マラッカ・セントラルから路線バスに揺られること50分、マラッカ観光の中心地であるオランダ広場(スタダイス広場)に到着。スタダイスとは「議事堂・市役所」を意味するオランダ語だそうで、1641年にポルトガルからマラッカの支配権を奪ったオランダが1650年に完成させ、役所、兼、総督の官邸として18世紀まで使用されていた建築物のことを指すみたいだ。中心広場には鮮やかなピンク色の外壁で凄まじい存在感を見せつけるスタダイスの他にも、キリスト教会や時計塔、噴水などシンボル的建築物が集中していて、まるでテーマパークのセッティングのような街並みだ。
時計塔と噴水は、イギリス統治時代の1904年、ビクトリア女王即位60周年を記念して造られた。オランダ広場一帯は存在感あるランドマーク的建築物が目白押し。
オランダ統治時代に建てられたムラカ・キリスト教会。キリスト・プロテスタント派の教会で、マラッカ占領100周年の記念事業として1741年に建設開始、1753年に完成した。今は土産販売にも注力されているようで、入り口を塞ぐ勢いで品を並べる商店には安っぽいキリストグッズが豊富に取り揃えられている。入り口に立っていると、キリスト教の説明などはされず、キリストグッズの購入を迫られる。
教会前では客待ちタクシーの集団が屯している。とはいっても日本で見る4輪タクシーではなく、トライショーと呼ばれる人力車がこの街のタクシー代わりだ。各車体共に豪華な装飾を配し超大音量の民族歌謡を流しながら街中を爆走している。
まるで新郎新婦が乗るようなデザインのトライショーに野郎二人が…乗車客が恥ずかしそうにするのも無理はない。
マラッカ川に面して設置された風車や大砲跡。この辺りの町並みは、どこを切り取っても映画さながらのノスタルジックな雰囲気だ。大都会クアラルンプールも魅了たっぷりが、ゆっくりとした時間の流れを感じられるマラッカもまた風情があり宜しい。
マラッカ川から小高い丘を登ると幾つかの洋館が見えてきた。博物館とのことだが残念ながら今年度一杯は改修工事中で入場不可とのこと。スタダイス広場周辺は博物館の密集地域のようで、徒歩圏内に10ヶ所以上の博物館が固まっている。
尚も丘を登り続けると、マラッカ海峡を望める絶景スポットに行きついた。
空と海の青に木々の緑、ジャワ建築のような白亜の壁にオレンジの屋根を頂いた家々、そして吹き付ける気持ちの良い海風…古き良きマラッカ中世期の生活を偲んでいると、日々の仕事の悩みがばからしく思えてくる。
1396年に建国されたマラッカ王朝は1414年にイスラム教を国教として採択。その後、中華圏とアラブを結ぶ海のシルクロード東西交易で繁栄したマラッカ王朝を駆逐したのが大航海時代の覇者ポルトガル。マラッカを支配したポルトガルは自分たちの信仰であるキリスト教をこの地に根付かせるようローマ教会に依願し、イエズス会所属の宣教師に白羽の矢がたった。当時ヨーロッパでは大規模な宗教改革運動が勃発したこと、また、ちょうど大航海時代が始まったこともあり,カトリックはアジアへの布教活動の展開を画策。その布教組織がイエズス会,アジア担当部長が日本でもおなじみのハゲ、フランシスザビエル氏だったということだ。さて、イエズス会の命を承け、イエスの教えを伝道するためにユーラシア大陸最西端のポルトガルから極東地域にやってきたザビエルさんは、マラッカを拠点に日本への伝道活動を成功裏に終える。更に中国大陸での布教活動を目指す途中、中国大陸手前、マカオ西方に浮かぶ上川島にて志半ばで殉教してしまう。そして、彼の遺骸はイエズス会アジア本部のゴアに廻送される途中、このセントポール教会に安置されたそうだ。
外壁だけ残し廃墟のまま放置されている内部では、ヒッピー風の青年がギターを奏でている。その楽曲は何と…中国カラオケの定番曲『月亮代表我的心』・・・見事に中国語で歌い上げていました。
スタダイス (The Stadthuys) | |
住所: | The Stadthuys Jalan Gereja 75000 Melaka |
電話: | 606-284-1934 |
時間: | 09:00-18:00 (金曜日 12:00-14:45) |
定休日: | 月 |
料金: | RM 5、子供はRM 2 |
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