香港の地味観光スポット『ヌーン・デイ・ガン』

銅鑼灣の地味観光スポットの一つであるヌーンデイガン。このヌーンデイガンとは、毎日正午になると時報として空砲を鳴らす儀式である。もう150年以上も続けられているという英国統治時代の風習を継続する由緒正しきイベントですが、他のメジャーな観光地と比べると集客力は今一つのようだ。私も香港には何度も小旅行に出かけているが、一度も足を運んだことがないので、折角だからと土曜日に時間を作って見に行くことにした。

場所はトラムが行き交う大通りや下町情緒の残る裏路地が入り組む銅鑼灣。トラムが走るほか、ヌーンデイガンやビクトリア公園などが残り、英国統治時代の名残が多く残る地区の一つです。

12:00の号砲の10分前くらいに着けばよいと思っていたが、銅鑼灣駅に着いて時計を見ると既に11:40。急いで北のビクトリアハーバーに面した午砲台へ韋駄天走りで向かう。

ハーバーが見える所まで辿り着くも、片道4車線とかあるゴッツイ大通りに行く手を阻まれてハーバー方面に渡ることができない!!時、11:45、左右を見渡すも、目視で見える範囲では横断歩道はおろか歩道橋の存在すら確認できず。時は刻一刻と迫り、焦り出す私。背後にそびえ立つワールドトレードセンター(WTC)の車寄せの兄貴に場所を尋ねると、エクセルシオールホテルとワールドトレードセンターの間の駐車場から地下道を経由して向こう側に渡れるとの貴重な情報を得た。

どこだ!どこだ!と歩き回り、漸く見つけた地下道への入口は…

ぐう地味!!!!!!!!!しかもただでさえ地味で存在感の無い入口はミニバンの影に隠れてんじゃんか!!観光客に対する嫌がらせかよ!!!


入口上部の看板にはWillson Parkingとの文字の下に、近づくと微かながらに見えてくる程度の小さなか弱い文字で『Noon Day Gun』と書かれている。20m程離れたら目の届かないレベルの小さなフォントで、残念ながら観光客への配慮は微塵も感じられない。WTCの建物の威厳を損なうようなぎんぎらぎんのド派手サインを設けろとは言わないが、もう少し目に入る看板なりを立てておいて頂ければ助かるのだが…


急ぎ足で階段を駆け下りる。

ひだり みぎ
ここまで来れば香港観光局も親切心を出し、頻繁に砲台までの矢印看板を置いてくれている。


高級車がズラリと並ぶWTCの駐車場を颯爽と駆け抜け…


エクセシオールホテルの海水輸送用の鋳造配管の横を走る。


香港は地形的に雨水を山が蓄えることが出来ず、慢性的な水不足に悩まされ続けてきた。上水を中国本土から引いてきたり海水淡水化技術を取り入れたり、必死に水資源を確保している。トイレのフラッシュ用の水などは海水をそのまま使っているところも多い。清潔で豊富な淡水に恵まれた日本にいたら想像もつかないかもしれないが、世界中には深刻な水不足に悩まされる国が少なくない。ウォータービジネス関連の株にちょいと投資をしている私には今後の展開が気になる所だ。

などなど深緑の排水管とウォータービジネス関連株の今後に想いを馳せながらも足を進め、最後に階段を登ったところで漸く大道路の向こう岸に到着。

階段を登り切った先が直ぐにヌーンデイガンが行われる午砲所でした。予定よりはちょっと遅れたが、11:55に到着。朝方に雨が降ったせいもあってか、私の他には1組のカップルが正午の号砲を待っているのみで閑散としている。


時間が来ると、おもむろに歩き出すおじさん。JRの所掌さんばりのパリッとした濃紺ユニフォームを身に着けて大砲を何やら弄り、鐘をかんかんと10回程鳴らしだす。いよいよパフォーマンスが始まるようだ。


鳴らし終えたと思うとおもむろに大砲の方へ歩き出し、大砲の前に向かい…


どっかーーーん!!一瞬の出来事。カウントダウンやお辞儀など無しにひょいと大砲をぶっ放されたので、不意を突かれた形で結構ビックリした。私にしたら初めての経験だが、オッサンにしたらもう何百回・何千回とやっているルーティンワークなので、変にもったえつける意欲も無かったのかな。空砲なので弾は発射されないが、当然、午砲として市内に砲音を轟かせねばならないので近くで聞くとかなりの迫力で、発射後の周囲は噴煙で覆われる。


午砲完了後は敷地を開放してくれ、大砲や鐘を近くで拝むことができる。

ひだり みぎ
大砲は第一次世界大戦のユトランド沖海戦で実戦に使用された3ポンド砲とのこと。1ポンド=0.45Kgなので、3ポンド砲では1.35Kgの砲弾を打てる計算だ。そんなに大きくないが、音だけは非常に立派である。この儀式、日本へ進出した最初の外資企業としても知られる英国系コンゴロマリットのジャーディン・マセソン社の社長が香港に出入りする時に礼砲を撃つという仕来りに由来するそうだ。その後、この礼砲の伝統を知らない香港着任直後の英国海軍将官がこの企業慣習に難癖をつけ、ジャーディン・マセソン社への罰則として毎日正午に大砲を撃つよう命じたことが今日の伝統に繋がっているらしい。罰則で嫌嫌やらされているのならば、先の大砲係のオジサンのぶっきら棒で投げやりな感じの対応にも説明がつくw

毎晩20時からビクトリアハーバーを彩どるシンフォニーオブライツのような豪華なショーを期待してくると、オジサンが空砲を鳴らすだけと言う地味イベントにガッカリされてしまうであろう。なんせ本日は私とカップル1組の計3人と言う盛り上がらなさ具合だ。おじさんのやる気がでないのも仕方があるまい。観光訪問の優先順位は低いかと思う。

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