カンボジア小旅行の締めはシェムリアップ国際空港からバイクで10分弱のところにあるカンボジア文化民俗村。私をUS$2でカンボジア文化民俗村に運ぶために8時間以上も待機していた執念深き運ちゃんのバイクに乗せられ、国道6号線を一路西へ進む。
この気持ちいい青空!しかし、バイタク運転手の口からマシンガンの弾の如く繰り出される営業トークに、せっかくの清々しさもかき消される。ベトナムのバイタク運転手のしつこさには未だ若干の愛嬌が感じられるが、カンボジアの場合は悲壮感あるのみ。『文化村の後はマッサージはどうだ?(嫌とは言わせない)』『文化村の後は空港近くのクメールレストランはどうだ?(嫌なとは言わせない)』ってな感じで、営業トークと言うか、寧ろ恫喝じみた脅迫に近い感じ。たま~に営業戦略からかバックミラー越しに笑顔を見せるが、溶けきった前歯がむき出しになっていて、逆に不快感と恐怖感が増幅するだけだ。
文化村に到着。ここで悪人相のバイタク運ちゃんとはようやく手切れだ!相場よりは高いが彼の言い値であったUS$2を彼に握らせて走り去ろうとしたら案の定…渡した2ドルを右手で握りしめ、左手をパクパクさせて『戻る為のガソリン代US$2』とか言いやがる。合計2ドルって言ったじゃねーか!バイクのエンジンをかける前にも念押ししているし!『金の為じゃないんだ。文化村って遠いんだよ。』と食い下がる歯溶け親父。だから知らねーよ!文化村の場所を把握した上で2ドルって見積もったんだろう!!大体、金の為じゃないとか言って金を請求してきて発言と行動の整合性とれてなさすぎる。200円ごときではあるが、ふっかけられた時は男として引いてはいけない。結局、お互いの主張をぶつけ合った挙句、『①とりあえずは2ドル。②4時間以内に文化村⇒空港までを1ドルで移動する。1ドルは込々費用。』で決着した。②に関しては1ドル以外の費用は一切発生しないことを何度も再確認したが、果たしてどうなるであろうか。
ようやくバイタクから解放されてチケットブースに向かうと、一難去ってまた一難。驚愕の事実を突き付けられる。『US$15です。』んん??手持ちのガイドブックにはUS$12と書いてある。カンボジアの古典的ジョークか何かかな、多分?古いガイドブックは信用すべきじゃないとはいえ、それでも1年前のMadeInJapanのガイドブックとニヤケ顔のカンボジア人の言うこと、どちらが信じられるかと言うと、1年前のでも迷わず日本のガイドブックである!絶対に!これ、ガイドブックには入場料US$12と書かれていますよ?と日本語ガイドブックを係員の眼前に突き出すも『ええ、値上したんです。』との一言であっさりと片づけられた。どうやら値上は本当らしい。ただでさえ12ドルとか高っけぇなぁと思っていたのだが…
US$15と引き換えに貰った地図とパフォーマンスショーの時刻表。
人口の90%を占める大正義クメール人の他、ベトナム人、華人、36の少数民族から成るカンボジア。どうやらこちらの文化村ではカンボジアに住まう各 少数民族の生活様式や伝統儀式を再現したショーが披露されているようだ。
ショーの名前 | 開催時間 | 開催場所 |
Khmer Wedding Ceremony | 10:30-11:00 | Millionaire House |
Mix Khmer Traditional Show | 13:30-14:30 | New Theater |
Khmer Wedding CeremonyⅡ | 15:10-15:40 | Millionaire House |
Mixed Chinese Traditional Show | 15:50-16:10 (月~木) | Chinese Village |
Happy Chinese Dancing Show | 15:50-16:10 (金土日) | |
Dreamy Princess’s Daughter & Magic Peacock | 16:20-16:40 | Kola Village |
Choosing Fiancé | 16:50-17:20 | Kroeung Village |
Khantremming | 17:30-18:00 | Khmer Village |
Rice Praying | 18:10-18:40 | Phnorng Village |
The Greatest King Jayavarman 7 | 19:00-20:00(金土日) | Big Theater |
おあつらえ向きに殆どのショーの開演時間は午後に固まっていて、急げば午後一のショーである クメール伝統ショーに間に合う!という訳で21万平方メートルという無駄に広い敷地の中を小走りで会場に向かう。
くっ、オブジェやら銅像やらが一々コメディー感に溢れているぞ。カンボジアの歴史と文化、各民族の暮らしっぷりを紹介するお堅い民俗博物館的な場所であろうかと想像していたが、入ってみると実にシュール!!アミューズメントセンター的要素が随所にちりばめられていて、急いでいるのに不思議オブジェの前で足を止めて見入ってしまう。
場末感漂わせるミニチュア涅槃像やプノンペンのセントラルマーケット模型、超ミニミニ王宮像などの姿も発見。涅槃像は良いとして、広大な土地にある余りに控え目な模型は何だか見ていて物悲しくなってくる。
そしてついに到着ニューシアター。中に入ると既に満員御礼の中でショーは開始されていて、中学校の体育館のような舞台の上で中国雑技団も顔負けの柔軟体操が披露しているぞ!
[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=JW71aEIcVTI[/youtube]
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[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=qnWuPkw8L1M[/youtube]
[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=Xka9IXqoSnU[/youtube]
[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=senUdSU2dL0[/youtube]
他にも武術有り、太鼓の演奏あり、棒術有り、闘鶏ショー有り、アプサラダンスショー有りと、演出や小道具のチープ感は否めませんが、次々にクメールショーが繰り出される。
続いてミリオネア―の館という名の高床式木造住宅の2階で結婚式のショーが催される。
言葉は聞き取れないが、カンボジア人客たちは涙がちょちょ切れるくらいに腹を抱えて大爆笑しているので、よっぽど面白おかしい内容なのだろう。ショーの展開は分からんがカンボジア人が椅子から転げ落ちる勢いで爆笑してる姿を見て楽しんでいたら、不意にシャーマンっぽい役どころの男がこっちに来た!!顔には油性マジックで眉毛とちょび髭が書かれている。いまどき小学校の演劇でももう少し手の込んだ演出を見せてくれるだろうが、顔に落書きされた大の大人が迫真の演技でシャーマンを演じる姿は一周廻って何だか新鮮で面白い。
なんだなんだ!隣に座っていた韓国人が腕を掴まれステージ裏に連行されていった。すると、民族衣装姿に変身した中国人が満面の笑みを浮かべて舞台上へ。観客参加型なのかい!サクラなのかと思ってしまうほどにノリの良い中国人と思われる男性は、どうやらクメール美人の花婿役に抜擢されたらしい。
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身振り手振り手解きを受けながら婚約儀式を一つずつ紹介していく韓国人。
無事に大役をこなして退場する韓国人。
この後も孔雀ダンスや婚約者選びのショーなど外国人観客を強制的に巻き込む参加型ショーが次々と繰り広げられていく。しかも、思い出作りの為にちょろっと出演とかじゃなく、花婿とかバリバリの主役を与えられるから驚きだ。人選によっては悲劇になりかねない。
さて、こちらで全てのショーを紹介できれば良いが、ページの容量上、特に印象に残った中国曲芸ショーのみをご紹介。
中国村には、なんかよく分からないけど言われてみたら確かに中国っぽい不思議なオブジェが特に多い。
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ショーの方も、何かどことなく中国っぽいよねー的な、中国に対する浅はかなイメージだけでやってるじゃないかとも思えるアクション芸ばかりだが、こってこてのわざとらしい芸が見ていて何だか微笑ましい。勿論、ここでもカンボジア人、大ウケ。
最後に、入り口横にあった蝋人形博物館へ。
こっちは一転、嫌にリアル。
何だかんだで安っぽいショーも楽しめて、文化村には4時間以上も滞在してしまった。フライトまでの良い時間つぶしになったどころか、すっかり15ドルの元は取れたと思う。暑いので日が昇り切る前の朝から…というのあなた、戦略ミスです。どうせ行くなら13:30からの訪問がベストだと思います。
因みに先述のバイタク運転手、ちゃんと4時間待っていました。しかし、1ドルと約束して握手まで交わしたのに、シェムリアップ空港に到着すると見事に5ドル請求されました。口約束なんてこの国では何の意味も持たないようです。
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