プラウィサタ劇場でのラーマーヤナ舞踊劇

トゥグ駅で翌日の鉄道の乗車券を買うのに失敗した後は、ベチャに乗ってラーマーヤナ舞踊劇の会場であるプラウィサタ劇場へと移動する。ラーマーヤナはマハーバーラタと並ぶ古代インドを代表する長編叙事詩で、ヒンドゥー教の広がりとともに東南アジアへと伝わり、その土地土地で様々な形の芸術や芸能として育まれてきた。

カンボジアのアンコール・ワットの浮き彫りやバリのケチャダンスなど、現代でも定番観光地で様々な形態のラーマーヤナ芸術が披露されているが、ここジョグジャカルタではインドネシアの民族音楽ガムランの調べにのせた舞踊という形でラーマーヤナ物語が表現されている。

舞踊会場は町の東にあるプランバナンと南にあるプラウィサタ劇場の2箇所。トゥグ駅からであればプラウィサタ劇場の方が近いので、今宵はプラウィサタ劇場でラーマ王子とそのシーター姫を中心に展開される愛と冒険の物語を鑑賞することに。

トゥグ駅からの道中、王宮北広場の一角でジョグジャギャラリーというアート作品の展示会場を見つけたので立ち寄ってみる。

自動車にまつわる芸術作品が展示されているようだ。


真っ白い壁に真っ白い天井真っ白いタイルという真っ白な空間にポツンポツンと置かれた作品たち。

ひだり みぎ
主要な展示品は車のガラスにエナメルを塗ったアートのようだが、やたらとアレな感じの革命家ばかりが描かれてるのは何なんだ。ヒトラーなんかちょっと優しそうなパパみたいなテイストで描かれてるし。


勿論、偉大なる毛様もいらっしゃいます。前髪の後退具合や嫌らしいニヤケ面がよく表現されているが、自動車用ガラスに描くアート作品の題材として彼を選定する意味はやっぱり分からない。


道草を食いながらジョグジャ市内を南下し、開演20分前に到着したプラウィサタ劇場。300,000ルピア(≒2,500円)チケットを支払い入場する。


大邸宅の中庭のような劇場内広場の一角ではディナーパーティーが催されている。入場料以外に+120,000ルピア(≒1,000円)を払うことで開演前にビュッフェを楽しむことができるようだが、食事を済ませてきた小生はショーのみを楽しませてもらうことに。

ひだり みぎ

ショー会場は野外ステージなんで開放感に溢れ、吹き抜ける爽やかな夜風が気持ち良い。激しい戦士の舞、優雅な女性群舞、闇にきらめく瞑想の舞…多様な舞と壮厳なガムランの音色により演出される古代インドの愛の叙事詩が目の前で繰り広げられると思うと自然と気持ちが昂ってくる。

半円形の劇場内部は三方向からステージを見られるよう階段状の椅子席が配置されていて、舞台に向かって左手奥にはオーケストラ・ピットさながらにガムラン楽団が陣取り今や遅しと出番を待っている。

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定刻になると照明が大きく変わり、アナウンスと共に開演する。客入りは2割程度か。殆どがディナーを終えたばかりの白人団体客で、ディナー不参加の小生は一足早く会場入りしたことから上席を確保することができた。

舞台袖で奏者達が奏でるガムランの独特の音色にのって艶やかな化粧に身を包んだ踊り子たちが踊り、ガムラン・バレエといった趣でゆっくりゆっくりとストーリーは展開されていく。
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ぎこちないカクカクとしたマイムを見せる悪党一味。


バレエの公演のようにセリフは無いが、何も語らずとも悪党顔。

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そこに登場、ラーマ王子。紀元前6世紀頃のコーサラ国の王子として生まれたラーマ王子はガンジス川流域にミティラー国の王女シーターと結婚。その後12年の間、二人は幸せで平穏な日々を都で過ごしていた。

ラーマ王子、ラーマの義弟ラクシュマナ、シーター姫。

コーサラ国のダシャラタ王からラーマが王位を継ごうとした時のこと、ラーマではなく自分の息子を王位につけたいと考えた第二王妃の陰謀によりラーマは国を追われることとなり、ラーマ、シーター、ラクシュマナの3人は人里離れた森で暮らすことを余儀なくされる。

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素晴らしい美貌の持ち主のシーター、その美しさはランカー島の魔王ラーヴァナの目にとまり、シーターを我が物としたい魔王はシーターの誘拐を画策。魔王に説き伏せられた誘拐実行犯は金色の鹿に化け、無邪気な鹿に気を許したシーターは拉致監禁されてしまうことに。ラーヴァナ魔王さん、手口が強引だなぁ。クッパとマリオとピーチ姫のストーリーかよ。

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悪党に捉えられたシーター姫、ラーヴァナ魔王の求婚を頑なに拒否。

シーターを助けるためランカー国へ向かうラーマは、猿族の国を通過。猿の王スグリーヴァはラーマの身の上を聞いた上で悪党制圧に加味する事を約束するが、スグリーヴァは兄のヴァーリンと王位を巡って戦争中で、直ぐにランカーへの派兵をすることができない状況にあった。どこの国も王位継承問題ばっかりw

猿王スグリーヴァと兄ヴァーリンが互角の戦いを繰り広げていたところ、ラーマは背後からヴァーリンを討ち取ることに成功する。ラーマに感謝したスグリーヴァはは猿の軍勢を預けることに。この猿の軍の将軍がかの有名なハヌマーンである。

1つ1つのエピソードが詳細に描かれており、登場人物の衣装も華やかにすることで見物客を飽きさせない工夫をしているようではあるが、ここかへんから旅疲れと眠気を誘う音楽、暗い照明により、眠気を断つのに必死。


一足先に単独でランカー国へ偵察へ向かった勇敢な将軍ハマヌーン、ラーヴァナの一団に囚われるも命辛々ランカー島を逃げ出すことに成功する。

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ハマヌーンからの偵察情報を得たラーマは、自らランカー島へ行き魔王ラーヴァナと決闘することに。戦闘シーンでは役者が屋根から塀から登ったり飛び降りたりと舞台を目一杯に使ったアクロバティックな演技が展開されるが、自分は眠気との戦いで一杯一杯。

魔法の武器でラーマを攻め立てるラーヴァナに対し、追いつめられたラーマは起死回生の必殺の矢を放ち、大激戦の末にラーヴァナを倒して羅刹の国ランカーは滅亡する。

遂にシーター姫と再会したラーマ王子。単純な勧善懲悪劇で王子が姫を取り戻してこれでハッピーエンドかと思いきや…

魔王の国に長く捉えられていたシーターの貞操を疑い懊悩する王子、なんと姫に対して無情にも「火の中に飛び込め」と言い放つ。

最後にまさかの展開が待っていた。


葬送の火を準備するラーマの弟ラクシュマナ。シーターは火に近づき、火神アグニにこう呼びかける。
「もし私のラーマへの愛がまったく純潔でありますならば、私をこの火焔より守らせたまえ」
シーターは火を一巡し…
結末は自分の目でお確かめ下さいw


劇終了後、主役達との記念撮影タイムが設けられ、我先にと舞台に上がる見物客。劇の中では気にならなかったけど、王子も姫も近くで見たら結構なご年齢で…

正直、一回見れば十分な内容かな。旅行も終盤で疲れていたのもあったのだろうが、演者の技術の練度もまだまだだし、芸術と言うより衣装の凝った村芝居、学芸会に毛が生えた程度くらいの印象しか残らなかった。少なくとも300,000ルピアの観賞料金には値せず、かな。市内中心街から離れているし、無駄にストーリーが長いので一晩まるまる使うことになりますしね…



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【2015年ジョグジャカルタ・ソロ旅行記】






























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