羽田空港 JAL ファーストクラスラウンジ

つい数十時間前に日本に戻ったばかりなのに早くもお役御免になり、いつものCX543で香港へと移動する。ラウンジ体験キャンペーンの影響なのかワンワールド他社から利用客が流れてきているのか、時間帯によってはキャセイラウンジが込み合うようになってしまった。隠れ家的な落ち着きが好きだったのに…それならばと今日はキャセイのラウンジを回避してJALのファーストクラスラウンジに食わせてもらうことに。去年の8月に拡張リニューアルオープンしたばかりで「広く、ゆったり、さらに豊かに。モダンジャパニーズの新空間」などと謳っているし、天下の鶴丸のフラッグシップラウンジなら乞食一人を養うくらいなんてことないだろう。

チェックインを済ませ、自動化ゲートを抜け出国。同僚からの頼まれ品を調達してからJALラウンジへととぼとぼ歩く。いつもの142番ゲートラウンジではなく、今回は112番ゲート横。エレベーターを上がり、二階に上がると清潔感溢れるエントランスが現れる。JAL独自の調合アロマが焚かれているそうで、柑橘系の爽やかな香りに癒される。受付にキャセイのインビテーションカードを渡すと、毎度毎度の「○○様、いつもご利用ありがとうございます。」攻撃だ。今年のJAL搭乗実績はゼロ、搭乗券にはCX DMの文字…嫌味ではないんだろうが、幽霊JGCメンバーでラウンジだけ使わせてもらって罪悪感は感じる。

受付を無事突破。ラウンジへ続く通路は何だか凝った作りになっている。

両脇には和紙の上にサクラの花模様があしらわれた白い屏風、その先には和紙の純白な白さにコントラストを成す目の覚めるような青い芸術先品が掛けられている。著名な左官技能士による「ひこうき雲 ~ 空と翼の軌跡 ~」というタイトルの作品で、これから空の旅に出る利用客に高揚感を持たせるモチーフになっているそうな。正直、芸術的感性ゼロの小生がパッと見ただけではモチーフが伝わらなかったし気持ちの高まりも感じなかったが、見る人が見ればグッと気持ちが高まるのでしょう。

芸術的なホールウェイを抜けるとダイニングコーナーが見えてくる。

「room to room」という空間デザインのコンセプトのもと、ラウンジ内はテイストの異なる部屋が格子のような和風な感じの仕切りでゆるやかに区切られている。利用者がそれぞれ好みのスタイルでくつろげるようにとの工夫だそうだが、混雑していてラウンジの奥の方の席しか選びようがなかった。昨年のリニューアルで大幅に拡張されたとはいえ、まだまだ施設のキャパに対して利用客が多すぎる。ここまで混んでいるとはちょいと誤算。


メインラウンジは込み合っているが、一番奥にあるRED SUITEと銘打たれた特別にプライベートな空間はひっそりとした雰囲気を保っている。中は「ライブラリールーム」「ギャラリールーム」「プレイルーム」「バールーム」という4つのそれぞれ異なるコンセプトの部屋で構成されている。


隠れ家のようなひっそりとした大人の空間、中はまるでハイソな図書館のような博物館のようなお堅い雰囲気。マスタッシュを生やして口にシガーを加えた渋みのきいた大人限定の秘密の社交クラブといった感じと言ったら良いか、敷居が高いので中は空いている。

ひだり みぎ
モダンだなー。写真左が世界各地の旅や文化を題材にしたアンティーク調の洋書や展示物が並ぶライブラリールームで、右はコンコルドの模型などのJALアーカイブスが飾られたギャラリールーム。


国際線チケット・ステッカー、アンチークなトランクなどの旅行小物やボーイングの超音速旅客機2707の模型、実際に機材に搭載されていた計器パネルなどのコックピット器材など、点数は少ないが空の旅を想起させるワクワクドキドキなアイテムで埋め尽くされている。


シルクハット型のランプシェードに壁紙の航路図がオシャレなプレイルーム。


懐かしのフーズボールに…


チェス。いずれも一人では楽しめません。ちょっとクラシーすぎるよなぁ。小生的には御座でウイイレパワプロ桃鉄などができた方が楽しめるんだが。

とまぁこんな感じで秘密クラブ内を徘徊しているとすると、高橋克実風の味のある大人に声をかけられる。秘密クラブに似合わないからといって職質を受けたわけではなく、靴磨きサービスの担当者様とのことだ。暇だからだろうか、何だか窓拭き的なことまでやらされてて大変そう。靴だけでなく窓磨きも彼の職務範囲にあたるのだろうか。

世界各地の航路図を背景にしたこちらがジョンロブとコラボして実現された靴磨きサービス。バールームで酒でも飲んで待っていて下さいとのことだったので、お願いすることに。小生はジョンロブではなくオールデン愛用と告白したが、没問題。ジョンロブ以外のメーカーのもので、しかも特殊なコードバン素材の靴でも快諾してくれた。因みに靴磨きサービスの提供時間は7:00~11:30と17:30~23:30と昼過ぎから夕方まではやっていないので要注意。ポリッシュ中はスリッパを貸してもらえるので、予備の靴などを用意する必要はない。


こちらがレッドスイート内のバールーム。英国王室御用達のシャンパンメゾン「ローラン・ペリエ」や厳選された日本酒が揃えられ、それぞれリーデルの専用グラスでじっくりと味わえる。

ひだり みぎこだわりの日本酒は秋田の新政ヴィリジアン、高知の文佳人 辛口 純米吟醸、広島の富久長 純米吟醸。その他、究極の米焼酎と銘打った「百」という焼酎の銘柄も置かれている。酒のコレクションは流石にファーストクラスに相応しい内容になっているようだ。


酒を仰いだら腹が減ってきた。ダイニングメニューを観察してみると、おつまみになるような小鉢は多いものの、全体的には成田のサクラと余り変わり映えしない気がしないでもない。 サクララウンジにはないメニューとしては対面式の鉄板焼きカウンターなんかもあったりするのだが、肝心のシェフが不在。「対面サービスによる焼きたてパンケーキのサービス」は「作り置きされたパンケーキ取り放題」と化していた。個人的にはパンケーキよりもホテルみたく卵料理にした方が無難だと思うのだが、何故にパンケーキよ。


それでも喰らう。ラウンジにいると、食わねばならぬという強迫観念にかられる悲しい貧乏性。これ以外にもJAL名物のビーフカレーが終日提供されているので食べたかったが、食欲が湧かずに今回は断念。


酒類は豊富。生ビールサーバーのほか洋酒、ワイン、日本酒など種類もあって選択の幅が広い。

この他にもマッサージルームやシャワールーム、ビジネスコーナーなども完備。でもどうだろうな、羽田のファーストクラスラウンジ。幽霊JGCの分際で物申すのは恐れ多いが、ラウンジ内の混雑ぶりに各スタッフも余裕が無いように見受けられた。唯一空いていてゆっくりできたレッドスイーツはアレはアレでお洒落で良いのだが、全体的に「和のおもてなし」「モダンジャパニーズのおもてなし」というコンセプトからは外れたチグハグ感は否めない。思いっきり浮いてたもんな、レッドスイートだけ。日本人のオジサマ方が入るにはちょい躊躇するような雰囲気で敷居が高いし、だからこそ空いていたんだろう。どうせやるなら大袈裟なくらい思いっきり「和」を全面に押し出したりゃよかったのに。

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