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ボロブドゥール様式で建てられたムンドゥッ寺院跡


ムンドゥ寺院は、ボロブドゥールとパオン寺院を結ぶ直線の延長線上の東側にあることから位置することから、大ボロブドゥール寺院域の東翼を担っていたのではないかと考えられている。


距離的に言うと、ボロブドゥールから東へ約3キロ。ジョグジャカルタへの道中左手に見えてくる。
駐車場から寺院への入り口と続く小路には衣類や仏具を扱う小さな露店土産屋がズラリと並んでいて、各店の売り子が参拝客への執拗な営業攻撃をしかけている。少しでも商品を覗こうものなら「脈あり」と捉えられ執拗に追いかけ回されるので要注意だ。売り子たちは寺院に逃げ込んでも参拝を終えて寺院を出るまで出入り口で待ち伏せするくらいの粘着力、なかなか振り切れません。買う気がないなら思わせぶりな態度は取らず、一切の興味を示さないこと。ただただ売り子を無視して黙々と歩き抜けるのみ!


売り子による追跡を辛くも振り切り、ムンドゥッ寺院の敷地内へと入ると、巨大なガジュマルの木を背景に一基の祠堂が正面に現れる。パオン寺院より敷地は広いし建物の規模も一回り大きいものの基本構造は同じで、回廊をあしらえた方形の基壇の上に祠堂を乗せた設計になっている。


屋根の上にはやはりボロブドゥールやパオン寺院同様、中央を取り囲むようにミニチュアの仏塔が並んでいる。残念ながら肝心の中央部分の大ストゥーパは欠損してしまっているが、この建築スタイルが「ボロブドゥール様式」なのだろう。

ひだり みぎ
ベルセルクでもお馴染み、象のような鼻にとぐろ巻く尾が特徴の怪魚マカラ。保存状態はすこぶる良く迫力満点。

外壁内壁には様々な観音・菩薩像が彫られている。

座禅を組む観世音菩薩かな。ボロブドゥール⇒パオン⇒ムンドゥと寺院を順番に回ったが、シャイレンドラ王朝の美的感性・文化水準、そして建築技術の高さに驚きを禁じ得ない。恐るべし古代ジャワ文明。


微妙にパオン寺院の物とは異なるデザインの聖樹カルバタールのレリーフ。

ひだり みぎ
祠堂の階段を上ると、これまた見事に彫刻された鬼子母神に毘沙門天のレリーフが内壁を飾っている。こうして熱帯の太陽の陽射しを直接浴びながらレリーフに描かれた説話の意味を考えていくと、仏教の奥深さとボロブドゥールを作り上げた人々の信仰心が伝わってくるようだ。

毘沙門天は天部の仏神であり四天王の一尊に数えられる武神だが、休日の父と子といった家庭的な雰囲気で描かれている。子供が遊ぶ樹の上には鳥が飛んでたりするし、何より子供達の無邪気さ愛くるしさが表現されている。この、思わずほっこりしてしまうような柔らかさがジャワ・ヒンドゥー美術の真髄なんだと思わせてくれる。

鬼子母神は子沢山な母親でありながら近隣の幼児を誘拐しては食べてしまうという凶暴邪悪極まりない夜叉だった。そこで仏陀は彼女の行いを正すため、彼女最愛の末子を隠し、子を失った母親の苦しみを悟らせる。すると、ハーリティーは行いを改め、深く仏教に帰依して子育安産の守り神・鬼子母神となったというストーリーの主人公。ここでは、子供を膝に乗せた慈愛深い母といった雰囲気が表現されている。

これらレリーフの見物を終え、いよいよ祠堂の内部へと進む。中には三尊像が安置されているようだ。

中央には肉付きの良い体を台座に沈め、両手の指で転法輪を結んだ釈迦牟尼仏の像がどっしりと構えている。その表情は大変穏やかで、身体は筋肉質というよりも微妙に肥満寄り。そして、敢えて衣を描かず、ムッチリした身体の線がエレガントに描き出されている。非常に精神性の高い仏像だ。

両脇には高さ2.5mの脇侍が片足を下におろした遊戯座という姿で鎮座する。

向って右側は金剛手菩薩。右足は胡座を掻く格好で台座にのっている。


向かって左側は観世音菩薩。金剛手菩薩と対称的に、左足は胡座を掻く格好で台座にのっている。これら三尊仏は揃ってインドネシア仏教美術界の最高傑作と称されているそうだ。

ひだり みぎ
上を見上げると、平積みされた扁平な割石が天井に向かって徐々に迫り出しているのが分かる。こうすることで建設に使う石の量が少なくて済み、基壇・基礎の負担も軽減される。チャンパなどクメール遺跡でも見られる工法である。

ムンドゥッ寺院はボロボドゥールが生まれる源流のようなものを感じさせる独特の雰囲気に包まれていて、小さいながら古代ジャワ人の美的感性が至る所から伝わる魅力的な寺院である。

敷地内には一つの建物しか残っていないが、元々は周囲に多くの伽藍を有していたのではないかと考えられていて、今後、本堂以外の復元も始まっていくことだろう。


祠堂の裏手にあるガジュマルの木。巨大な榕樹がまるで簾を垂らすように多数の気根を伸ばす姿を見ると、ここが赤道直下の寺院であることを改めて思い知らされる。子供がターザンみたいに気根にぶら下がって遊んだりしてますからね。植物の生命力を感じさせられる。

そんなこんなでムンドゥッ寺院を堪能し、タクシーが待つ駐車場に戻ろうとしたら…出入り口で待ち伏せしていた土産屋の売り子の急襲を受けてしまう。

土産物屋も足を踏み入れられない聖域のようで、追いすがる売り子から逃れるように修道院の敷地に入りこむ。さながら仏教テーマパークみたいな感じというか。仏教に纏わるモニュメントが多数置かれたユニークな修道院だ。

ひだり みぎ
参道の両脇には仏塔が並び立ち、一番奥に石仏が座している。誰もいないガラーンとした空気が何とも厳かで神秘的。

ひだり みぎ

ひだり みぎ

ひだり みぎ
断食するブッダのレプリカ。

ひだり みぎ
セクシーに眠る涅槃仏。ムンドゥッ寺院とは違いこちらは歴史のない現役の修道院だけど、ここはここで仏教の世界観を表したモニュメントが多くて楽しめる。

ジョグジャカルタからボロブドゥールに行く途中にあるので、時間が許すのあればこちらにも立ち寄られることをお勧めする。
【ムンドゥッ寺院/ Candi Mendut】
場所:ボロブドゥールから東へ約3キロ。
入場料:パオン寺院と共通で3,300ルピア(≒30円)

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