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本家本元の王家が住まうカスナナン王宮


ローヤルホテルMギャラリーで荷物を預け、一番に向かった先はマタラム王朝の嫡流にあたるススフナン王家のカスナナン王宮。1745年、マタラム王国直系のパクブウォノ2世が王位継承戦争の戦乱で荒廃したカルタスラからソロに遷都した際に建造した王宮で、ジョグジャカルタの王宮と同様に南北にアルンという広場を設けた典型的な中部ジャワの王宮形式で造られている。

現在では「特別州」として自治権が与えられているジョグジャカルタ家の方が名声を博しているが、歴史的に見るとここススフナン王家が本家中の本家。王位継承争いの際にマタラム王国は分割され、新しく分家のジョグジャカルタ家が設立されたのである。

それが、インドネシア独立戦争を機にジョグジャとソロ王家の形勢が一挙逆転することとなる。開明的なジョグジャカルタ王家はインドネシア独立運動を支持したことから、戦後、王家としての自治権が一定範囲で保たれた一方、独立運動に際して最後まで洞が峠を決め込んだ“本家”はインドネシア独立後に自治権を剥奪されてしまったという訳だ。


Mギャラリーを出て目抜き通りのジャラン・スラメッ・リヤディを南に折れると、王宮を囲う白亜の城壁が見えてきた。敷地内は樹齢の古いカジュマルの木が覆いかぶさるように生えていてジャワの灼熱地獄の暑さを和らげてくれるし、ゆっくりとした時間の流れとのんびりとした風情の中で散歩を楽しむことができる。古都ならではの趣だ。

ひだり みぎ
王宮周辺は白く高い塀で迷路のように囲まれていて、オランダ植民地時代の雰囲気が色濃く残っている。

ひだり みぎ
王宮北広場の一角はクレウェル市場というバザールとして一般市民に開放されているようだ。 イスラム風の衣料品やバティックがメインの商材となっていて、色とりどりの服飾品等が所狭しと並んでいる。ソロはバティック発祥地ではあるが、クレウェル市場のバティックは伝統的な手作業で完成された芸術品と言うよりも、現地民が普段着として着用するようなプリントの量産品が殆どのようである。量産規格品故に値段も30,000ルピア~と安価。

ひだり みぎ
食堂や乾き物コーナーなんかもあったりと、中々の賑わいを見せている。


王宮北広場の南端にはガルーダに護られた王宮の建物があるが、中までバザールに侵食されしまっている模様。

ひだり みぎ
王宮の像がもはや趣味の悪いコスプレ商品のマネキンが如く扱われているのには突っ込まざるを得ない。

バザール会場の南側にある大きなコンサートホールのような建物がカスナナン王宮の入り口となっているようで、ここで入場料10,000ルピアをお支払い。
ひだり みぎ
切妻屋根でドーム状の天井をもち、柱は細々としたものが左右にあるだけの簡易的な建物だが、切妻部分に描かれた紋様が微かに西洋建築の影響を感じさせる。集会用の大広間か何かかな。


ここまでが王宮北広場で、大広間から通りを挟んだ先に王宮本体があるようだ。しかし、王宮の敷地からは常に大量のライダーが排出されてくるので、迂闊に踏み込むと轢き殺されそうで中々入れない。優雅な王宮散策のはずが、なぜ入場するだけで命をかけないといけないのか。


王宮の北口。ジャワの伝統的な建築に洋風な装飾とが融合した趣のある建物だ。門の背後に特徴的な八角形の塔が見えるが、北口からは入場不可とのことで、エントランスがある西口へと進むよう守衛さんに促される。

ひだり みぎ
威厳を漂わせる寡黙で厳つい守衛とジャワの守り神。


西口のエントランスではパクブウォノ10世の像がお出迎え。入場にはドレスコードがありサンダルや帽子等は禁止されているようで、白人観光客が裸足での参観を余儀なくされてる姿には同情した。

ひだり みぎ
中は王家の儀式やジャワの伝統芸能に用いる小道具や王家の調度品・財宝・馬車・武具などの現物が展示された博物館となっていて、王族の暮らしや宮廷文化が紹介されている。今にもコサックダンスをし始めそうなロシアン兵士っぽい像なんかも西洋の影響を受けたものだろうか。

ひだり みぎ
中庭の周囲をぐるりと建物が囲うような設計になっているが、手入れがされていないのか廃墟の一歩手前のような状態になっていて、王宮の華々しさよりも廃れた印象を抱いてしまう。せっかくヨーロッパ舶来の華美な調度品もあるのに残念でならない。

以下、各展示室の内容
第一展示室:パクブウォノ家の歴代王の肖像画
第二展示室:彫像類
第三展示室:調度品?
第四展示室:影絵やガムランなどなど文化的遺品
第五展示室:トッペン
第六展示室:儀式用の道具類
第七展示室:歴代王の馬車コレクション
第八展示室:ディポネゴロ戦争で使用された武器とジオラマによる説明

ひだり みぎ
うーん。展示品の質そのものやプレゼンテーションにも華が無く、やはりジョグジャカルタの王家との力の差を感じてしまう。こっちが本家なのに…


王の絵画もボロッボロに剥げかけていて、王の表情も心なしか虚ろで哀愁を漂わせてる。


説明書きを遮るように展示物を配置して平気でいられる神経もちょっとなぁ。

ひだり みぎ
影絵とガムランの展示品も埃かぶり放題だし…

ひだり みぎ
王宮コレクションからも王家の繁栄ぶりを感じられず。逆に庶民派路線で攻めているという王宮の狙いかもしれんが、こんなに素晴らしい文化遺産を何故きちんと手入れしないのだろう 、何故多くの人たちに分かりやすいよう説明をしないのだろうという疑問が残ってしまう。ジャワ人のルーツの本家本元の王宮ではジョグジャにはない特別な伝統を感じられるかと期待していたが…トホホ。

ひだり みぎ
先祖様の肖像画。


王族の暮らしぶりが窺い知れる展示。葬儀の陳列者かのような沈痛な面持ちから察するに、あまりお幸せではなさそうだ。

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大きく葉を茂らせた赤埴の榕樹の下には井戸があり、汲み上げられた聖なる水を頂けるようになっているようなのだが…係員は思いっきり横になって携帯を弄ってる…

ひだり みぎ
博物館の奥の謁見室(?)はジャワ風であるが、ギリシャ的な大理石像や床に敷き詰められた大理石、調度品等にヨーロッパの影響が色濃く表れていて、ジャワ風と西洋風が同居する何とも不思議な雰囲気の建物となっている。良く言えば国際色豊か、悪く言えばテーマがチグハグ。ジョグジャとソロにある合計4つの王宮のなかで、最もオランダ植民地寄りの王宮だったが故の今の凋落ぶりなのかもしれない。18世紀当時の政情を如実に現したような宮殿である。


謁見室の脇には灯台のようなソンゴブオノ(宇宙の塔)と呼ばれる八角形の塔が建っている。見張り塔の役割を果たしていた一方で、王様が南海の女神・ラトゥキドゥルと交信するため祈りを捧げていたという逸話があるという。ジョグジャの王室で引き継がれている南海の女神の伝説がススフナン王家でもしっかり語り継がれているようだ。

何ともトホホ感の強いカスナナン王宮。今でも本家末家論争は続いているようだけど、本家には本家らしく堂々として欲しいもんなんだがなぁ。

【カスナナン王宮博物館】

月-木曜日:09:00-14:00
土・日:09:00-15:00
入館料:15,000ルピア
住所:Jl.Kamandungan No.1
Tel:(62-271)6564

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