プノンペンからシェムリアップへのバス移動

ざわざわがやがや…ホテルの外から否応なしに聞こえてくる町のどよめきが鼓膜から耳神経を伝わって薄っすらと意識の中に入り込んでくる。時計を見ると06:00…カンボジア人の朝は早く、ホテルの壁は薄い!!

というわけでプノンペン最終日は街の雑音騒音のBGMに起こされた為、予定より早くシン・カフェプノンペン支店へ向かう事に。軽くホテル周辺の探索をしてからチェックアウトを済ませると、ホテルを出るなり路肩で待機していたトゥクトゥクドライバー3名が満面の笑みでウィンクをしてくるではないか。プノンペンのトゥクトゥクドライバーはとにかくフレンドリー!初体面なのにくっしゃくしゃの笑みを浮かべて『ハローマイフレンド!今日の予定はどんなだい?』と聞いてくる。それも今回は3人一斉のスマイル射撃だ。シンカフェの住所を見せると元気いっぱいに『ファイブダラーマイフレンド!!(相場は1.5~2.0ドル)』と声を上げる。ふっかける時も悪びれた様子は無く、ひたすらに屈託の無い笑顔を見せてくるので何だか憎めないが、相場の倍を取られて彼らに仕事を発注するわけにはいかない。結局、別の流しのトゥクトゥクを捕まえて2ドルでシンカフェへ。有名ホテルや観光地前で屯しているドライバーたちは互いに談合して強気な価格提示をしてくるので要注意だ。

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ホーチミンで事前購入しておいたプノンペン⇒シェムリアップのバスチケットを提示すると、何ともぶっきらぼうな命令口調で10分後にバス出発地点まで移動してもらうと告げられる。どうやらこのシンカフェ、プノンペンからシェムリアップへは自社バスを出していないので、他社バスのターミナルまで送り届けるとのことのようだ。空調が無く蒸し暑い室内で10分程待機させられた後、係員の操るトゥクトゥクで別の場所に強制移動させられることに。

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ひだり みぎ
1964年に建築され、今となっては場末感を漂わせるオリンピックスタジアム横を通り過ぎ、昭和初期の香り漂う猥雑なローカル市場を抜ける。ガタガタ道を10分程走っただろうか、振動でケツが痛みだした頃、カンボジアの最大手旅行代理店の一つに数えられるというキャピトルツアーのバスターミナルに到着。

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これが世界中のバックパッカーから絶大な支持を集めるというキャピトルツアー&キャピトルゲストハウス。一泊US$4~(エアコン付きはUS$10~)という宿泊費用の安さも魅力だが、カンボジア滞在延長手続きや周辺国の査証取得代行業務、各地へのパッケージツアーなどのバックパッカー向けサービスも充実。今日でもプノンペンに滞在する中長期滞在旅行者の溜まり場となっている。

キャピトルゲストハウスHP⇒http://www.capitolkh.com/

ひだり みぎ
バスターミナル内部は意外にも地元のおじさんおばさん達で埋め尽くされている。キャピトルからはシェムリアップだけでなく、ホーチミン、シ アヌークビル、バタンバンなどへもバスが出ているようだ。参考までに今回利用するシェムリアップまでのバスは320Kmを7時間超をかけて走り抜ける長距離バスで、お値段は何とKHR 22,000≒ US$ 5≒480円!!!

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旧植民地時代の建物が広がるキャピトルの周囲を見回すと、車にバイクにトゥクトゥクがごちゃごちゃと入り乱れて走っていて非常に賑やかだ。ここら一帯が一大バックパッカーエリアなのだろう、周辺にはUS$3~10程度の格安ゲストハウスが密集していて、辺りを歩こうものならバイタクの勧誘、大麻のお誘いの声が四方八方からひっきりなしに飛んでくる。

[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=amgFueh6ndo[/youtube]
1978年までクメールルージュの手によって廃墟と化せられていた事実を改めて知り、日ごろはうるさいだけの街の喧騒や、埃っぽさや人々の表情その一つ一つがまた違ったものとして見えてくる。ポルポト派は集団内部以外の価値観を認めない原理主義集団であり、自分の考えと異なるものは徹底的に排除した。それが自国民であってもだ。都市部の住民は強制的に農村に移住させられ,首都プノンペンを含む多くの町は数日でゴーストタウンと化した。旧体制を支えた軍人,公務員はいうに及ばず,教師や知識人も見つかり次第片っ端から粛清され、劣悪な環境での過酷な労働による栄養失調,病気なども加わり,1975年から78年の僅か3年間の間に200万人とも300万人とも言われる大勢の人々が犠牲になったのだ。

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さて、物思いに耽りながら人間観察をしているうちに出発の時間がやってきた。キャピトルの対面にあるコンビニで毒々しい色の南国風ドリンクを買い込み出発を待つバスのもとへ。

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出発時刻5分前に到着したシェムリアップ行きバスはホーチミン⇒プノンペンのバス同様にヒュンダイの中古落ちバスだ。激しく傷み、表面材が剥がれ落ちかけた椅子のレザーは臭い、冷房口をつけると悪臭が漂う悪環境だったが、慣れは怖いもので、乗車後5分足らずで臭いは気にならなくなった。

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乗客は私以外は物凄い量の荷物を運ぶカンボジア人ばかり。ホーチミン⇒プノンペンは旅行者ばかりで和気藹々と楽しかったのに…

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キャピトルを出発したバスは市内で乗客をピックアップしながら進み、1時間も経たないうちに高さ15mにもなろうかという高い椰子の木が並ぶ荒野に真っすぐ伸びる1本道に入った。武装集団によるバス襲撃事件など物騒な話も耳にしていたが、至って平和的なトンレサップ湖沿いの国道六号を延々と北上する。

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ひだり みぎ

ひだり みぎ
出発から約二時間後、最初の休憩地点でストップ。両隣の民家では、痩せ細り骨と皮だけに見える白い牛が、静かに黙々と草をパクついている。何とも物悲しくなる風景だ。

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その後も後ろからバスや乗用車に追い抜かれながら、私の乗る鈍行バスは牧歌的田園風景の中の一本道をひたすらに突き進む。雄大な大自然の中にカンボジアの田舎暮らしの様子が垣間見れて面白いのだが、私の乗ったバスは路上脇の高床式住居の軒先で乗客を降ろしたりする為か、走行スピードが非常に遅く、昼過ぎに出たのに日が暮れても未だ着かない。

一体何時に着くのだろうか、気がつけば完全に夜じゃないか!!!今日はテンプルクラブでアプサラダンスショーを見る予定だったのに…
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ひだり みぎ
20:00を回ったところで本日二回目の休憩に。暗闇の中に幾つかの豆電球をぶら下げただけのジャングルレストランの中には虫が大量発生している為、食わず飲まずでバス内で待機。15分後、バスは再び走りだし、結局シェムリアップに到着したのは21:00過ぎ…

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