カイディン帝陵 フエの世界遺産巡り1

フエに到着し、早速バイクをレンタルして行動を開始する。

ベトナム中部に位置するフエは、1802年から1945年まで存続した阮朝(グエン朝)の都が置かれた古都で、グエン朝の王宮跡や歴代皇帝7名の廟が主な観光名所となっている。トリップアドバイザーを見てみても、ミンマン帝陵・トゥドゥック帝陵・カイディン帝陵・ザーロン帝陵・ティエウティ帝陵・ドンカイン帝陵………フエの見所って墓ばっかなんで、今回の観光もグエン朝歴代皇帝の墓所参りになってしまう。

【阮朝歴代皇帝】
初代 ザロン帝(在位:1802~1819):廟あり
2代 ミンマン帝(在位:1819~1840): 廟あり
3代 ティエウティ帝(在位:1840~1847):廟あり
4代 トゥドゥック帝(在位:1847~1883):廟あり
5代 ズクドゥク帝(在位:1883):廟あり
6代 ヒエプホア帝(在位:1883)
7代 キエンフク帝(在位:1883~1884)
8代 ハムギ帝(在位:1884~1885):フランスがアルジェリアに連行
9代 ドンカイン帝(在位:1885~1888):廟あり
10代 タインタイ帝(在位:1888~1907):アフリカ東部レユニオン島に流刑
12代 ズイタン帝(在位:1907~1916):アフリカ東部レユニオン島に流刑
13代 カイディン帝(在位:1916~1925):廟あり
14代 バオダイ帝(在位:1925~1945)

これだけ帝陵がある中で、どの帝陵を見て回るかは人それぞれ。自分はしばし地図と睨めっこし、一番南にあるグエン朝第12代皇帝のカイディン帝(啓定帝)の陵墓から第2代ミンマン帝陵⇒第3代ティエウティ帝陵⇒第4代トゥドゥック帝陵と、数ある廟の中でも規模が比較的大きく見応えありそうなところに絞って回ることにした。
ひだり みぎ

先ずは移動の足を確保するべくレンタルバイク屋へ。Little Hue TravelというところでYAMAHAのヌーボを一日80,000ドン(≒500円)で借りることができた。安い!安かったし店員の対応も良かったので、ついついこの店で明日のDMZツアーまで申し込んでしまったわい。


ガソリンスタンドでくっそ爺に釣銭を誤魔化され一悶着あったけど、無事に給油完了で準備が整った。さぁレッツゴー!



バイクにまたがり、ひたすら地図を見ながら南へと突っ走る。


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途中、ダンダムザオという祭壇らしき場所で駐輪代をぼったくられるトラブルに見舞われ、さっきのガソリンスタンドの釣銭事件のこともありフエの印象が変わってきた。

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まぁせっかくの旅行なんで嫌なことは忘れて長閑な田舎道をひたすら南下!

市街地を出て約30分、カイディン帝の帝陵が見えてきた。次に訪問するミンマン帝陵とは雰囲気が全くことなり、モノクロ&シンメトリーでなんとも荘厳なエントランスである。入場料はフエ王宮・ミンマン廟・トゥドゥック廟との二日間有効の共通券でVND360,000(≒JPY1,800)。カイディン帝陵単独の入場券はVND100,000だったかな。

この廟を作ったカイディン帝は、ダラットに宮殿を残したあのラストエンペラー・保大帝の父。自分はフランスで優雅に過ごす一方、自らの廟を造る為の資金を捻出する為に地価税を30%に上げるなどの政策を採った為、ベトナムでは愚帝として後世に知られているそうだ。

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階段の手摺に皇帝の象徴である龍の装飾が施されているあたりに中国の影響を匂わせる。群衆から搾り上げた血税が使われただけあって、実に立派な門柱だw


階段を上った先の踊り場中央には、カイディン帝の功績を刻んだ石碑を安置した二層づくりで八角形の石堂があり、その左右前方に兵馬俑の様な家臣の像が祠を護るかのように並んでる。

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剣を持った武官・腕を組む文官・ノンラーをかぶった農民(?)だけでなく、馬や象などの動物像も並ぶ。でも、こういうのって百体千体となければ迫力が伝わってこんよな。ま、臨時増税を課すくらいだから予算不足だったんでしょう…。

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踊り場中央の石堂に安置された石碑にはカイディン帝の業績が漢文でこれでもかと刻まれているのだが、文字が小さすぎて解読不可。それにしてもこのセメント塗りの石堂…当時は着色されていたのだろうか。ちょっとこれだと陰気すぎてコウモリとかドラキュラとか出てきそうw後で入る本堂内部のド派手な装飾と対照的だ。


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この踊り場からもう一段上を見上げると、これまた物珍しい建築スタイルで建てられた貴族の邸宅のような天定宮(帝廟)の姿が目に入る。

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階段を全部上りきったところに建つのがこちらの帝廟。これは中国とフランス様式の折衷建築とでも言うのであろうか、中世ヨーロッパ風の建物が漢字や龍をモチーフにした彫刻などで豪華に彩どられている。フランスかぶれとも揶揄されるカイディン帝の廟らしく、中仏折衷で不思議な取り合わせ。比較的歴史の浅いカイディン廟が世界遺産に指定されたのはこの建築様式の珍しさからなのだろう。

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最上部からは美しく広がる長閑な風景が見える。緑生い茂る陵丘を背景にモノクロな塔や祠が良い味だしてます。

御廟の中に入ってみた。建造時期が遅かったのもあると思うが、他の廟が今にも崩壊しそうな煉瓦造りになっているのに対し、ここは鉄筋コンクリート建てで立派な造り。今回訪問したどの帝廟よりも小さいけど、どの帝廟よりも断然豪華。建造にかかった時間も一番長く、1920年から11年間の年月が費やされたそうだ。5年目にカイディン皇帝が崩御した為、最後は、カイディン皇帝の子が引き継いだのだと。…それにしても、落ち着いた色合いの外観と対照的な色鮮やかで中華的装飾一辺倒な内装とのギャップに驚かされる。

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壁面装飾は陶磁器製モザイクの細かいモザイクアート。陶器や瓶の電球の欠片なんかを砕いてモザイク状に組み合わせてアートの数々が作られていて、装飾の華やかさはグエン朝の遺構の中でもダントツ。中国式庭園付きの優雅な帝陵を遺した他の皇帝とは異なり、あくまで建物の中身の豪華さにこだわったカイディン帝の趣味嗜好を窺い知ることができる。

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天井には水墨画のようなタッチの龍が踊る。


皇帝の墓のある間を正面から見ると、「啓義殿」と書かれた看板と皇帝の白黒写真を通して奥にある墓を見ることが出来る。ただ、豪華絢爛な空間に置かれた大理石の土台や目の前に置かれた鶴を見ていると、どうも墓とは思えなくなってくる。



こちらが中央の間の王座に座る金箔が施されたカイディン帝の青銅像で、この王座の下に工程のご遺体が安置されているそうだ。他の帝陵では荒らされないよう皇帝の埋葬場所を非公開にしているそうだが、ここカイディン帝のみ場所が明らかにされている。

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王座を囲む柱も豪華。


奥の間に秘宝ルーム(?)発見。

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フランスからの寄贈品や正装したカイディン帝の写真などが展示されている。自分の趣味のために、税金を上げた皇帝。鬼だね。

さぁ次は時代を遡ってグエン朝第二代皇帝・ミンマン帝の帝陵を見に行くことに。

【カイディン帝陵/ Lang Khai Dinh】

営業時間: 夏期 06:30-17:30、冬季 07:00-17:00



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【2017年フエ旅行記】











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