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チラリズム愛好家による超大作 ワット・シー・チュム


スコータイ最終日は初日に時間切れで見れなかったスコータイ遺跡公園の北部・南部・東部に点在する寺院群を順に攻め、スコータイ観光最後の仕上げにかかる。

先ずは北部のワット・シー・チュムへ。

ガソリンを満タンにして、スコータイ滞在中に何往復も走った新市街地と旧市街地を結ぶ大通りを西へ。これがラストランだと思うと何だか寂しい気持ちになってくる。

城壁の外れにあるワット・シーチュム。駐輪場の脇に料金所のような小屋があるが、早朝だからか担当者不在だったの無銭入場すると、番犬に咎められたのかバチがあたったのか、吠えられ追いかけられと散々な目に遭ってしまう。朝からツイてないよ全く。

犬を撒く為に小走りで小さな木の橋を渡ると、視線の先に何やら煉瓦と漆喰の壁のような構造物が忽然として現れた。高さは15メートル程だろうか、静寂に包まれた森の中で凄く異様な存在感を放っている。


壁じゃない!四方30メートル超の大型建築物だ。上部には模様が施されていて、どちらかといえば西洋風な雰囲気だ。

ひだり みぎ
反対側に周り込むと、建物中央に切れ目のような入り口を発見。


中になんかいるw


チラっ。


デーン。その視線に引き込まれるようにして建物の中に入ると、屋根の無い囲われた空間の中に納まった巨大な漆喰の仏像と対峙する。高さ14.7メートル、両膝の幅が11.3メートルという巨大な像がなんでこんなところにw。ラームカムヘン大王の碑文に拠ると、「動かぬもの、変わらぬもの」を意味するアチャナ仏と呼ばれるらしいが、家に引き籠ったままいつまでも現状を変えようとしないニートを象徴しているかのようである。でもこれ、何が凄いって、見えるか見えないか、見るか見ないか、見せるか見せないか、様々な意識がせめぎ合うチラリズムの原理を古代のタイ人が建築物に活かしてたってことだよな。設計責任者はチラリズム愛好家だったに違いない。

ふてぶてしい表情で両足を組み、左手は組んだ足の中央に、右手は地上を指す。全てを見通しているような独特の面持ちから、迫力がひしひしと伝わってくる。

一方、その体はスコータイ時代の仏像らしく優美で女性的な曲線が印象的で、腰周りも男性を感じさせない程にクビレてる。


仏像の真下に行くとアチャナ仏と目線が合い、静かに閉ざされた空間で仏と1対1で対峙する様な不思議ながらも神聖な気持ちになる。


地を指す指の爪には参拝者が貼ったとされる金箔が黄金のマニキュアかのように輝いている。しなやかで流線を描く指先がなんともお美しい。


この仏像を収めた箱の脇にはラーマカムヘーン大王(1239–1317)の治世に建立されたという礼拝堂の朽ち果てた跡があり、こちらも狭い空間の中に一体の仏像が鎮座する。


この仏像もアチャナ仏と同様スコータイ時代のもののようだ。小さく目立たない場所にひっそりと座る地味な存在だが、恐らくは地元の民から手厚く崇拝されているのだろう。ちょっとアラブ人ぽいご尊顔だけど、笑ったような柔らかな顔をしていて癒し系。

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