大連の中山広場はかつて日本の統治時代には大広場と呼ばれた大連を象徴する場所であり、どのガイドブックにも載せられる大連の定番観光スポットだ。
大連国際貿易中心ビルの展望室から撮られた写真を見るとよく分かるが、直径213メートルの円形広場を中心にラウンドアバウトになっていて、10本の道路が放射線状に伸びている。パリを模して大連の都市開発にあたった帝政ロシアによる設計であり、当時はロシア二世の名前を取ってニコライフスカヤ広場と呼ばれた。そういやパリの凱旋門の周りもラウンドアバウトになっている。壮大な都市計画を抱いて大連の都市開発に着手した帝政ロシアだったが、直ぐに日露戦争が勃発して大連開発が頓挫する事に。そして日露戦争に勝利しロシアから大連の譲渡を受けた日本は、ロシアが作成した都市計画を踏襲し、広場名を大広場へと変更し、ラウンドアバウトの周囲に当時の行政機関や銀行を集めて新都市・大連の中枢にふさわしい西欧風建築を配置した。中山広場に面して建っている現存の建物10のうち、なんと7つもが、日本人の手によって建てられた建物であり、それらは竣工から100年経った今でも現役で使われている。ニコライフスカヤ広場⇒大広場⇒中山広場という名称の遍歴だけ見ても大連近代史の複雑さが分かる。
さて、見事な円形をした中山広場であるが、住所は中山路北のスポットを1号地として、そこから反時計回りに10番地まで区分けされている。各番地に建つ建造物の旧称と現在の名称、建設者は下記の通りである。
所在地 | 建築年 | 旧名称 | 現名称 | 設計者 |
中山広場1号 | 1920年 | 朝鮮銀行大連支店 | 中国工商銀行中山広場支行 | 中村與資平建築事務所 |
中山広場2号 | 1908年 | 大連民政署(大連警察署) | 遼寧省対外貿易経済合作庁 | 前田松韻(関東都督府民政部土木課) |
中山広場3号 | 1914年 | 英国駐大連領事館 | H.Ashead | |
2000年 | 大連金融大廈 | 同左 | 未発表 | |
中山広場4号 | 1914年 | 大連ヤマトホテル | 大連賓館 | 太田毅(満鉄工務課) |
中山広場5号 | 1919年 | 大連市役所 | 中国工商銀行大連市分行 | 松室重光(関東都督府民政部土木課) |
中山広場6号 | 1936年 | 東洋拓殖株式会社大連支店 | 交通銀行大連市分行 | 宗像主一建築事務所 |
中山広場7号 | 1910年 | 中国銀行大連支店 | 中信銀行中山支行 | 中国人 |
中山広場8号 | 1950年 | 大連人民文化クラブ | 同左 | ベラルーシ人を長とするソ連チーム |
中山広場9号 | 1909年 | 横浜正金銀行大連支店 | 中国銀行遼寧省分行 | 妻木頼黄、太田毅 |
中山広場10号 | 1918年 | 関東逓信局 | 大連市郵政局 | 松室重光(関東都督府民政部土木課 |
この中山広場の周りのラウンドアバウトは一方通行だが4車線もあり、交通量が多いもので道路を渡るのには苦労を強いられる。ただ、周りの建物を見ようとするとどうしても広場の中に入らないといけないものですから命懸けで渡ることになる。
こちらは現中国銀行遼寧省分行、旧横浜正金銀行大連支店。どの建物もライトアップされていて異国情緒を醸し出している。
現交通銀行大連市分行、旧東洋拓殖株式会社大連支店(左)。植民地事業のための国策会社である東洋拓殖株式会社の大連支店であったが、戦後の1951年から1957年まで中国共産党大連市委員会庁舎として、その後は市政府の分庁舎として使用された。奥に見える紫色にライトアップされた建物は現中国工商銀行大連市分行、旧大連市役所。
現中国工商銀行中山広場支行、旧朝鮮銀行大連支店。朝鮮銀行は日本統治領での中央銀行としての機能を担っていて、大連支店の業務拡大に伴って建物を新築した。竣工は1920年、中村與資平による設計。
旧大連ヤマトホテル、現大連賓館。
一際目立つ赤レンガ建築は現シティバンク、旧大連民政署~遼寧省対外貿易経済合作庁。中国東北地方に渡った最初の日本人建築家であった設計者の前田松韻は、時計塔を持つドイツ・ハンブルク市役所をお手本にして大連民政署を設計したそうだ。関東都督府民政部の下で大連を管轄した行政機関、大連民政署の庁舎として建てられた、日本統治下の大連で最初に建てられた官庁建築でもある。
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