の南側を東西に走る古代シルクロ-ド・天山南路の最大のオアシスとして栄えた古都。東西貿易の中継地として通行商人から関税を徴収するなどして栄えていた。しかし、その繁栄ぶりを狙って北方の騎馬民族匈奴が侵攻し、その一方で東方からは漢民族が押し寄せるなど、多くの異民族により翻弄され続けてきた歴史がある。その幾千幾万の強者が競った舞台の中心がこの土の塊である。

仏教文化大いに栄え、三蔵法師も天竺への途中で立ち寄る重要都市であった亀茲国だが、今では崩れた城壁残るのみ。盛唐の時代を生きた強者どもの夢の跡を忍ばせる痕跡はまったく残っていないが、廃墟となり砂に埋もれた故城に立つと、悠久の歴史の前で個人は何と小さな存在かということをつくずく思い知らされるような気がしてくる。

さて、ここからバスで市街地へと戻り、昼食をとってから郊外地巡りの為の車を確保しに行くことに。
ひだり みぎ
それにしても、バス停や街頭の看板がもうね。「建設美麗新疆 共園祖国夢想」「習近平総書記 与新疆各民族人民心連心」等々、中共のプロパガンダ的なメッセージばかり。残念ながら目を閉じて耳を澄ましても、4世紀のクチャに生まれた名僧・鳩摩羅什の声が聞こえてくるような雰囲気はどこにもない。

ひだり みぎ
バスは比較的新しい。

ひだり みぎ
荷物検査、身体検査を受けてから運賃(1元)を投入してから乗り込むのだが…。匂いが半端無い。

クチャの繁華街とされる団結路と天山路の交差点付近で下車。

町の中心は漢化されていて、広い道路と高層団地だらけで新疆外の中国地方都市と変わらぬ雰囲気である。


一歩裏手には歩行街に民族風味特色餐飲街なんかがある。


ひだり みぎ
ここも結局漢字だらけ。

ひだり みぎ
ウイグル人住居は繁華街からちょっと離れたところにある。

ひだり みぎ
ウイグル人居住区にはナン屋が多い。ナンはカシュガルのバザールでも見た通り様々な形状の物があるが、ここクチャでは円盤の様に薄っぺらく大きな物や、円形でカリフォルニアピザのように縁が厚くなった物が多い。共に表面には細かくお洒落な模様がついているが、これはナンを焼く人固有の模様で、釜に投入する前に剣山のようなものを表面に押し当てて作るようだ。


軒先で湯気全開にして麺を茹でてる店舗も多い。ウイグル族のソウルフードであるラグマン用だろう。この極寒の地に於いてはこの湯気が最高の宣伝効果になる。


ポロとラグマンがウリのローカルレストランに入ってみる。中国の西安以西から中央アジアで広く食べられているラグマン、通常は茹でた麺にトマトペーストベースの汁で煮こんだ羊肉に各種野菜をぶっかけて食べるシンプルでお手軽な麺料理である。


ここでは麺の上にぶっかける具材が色々と用意されている。蘭州ラーメンよりは少しお高いかな。

ひだり みぎ
具沢山なお勧めラグマンと香辛料たっぷりの羊肉串で19元。今までラムは基本的に敬遠してきたけど、羊肉の串焼きはハマりそう。

さて、腹ごしらえも終わった所で郊外の観光地巡りに出かけることにしよう。

【亀茲古城】



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【2017年新疆・敦煌・西安旅行記】







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