マラッカ中華街でプラナカン文化に心酔

スタダイスからマラッカ川に架かる橋を渡ると中華街が見えてくる。ここマラッカの基礎を築いたマラッカ王国時代、東西貿易で栄華を極めていたマラッカ王朝へ嫁いだ明の皇女とその従者がこの地へと渡ってきた頃から海峡中国人と呼ばれる南洋系中国移民がマレーシアを中心とする東南アジア地区に根付くようになり、何世紀もかけて土着のマレー文化と中華文化が融合したプラナカン文化と呼ばれる独自文化が育まれてきた。あの我の強い中国人が他文化と融合?そうなんです。一般にマレー系、中国系と言えば生活スタイルはそれぞれ異なるが、言葉・食事・衣類などはマレー様式を取り入れつつ、祖先崇拝や冠婚葬祭の道教的中国文化を維持して、互いのスタイルを融合した独自の生活様式を生み出したのだ。初期のプラナカンは商業で成功し巨万の富を築いた者も多く、ここマラッカには彼らの華やかな生活様式を見ることのできるババ・ニョニャ・ヘリテージ博物館がある。ババとはプラナカン男性のことで、ニョニャは女性を指す。

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マラッカ川の東側はポルトガル・オランダ色が強いのに、この橋を渡った先は一気に中国だ!

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ひだり みぎ

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中華街の中心となるのはジョンカー・ストリート。階下が店で店の奥や上階が住居となる独特のショップハウス形式の店舗がずら~っと並ぶ。マラッカ川東側のポルトガル・オランダ的な町の雰囲気と打って変わって、エキゾチックでエネルギッシュな中国の街だ。

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カジュアルなローカル食堂から洒落たカフェ、土産屋に骨董屋、民族工芸品店などが立ち並び非常に賑やかだ。夜はナイトマーケットも催されるらしい。

ひだり みぎ
有名なチキンライス屋である和記で遅めの昼食を摂る。

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飯を済ませてジョンカー通りを奥に進むと世界遺産公園が出現。

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公園のど真ん中には有り得ない程にムキムキで満面の笑みを見せるボディービルダーの銅像がで~んと構えている。彼もまたプラナカンなのか知らないが、こんな面妖な像、世界遺産公園の雰囲気には全然マッチしていないぞ。

もう少し通りの奥に進むとボディービルダー養成所があり、建物の前にはまた彼のたくましい像だ!
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ひだり みぎ
今度は金色!余程凄いお方に違いない。ここマラッカの中華街では犬も歩けばマッチョ像にあたる。説明書きを読むと、どうやらマラッカ出身の伝説的なボディービルダーらしく、「ミスター・マラッカ」「ミスター・マレーシア」「ミスター・アジア」「ミスター・ユニバース」「マレーシアのボディービルダーの父」「英雄」「博士」などと、ありとあらゆる表現で賛辞が綴られている。

マッチョ像を後にして向かった先はジョンカー通りの一本隣のトゥンタンチェンロック通りに建つババ・ニョニャ・ヘリテイジ。1896年に建てられた典型的なペラナカン様式の邸宅を一般公開している数少ない貴重な場所である。
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ゴム農園などで巨万の富を得てマラッカの中国系住民きっての豪商として名を馳せた陳一族の邸宅とのことだ。入口が閉まっていたので休館かと思ったが、ドアのベルを鳴らすとおばちゃんがドアを開けてくれ、素早く入館料のRM12を徴収してきた。中ではどうも自由気ままに内部を徘徊してはいけないらしく、ツアー開始を待つようにと指示される。ある程度の参加者が集り次第ツアーは開始される。説明はありがたいが、もっと自由で館内を見て回れれば面白いし、もっと見てみたいと思っているところを急ぎ足で次へ移ってしまうのは大変残念。しかももっと残念な事に内部での写真撮影も禁ぜられている。展示内容自体は非常に見ごたえのある物だった。中国文化を連想させる派手な色使いの豪華爛漫な装飾品も目を引く一方で、家具などの調度品は洗練されたヨーロッパ風。アジアンテイストと思いきや西洋風な雰囲気も強く、不思議な異空間の雰囲気に浸ることができ、当時のニャニャの豊かな生活ぶりとマラッカの繁栄ぶりが頭に浮かんできます。

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トゥンタンチェンロック通りはババ・ニョニャ・ヘリテイジだけでなく、他にも多くの華僑の豪邸が残されており、東西交易で富を築き上げた古きよき時代の香りを楽しむことができる。プラナカンの建築物はまるで京都の町屋のように間口が狭くて奥行きが深い構造となっていて、一階は主に店舗や事務所、二階が住居という機能になっている。これらの建築物はショップハウスと呼ばれ、一戸単独ではなく数件が隣り合った状態で建てられるのが一般的だそうだ。色はパステルカラーの建物を多く見た。華やかな色で塗られた建築群には、ネオ・ゴシック様式やバロック様式などの西洋建築のスタイルが取り込まれ、よろい窓や瀟洒な柱で彩られている。また、ファサードにも細かな花やつる草模様のレリーフが施されていて、プラナカンの人々の美意識の高さとこだわりの大きさを伺える。

トゥンタンチェンロック通りには他にもプラナカン文化にまつわる博物館があるようだ。
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こちらの緑色の可愛らしい建物は海峡華僑宝石博物館。残念ながら休館のようで入れなかったが、ニョニャの装飾品に特化した博物館とのことだ。

中華街といっても中国一辺倒ではないのがマラッカの中華街。観光メインストリートのジョーカー通りだけでなく、一本南に延びるトゥンタンチェンロック通りで財を成した中華富豪により築き上げられたた古きよき時代に触れるのも良い経験だ。

ババ・ニョニャ ヘリテージ博物館
住所: Jalan Tun Tan Cheng Lock
電話: (+606) 283 1273
時間: 10:00 – 12:30、 14:00 – 16:30
定休日:
料金: RM 12(≒380円)

 

海峡華僑宝石博物館
住所: 108 Jalan Tun Tan Cheng Lock, Melaka
電話: 606-281-9763
時間: 10:00-17:00
定休日:
料金: RM 15、学生はRM 12


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