恐怖の吊橋をバイクで渡りきった先にシーサチャナーライ遺跡群の一番東のはずれにあるワット・プラシー・ラタナー・マハタートのチケット売り場がある。
ここは世界遺産に登録されているシーサッチャナーライ遺跡公園の枠の外にある為、遺跡公園のチケットとは別に20バーツの入場料をお支払い。ついでにチケット売り場横の露店にある土産屋のおばちゃんが寄り添ってきてニコニコと仏具商品の説明をされたが、まったくもって要らなかったので丁重にお断り。
川を渡ると直ぐ目の前にあるドングリ形状が特徴的なクメール様式のストゥーパと礼拝堂跡がワット・プラシー・ラタナー・マハタート。ここ数日はワットばかり見てきたので、どれがどのワットなのか既に頭の中が整理できなくなっている。
すぐ両脇にはゆったりとした流れのヨム川が流れていて何とも長閑な雰囲気だ。
遺跡への入り口の手前には規模が小さいながらも現役の仏教寺院が建っている。スコータイ周辺に残る礼拝堂跡もこのような列柱と仏像の位置関係になっているものが殆どなので、スコータイ王朝時代の祈り場もこのような感じだったのだろう。
寺院の裏手にある小ぶりな石の門をくぐり、遺跡の敷地内へと進む。
こんな僻地もかつてはクメール王朝の支配下にあったのだろう、門の上にはアンコールの四面仏を彷彿とさせる大きな彫刻が残されている。
うおぉ。門をくぐってビックリ。すっごい遺跡然とした遺跡で、風化した石材と煉瓦から歴史の重みがドッシリと伝わってくる。規模的にはもちろんアンコールの本拠地であるアンコールワットとは比べ物にならぬほど小粒ではあるが、遺跡としての迫力はコチラも決して負けてない。
クメール式の仏塔の前に鎮座する坐像。何百年ものあいだ野晒しになってきたのだろう、お体は既にボロボロになっているが、その表情は温和そのものだ。ピサヌロークで見たタイで一番美しいとされる仏像よりもよっぽど印象に残るわ。
坐仏の左手に建つフェミニンなプロポーションをした遊行仏は比較的良い保存状態にある。このクビレや腕のしなやかさを見てると、仏陀は女だったのかと思えてくる。
仏塔は聖室までは急勾配な階段で上れるようになっているが、聖室には特に見るべきものは無し。
仏塔の周辺は細い回廊に囲まれていて、なんだか監獄の廃墟みたい。スコータイ王朝の寺院とは異なる設計構造なので、この回廊もクメール族が設計・建造したものだろう。
回廊を歩いて仏塔の裏側へと回り込んだ先にも仏像が一体ポツリと座ってる。これぞ廃墟といった感じの痛み切った仏像の御姿に盛者必衰の理が表されているようで、なんだか物悲しい気持ちになる。
更には隠れるようにして建つ立像も。シャイなのか狭いところが好きなのか判らぬが、何故にそんな隙間に籠っているんですかねぇ。押入れの中の狭い空間に籠りたがりなイジメられっ子みたいな精神状態でおられるのだろうか。
ここは世界遺産となっているシーサッチャナーライ遺跡公園から東に2Km離れていることから、他に観光客もいなくゆっくりと遺跡の雰囲気を満喫できる。静かに遺跡を堪能したい方にはお勧めの場所である。
【Wat Phra Sri Rattana Mahathat】
場所:シーサッチャナーライ遺跡公園から東に2Km
入場料:20バーツ
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