ホイアンの街で、ランタンと共に目にすることが多い定番土産といえば、精細な木工細工と陶器が挙げられる。実はこれらもホイアンの伝統的な工芸品で、トゥボン川からボートに乗って実際にそれらの土産品を作っている工芸村を訪れることができる。ツアーで陶器の工芸村・タンハーと、木彫り細工の芸術村・キムボンを回るのが一般的なようだが、今回は谷弥次郎兵衛、蕃二郎と450年前の日本人商人のお墓参りの帰りに、そのままバイクで陶器作りの工芸村・タンハーへと送ってもらうことにした。
トゥボン川沿いを走る。途中、粗大ごみやバナナの皮などの罠が路上に仕掛けてあるので油断ができないのだが、お構いなしに猛スピードで爆走する運転手。マリオカートのクッパのような強引な運転だ。
バイク1台がギリギリ通れる程の狭い通りでの攻めの運転を見せるドライバー。彼は慣れていて御茶の子さいさいなんだろうが、後ろに跨る私にしてみたら結構スリルがある。
伝統工芸村のイメージからは掛け離れた廃墟も多い。やっぱり他の工芸村と同様に跡継ぎ問題などで立ちいかなくなってるのかな。
おっ、庭先に登り窯があったり天日干しされた焼き物や大きな粘土の塊が並んでいる。これが陶器の工房かな。
村の中心からは少し離れた川沿いにある工房に到着。窯元の御婆ちゃんが満面の笑みで迎えてくれる。孫娘さん曰く、この道50年以上の大ベテランで、数々のタイトルを受賞してきた一級の職人だそうだ。
私たちの前で轆轤の実演をしてくれることに。轆轤は電動ではなく、蹴轆轤で、孫娘さんが足で蹴って轆轤を回転させ、御婆ちゃんが熟練の技で丁寧に陶器を象っていく。小生も轆轤成形に挑戦させてもらったが、歪んで形にならず断念。 手びねりの陶器作りはやったことがあるが、轆轤を使った陶器作りは思っていた以上に難しい業のようだ。小生にはこういった職人的な才能は備わっていないのだろう。
このように手作業で形造られた粘土は必要に合わせて削りなどの追加工が施され、太陽の日射しのもとで乾かしてから炉で焼き上げられる。
こちらが完成品ギャラリー。茶碗、花瓶、壺、急須、お椀、とっくり、平皿などの各種陶器を購入できる。ここで作られた陶磁器は ホイアンのお店だけではなく、全国に運ばれるようなので、昨晩シークレットガーデンでお土産として貰った陶器の小笛もこの村で作られたのだろう。昨日のは音がでなくて不良品だったので、現品を持ってきて交換してもらえば良かった。
まじまじと完成品を眺めてみると、洗練度がある芸術というよりは、素朴で手作り感たっぷりの温かみある記念品といった感じかな。落ち着いた色で良い味は出してるんだけど。ベトナム陶器ではやっぱりバッチャン焼きが有名だけど、この村で作られた陶器はタンハー焼きと言うのだろうか。
結局お買い上げしたのはこちらのお皿。ホイアンならではのデザインで、日本橋がメインに描かれている。これはホイアン市場でも見なかったので掘り出し物かな。参考までに二枚でVND550,000でした。多分値切ればもう少し下がったのだと思う。「同じものを半額で買った!」なんて情報が入ったらショックで寝込んでしまいそうですが、まぁ日本とゆかりのあるホイアンの伝統工芸をサポートする意味ではちょっとくらい高く買わされてもまぁ良いか。邦日本円換算すれば大した額じゃないし。
家の中も案内してくれた。タンハー村は16世紀頃から村中でトゥボン川の粘土を使った陶器作りが始まったそうだ。最盛期には村人の殆どが陶器作り名人だったそうだが、現在では陶器作りで生計を立てているのは数十家族だけになってしまったという。やっぱり伝統工芸というのはどこの国も似たような問題を抱えていますね。
陶器工房の訪問を楽しんだ後は、せっかくなのでドライバーに頼んでタンハーの村の中心で降ろしてもらう。
魚市場かな。ちょっと生臭い。
ホイアンものんびりとした町だが、ここタンハーは更に時間の流れがゆったりとしているようだ。*写真右側の煉瓦の山の上に白い帽子かぶってヘッドフォンを付けた男性が映りこんでしまっているが、心霊写真なのだろうか…
野菜や果物などの食材や衣料品などの生活物資が並ぶ。さっき買った陶器がここでもっと安く売ってたらショックだなーと思ってたが、タンハー村の市場には卸してないようだ。
工房巡り以外には特に見どころが無いようだが、轆轤での陶器作りまで体験させてくれるタンハー村、職人さんとも話せたし、結構楽しめた。ホイアンから4Km程度しか離れていないので訪れる価値はあり。
【2014年ホイアン・ダナン旅行記】
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