バンコクのスーツ詐欺(!?)2

前回からの続き。トゥクトゥクの運ちゃんに連れられて寺院2⇒スーツ屋に移動します。
それにしても国立博物館前で会った教師と仏陀2であった銀行員、そしてトゥクトゥクの運ちゃんの間で見事に一糸乱れぬ連携が取れているのは大したもんである。

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仏陀2からトゥクトゥクで5分。ここだと言って降ろされた先はこの建物。んん?本当に国営工場の直営店か?すっごくこじんまりとしたお店です。恐らく他の詐欺被害者もここで不当な金額で粗悪品を掴まされたのであろう。

恐る恐る入ってみると、3人くらいのインド人ルックの男が笑顔でお出迎えしてくれました。人種差別をするわけでは無いが、怪しさ全開です。

インド『ウェルカム!どうやってここを知ったのかな?』
私『ある男の紹介を受けたんです。』
インド『そうかそうか、ラッキーな者よ。今日がセールの最終日なんだよ。本来ならば完全会員制だが、今日は貴殿にも販売してあげよう。まあ店内を見てくれたまえ。どんな上質生地だって揃っているんだよ。』

一通り店内を見渡す私にインド人の追撃が入る。
インド『日本人だろ?俺もよく日本には出張に行くんだよ。これが俺のカスタマーさ。』と言って世界に冠たる日系大手企業の社員たちの名刺を見せてくるインド人営業員。セール最終日だというのに店内を見渡すと他に客はいない為、実績をアピールしようにも説得力が無いし、むしろ名刺を盗んできたのではないかと猜疑心が働いてしまう。

インド『これなんてどうだい?絶対に皺がつかない生地なんだ。』そういって生地を思いっきり絞りだす。雑巾のように絞っても、手を放すと生地は元通り。皺はつきませんよってアピールらしい。

インド『早くしないと。今日が最終日だから。あと30分で工場に発注しないといけないんだ。大体オーダーから1週間で仕立てが終了。住所を教えてくれれば海外にもEMSで配達しますよ。(着払い)』

怪しい。怪しすぎる。凄い急かしてくる。値段を聞くと、スーツ上下にベストで5万バーツ(≒15万円)とか言ってくる。クレジットカードもokよ、と。怪しいし、この時点で買う気0。後はどうやってこの店を離れるか。インド人(?)営業員3人の他に従業員なのか、おばさんがとお姉さんが一人ずつ。こっちは私一人だ。やっぱり要らないと言ってみるものの、やはり気まずい。

私『まあ今回はやっぱりいいです。次のハッピーブッディストの日に来るぜよ。』
インド『俺らは客に購入を強要したりしないぜ。これは年に一回の大売出し。皆様への利益還元セール。言ってみれば我々の社長から皆様へのプレゼントのようなものさ。』と言って私を囲んでくるインド人一団。

強要しないという割には中々帰してくれない。気が付けば値段が4万バーツに下がっているし、ウィンターコートの抱き合わせ販売などもやたらと勧めてくる。

私『いや~それでもやっぱり今はいらないや。また後で戻ってくるから。』心にも無い嘘を言ってここから離れようとするも、食い下がってくる百戦錬磨のベテラン詐欺テイラー。

『今発注しないとハッピーブッディストデー特別価格の恩恵を受けられないよ!』
だからそもそも何なんだよハッピーブッディストデーって!私は仏教徒じゃないし!すまんが本当に買う気はない!とインド人を振り切って半ば強引に店の外に出る。
すると。。。

私が手ぶらで店から出てくるのを見るなり、何故か悲しげな表情を浮かべるトゥクトゥクの運ちゃん。やっぱり貴様もこの一団の肩担ぎ役か!

運『ハッピーブッディストデーのセール日に何も買わないなんてどうしたんだい!もっと良い場所を紹介してあげようじゃないか。サイアム博物館への道中だから。』
私『いや、本当に結構です。』 もうスーツ詐欺の全容は見たし、流石に疲れたのでここはきっぱりと断る。

運『せっかくタイに観光に来たんだし、ハッピーブッディストデーに何を言うんだ!』
しつけー。9月1日は本当にハッピー仏教徒の日なのでしょうか?第二次世界大戦が勃発した日としか印象に無いのですが、仏教徒がいたら教えて下さい。

とにかくシツコイ。いくらこいつにコミッションが入るのだ。ちょっと疲れるが、この後はサイアム博物館にいくことくらいしか予定がなかったので、興味本位でその店も視察監査してみることに。

先ほどのスーツ店から10分くらい走り、更に小規模な店舗に到着。『俺は外で待っているから』と運ちゃんが言うので、一人で入店することに。

入ってみるとこの店にもインド人っぽい男が3名。待ってましたとばかりに握手され、『こんみちわ』と挨拶をしてきて、奥の小部屋に通される。怪しい。自分の中で自己防衛のシャッターがガラガラと落ちる。

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小部屋。ここで待っていると、奥から『ビール飲むか~い?』との声が。
『遠慮しときま~す』と返答したにも関わらず、ギンギンに冷えた(半分シャーベット状になった)Changビールを振る舞われる。この場でビールという恩を着せられることに警戒心が働いたが、灼熱のタイで冷えたビールを断れる男がどこにいるであろうか。

ビールを飲んでいるとデザインブックを渡された。今回の営業員は名をNeilと言うらしい。インドとタイのハーフとのことで、前回のお店の営業マン同様、日本にも定期的に出張に言っているらしい。彼曰く『世界的に著名な日本人デザイナーのKaiさんが俺から買い付けて、日本で3倍の値段でスーツを売り捌いている。』と。胡散臭い話だが、話していると、どことなく誠実そうな感じがしないでもない。ビールを飲んだせいで感覚が狂っているのだろうか。

ここでも一通り生地を見せてもらい、一つ目ぼしい生地を見つけた。値段を聞くと先ほどより安い15,000バーツ(≒45,000円)。カシミヤ製であり、お決まりの雑巾絞りのパフォーマンスで皺耐性もアピールしてくれた。

これはひょっとして悪くない話なのか?と思い始める自分。1万バーツ程度になるなら大した金額じゃないし、話に乗ってみようかな、と。交渉の末、『9000バーツでテーラーメードのスーツ上下(刺繍ネーム入り)+テーラーメードのワイシャツ(刺繍ネーム入り+ネクタイ』と『明日の12時までにホテルにお届け(明日12時にホテルチェックアウトの為)』の2点で合意。初めは発注から1週間でお届けと言われていたが、明日の便でバンコクを離れる、明日までに出来ないか?と伝えたところ、『じゃあ明日のホテルチェックアウト時にお届け』と一気に時間が短縮された。無理も言ってみるものです。でも、本当に一日でオーダーメード一式が出来上がるのか!???

因みにスーツジャケットは外生地の他に、中の生地も選択可能。
ワイシャツも生地の選択はもちろん、ステッチの色や胸ポケットの形状、首元のボタンの種類等も事細かく希望を聞いてくれた。そして、立体スリム構造にしろ!と難しい注文も出してみたが、Neilさんは『ok』と簡単に頷いている。

私の注文を一通り聞いた後で、採寸。簡易図面に実寸を書き込んでいく。
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こんな感じ。

途中、何故か別のインド人が入ってきて写真撮影を求められる。
無題
採寸するNeil氏と採寸される私。

一通り作業が終わり、肝心の支払い条件の交渉。こっちは現品を受け取るまでは全額は払わないとは採寸前から主張していたが、面を食らった感じのテイラー一団は流石にこれには応じない。妥協案として1000バーツ(≒3000円)は前払い、残額8000バーツをブツ受け取り時に支払することに。流石に前金無しで作業着手するのは難しいことは知っているし、このくらいなら明日Neil氏がバックれやがってもしょうがないと割り切れる。クーリングオフ制度がない為に粗悪品が来てしまったらお手上げだが、まぁ9000バーツぐらいなら致命的な出費という訳でもない。

前金を払い、領収書を貰う。何かあった時の為にこの店の連絡先も控え、『See you tomorrow』と言って店を後にしました。

トゥクトゥク運転手
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発注を決めた旨伝えると、我が事のように会心の表情になりました。この日は4時間近く拘束して料金は40バーツ(≒120円)。スーツ屋からのバックマージンで生計を立てている歩合給営業マンなんですね(笑)

そして次の日…

続く。
(小出しにして申し訳ない!もったいぶってる訳ではありません 笑)

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コメント

  1. 旅行好きサラリーマン

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    >ゆうこさん
    >ゆうこさん
    お褒めの言葉を頂き有難うございます。実体験に基づいた海外の様子を伝えていきたいと思っていたので、そういって頂けると率直に嬉しいですし、励みになります。ありがとうございます^^

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