ダラット高原鉄道で隣町のチャイマット村へ

縦に長い国土の南北が統一鉄道という交通大動脈で結ばれているベトナム。山岳地帯にあるここダラットにも1932年~1938年にかけて鉄道が敷設され、統一鉄道南北線のタップチャム駅からの支線が伸びていたそうだ。だが、ベトナム戦争後の主要路線復旧工事に際して行政から不要不急の路線というまさかの戦力外通告を突きつけられ、資材供出のために路線を残して廃線とされてしまう。駅、建てたのに…路線、引いたのに…当時の鉄道敷設関係者の恨めしい声がそこはかとなく聞こえてくる。

う~ん、先人の苦労のもとに建てられたこの路線を上手い具合に有効活用して町興しできないか…という議題が観光誘致会議で挙がったのかは知りませんが、やがて、「ダラット高原鉄道」と銘打った観光鉄道として、ダラットから7Km先のチャイマット村までの一駅区間限定で復活運行するようになったそうだ。ただ、このチャイマット村自体は特にめぼしい見どころはなく、単にダラットの隣の駅だったというだけで観光列車の終着駅になってしまったと思える寂れた村で、これを機に村を発展させようといった考えも一切見られない長閑で平和な村だ。タップチャムまでの路線が再開した際には、再びその存在が忘れ去られてしまうのであろうちっぽけな村が終着駅ではあるが、ダラット高原鉄道のロマンに惹かれ、世界中から鉄男・鉄女が集まってくるという。自分自身も鉄男というわけではないが、ホーチミン市に戻る前に何とか時間を捻出し、ダラット高原鉄道に乗車することに。

ダラット駅はスンフン(春の香り)湖の湖畔にある。湖の脇を通り抜け、駅を目指しバイタクで走っていると、右手に面白い看板が目に入った。
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残念ながら通り過ぎてしまったが、「ひろしマート」との文字が青い看板に踊っている。在越日本人ひろしさん開業のスーパーマーケットらしい。自己主張して何ぼという派手目看板が蔓延る昨今、「ひろし」という名前の脱力感と、どこか弱弱しい控え目な感じのフォントが奏でる絶妙なゆるさ加減がひろしさんの人柄の良さを物語っている気がする。

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ひろしマートからバイクで1分、ランビアン山を模したと言われる三角屋根が特徴のダラット駅に到着だ。なんとなく雪景色が似合いそうなおしゃれな佇まいのこの駅舎はベトナム一美しい駅とも称されているらしいが、現在は観光目的以外の一般利用はされておらず、完全な宝の持ち腐れとなっている。

因みにこのダラット駅、ベトナム一美しいで賞の他にも数々の誉れ高き賞の数々を受賞してきたアワードウィナーらしい。

【ダラット駅の主な受賞アワード】
・最も古い駅舎
・最も高い場所にある駅
・最も独創的な駅舎

翻訳が下手なだけだろうか、何だか余り「おぉ!!すげえ!!」とはならない微妙な賞ばかり受賞してきたダラット駅に感心しつつ、売店で濃厚なダラット・ミルクを一気飲みしてから駅舎へと入る。

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クラシーで、どこかメルヘンチックな雰囲気の待合室。そこに飛び交い鳴り響く中国語の怒号。いや、彼らは怒ってるつもりも大声で話してるつもりもないのでしょうがね…「うお、これさっき撮った写真見て!」「いいじゃんいいじゃん早速ウェブに投稿しなよ」こんな極普通のありふれた会派まで大声で話す必要はどこにあるんだか…中国人の声のボリュームにすっかり辟易している白人の横で構わず大声を張り上げる中国人という、何度も見た構図がここでも繰り返されている。


こちらは現在の時刻表。7:45発、09:50発、11:55発、14:00発、16:05発の一日5本がダラット⇔タップチャム駅を結んでいる。客車はデフォルトで4両編成で、乗客数によって連結数を増減させているそう。余りにも客の集まりが悪い場合は一方的にキャンセルされることもあるらしいので、タップチャム駅に行ける行けないはある程度運任せになってしまう部分があるのが辛いところ。

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待合室の奥を抜けるとそこはプラットフォーム。運良く今回はそれなりの集客ができたとので運行するという知らせに拍手喝さいが巻き起こる。

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プラットホームの右側に今回乗車する鉄道が、左側には現役引退した機関車や、軽食やアルコール類を含むドリンクが供される「ダラット・プラトー・レイル・ロード」が停車している。ダラット線の現役時代を模した造りとなっていて、綺麗に改装されている。

485ここちらは実際に運行される車両の客室。いざ、「ダラットの車窓から。」の始まりだ。

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道なき道を行く」感がたっぷりで、一見してどこにレールがあるのかわからない草むらの中をかき分けて進んでいく。時速30km程度の低速でコトコトゆっくり走り、のどかで平凡な風景を楽しむことができるが、シートが木製の為にケツが痛い

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チャイマット駅までの約30分間、車窓から見える景色といえば、木々、ニンジン・キャベツ・アンティチョークの畑、そして、ビニールハウスビニールハウスビニールハウス。ダラットは観光地としてだけでなく、冷涼な気候を活かした高原野菜の栽培地としても知られているだけあって、びっしりと大規模なビニールハウスが展開されている。


ビニールハウスの景色を楽しむこと30分弱、チャイマット村に到着。

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プラットホームが無いので線路に直接降り立つことになる。この村で40分滞在した後に、乗ってきた電車でダラットまで引き返すことになるので、くれぐれも復路便に乗り遅れぬよう、時間配分を計算して村の探索を行う必要がある。とはいってもチャイマッ ト村の観光資源は本当に本当に乏しく、40分もあれば 見るべきところは全て見て帰れるといった規模の村なので、余り時間的な心配はいらないか。

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ダラット中心部は色とりどりの花々が咲き乱れ、古き良き教会やヴィラが佇むお洒落な雰囲気だが、ここチャイマット村はだいぶ趣が異なる。 木造の個人商店では男どもが昼間っからビール片手に囲碁やカードゲームを嗜んでいる。なんというか、のんびりほのぼのとした村だ。

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ゆっくりとした穏やかな時間が流れる村を散策していると、目の前に突如としてド派手な寺院ゲートが出現。ゲートの上には幸せそうなほっこり笑顔の大仏の御尊顔がプリントされた看板がデカデカと掲示されていて、この門をくぐるだけで御利益がありそうだ。

霊福寺と呼ばれる寺院はゲートから徒歩1分のところに建つ。此の親にして此の子ありではないが、此のゲートにして此の寺院あり。ゲートの派手さに負けない威風堂々とした佇まいの寺院です。
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じゃああ~ん。

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中では信者さんが集まり、LEDランプに照らされた仏像に向かってお祈りを捧げている。仏像とかも派手であれば派手であるほど御利益があると考えられているのだろうか。ベトナムではクリスマスバリに派手なLEDで仏像が装飾されているのをよく見かける。

そして、ここ霊福寺は仏像だけではない。寺院の壁面・柱・天井と、内装にも趣向が凝らされていて、全てが目の痛くなるほど派手な極彩色で彩どられている。そう、日本の厳かなイメージとはかけ離れていて驚かされるが、上座部仏教寺院と思われるここのテーマは「とにかく派手に祀れ」なんでしょう。

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これは凄い、ビール瓶や不要となったタイルなどの廃材で作ったエコ獅子。

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頭上を仰げば、この寺院の屋根を人力で支える罪人(!?)たちの姿が!。凄まじい形相で屋根を支えています。

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2階には高さ17mの仏像がそびえ立っていて、その周囲を無数のミニ仏像がぎっしりと囲んでいるwww

ハチャメチャな霊福寺の見学を十分に楽しんだが、それでも帰りの鉄道の出発まで時間があまったので、駅近くのDonna Cafeで一服する事に。英語メニューも有る清潔なお店だが、フルーツシェークがVND 20,000~、ビールはVND 15,000~と良心的な価格設定で、ダラットから遥々チャイマット村に来たものの、やることのなくなってしまった観光客が殆どここに集結している。

メニューを眺めていると、そこには衝撃の文字が。Strawberry icecream with beer。え? strawberry icecream with beer…アイスにビール?いっちょ頼んでみると、なんてことはない。名前の通りビールにアイスがぷかぷかと浮いている…せっかくなのでビールとアイスを完全融合させて味わうと…これは飲んでみてのお楽しみ。チャイマット名物というわけではないが、ここまでこられた方は是非こちらをご賞味頂きたい。

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