マルコポーロクラブの隠れベネフィット“誕生日アップグレード”

今年は誕生日が出張移動日と重なってしまったので、迷わずCXのビジネスクラスを発見。そう、マルコポーロクラブの中の隠れベネフィットの一つとされる誕生日アップグレードを受けられるのだろうか、身を持って試す機会がやってきたのである。香港―羽田便のCX542でJからFへのアップを狙う。

当日、香港での業務を終え、香港駅からエアポートエクスプレスで空港へ向かう。香港駅でもチェックインすることができるが、駅のスタッフは自社サービスに関しても不案内というか、とにかく“外れ”な場合が多いので、誕生日でもおかまいなくスルーされそう…ということで、今日は無難に空港でチェックインすることに。

アップグレード先の席に空きが無ければアップ祝いを受けれないとの噂なので、チェックイン間際に念の為にファーストクラスの残席を確認。よし、幸いにして出発2時間前の時点でF9席の内3席しか埋まっていない。どうなるもんかと笑顔でパスポートを渡すと、スタッフがピコピコとモニターをいじりだす。ピコピコ…ピコピコ…普段より長めのチェックイン手続の後、搭乗券を頂く段になって「Since it’s ur bday today…」のくだりがきた。よし来たーーーーーー。誕生日アップグレードの噂は本当でした。誕生日プレゼントありがとうございます。

キャセイさんのご好意で用意してもらったファーストクラスの搭乗券を握りしめ、E道でサクッと出国手続きを完了。その後はWINGでマイブームのキャロットジュースを片手に軽く仕事をやっつける。

DSC_1984
で、本日のゲートはなんとなんとの500番台。それも沖止めゲートの522ときたものだ。ジャンボが定番のCX542で500番台は今までに無い斬新なパターン。これはまさかお得意の機材繰りによる直前シップチェンジじゃなかろうな。CXで沖止めなんてA320の印象しかないのだが…エコ一択のモノクラス便でFからYへの転落なんて勘弁してくれよ。

ビクビクしながらゲートを通る。「シップチェンジによりファーストクラスは無かったことに…」なんてことになるかと悪い予感も頭を過ったが、普通に緑ランプでゲートを突破する。よしよし座席変更は無いようだ。

他の乗客と一緒に通勤ラッシュ時並の満員バスに揺られて機材へと移動する。奴隷船CX542では背広を身にまとったジャパニーズサラリーマン率が異様に高く、ほんと通勤ラッシュさながら。


乗客をギュウギュウに詰め込んだバスに揺られること数分、空港の端にポツンと停められた絶滅危惧種B747-400(B74K)の御姿が見えてきた。近距離で拝ませて頂くと、やっぱりそのおふくよかな体つきは迫力がある。退役は惜しいよなぁ。


ジャンボの雄姿をしっかりと目に焼き付け、タラップで搭乗。外から見たら本当に鼻の先の先まで客席になっているのがよく分かる。


落ち着きと寛ぎに溢れた空間が広がるファーストクラスのキャビンに入ると黒服のベテランチーフ・パーサーに満面の笑みで迎えられる。機体最前方で9席だけ隔絶された特別な世界でこれから上質なサービスが展開されていく。やっぱりFは人が少なくて良い。お金持ちの皆さまは良い座席を買うというよりはパーソナライズされた上質なサービスや空間を買ってるのであろう。やっぱりJ席での扱いとは一味違う。


本日のファーストクラスの乗客は小生含めて合計4名。1Aに貫禄ある白人ビジネスマン、2K・3Kに結婚一周年記念の白人夫婦という布陣。皆さま流石にお上品にお振舞あそばされていて、庶民のいいところの凡人の自分がなんか浮いちゃってる気がしてならない。


こちらが本日お世話になる座席3A。着席後、ウェルカムドリンク&ディナーメニューの配布⇒イン・フライト・マネージャーの挨拶と、流れるようにサービスが進む。4時間程度の短距離路線である為、アメニティキットは無し。


モニター横は蓋がパッカリと開くようになっていて、中はミニクローゼットのような収納スペースになっている。35リットル程度のリモアやスーツジャケットがすっぽり収まる程の大きさになっているが、高さが無いためにロングコートなどは預ける必要がありそうだ。


こちらは最後方1-1-1の真ん中に位置する4D。真ん中といえどももちろん通路に面している。こうしてみるとやはりキャセイのF席はパーティション感に優れているのが良く分かる。


座ってみると…やっぱり違う。普段は違いの分からぬ男である小物な私でも違いに気付かされてしまう。枕やシートの素材も言うことないし、シンプルながらも凄く洗練された上質なプライベート空間である。足元のオットマンも大きいので、結婚記念日のカップルはオットマンを座席として利用してお互いに向き合って座っていた。そういう使い方ができるくらいのゆとりあるスペースになっている。


座席を倒しオットマンと接続すると、幅91センチ、長さ206センチという旅客機最大級のフルフラットベッドになる。通常のビジネスクラス席+αが横に付いているような感じで、特に幅が広すぎるくらい広い。


化粧室も広く、窓までついているので閉塞感がない。


洗顔、ボディ&ハンドバーム、スプレータイプの保湿液はファーストクラスだとジュリークではなくイソップのものになるようだ。

こうやってFの世界を満喫すること30分。とっくの前に乗客の搭乗は完了しているというのに中々ドアクローズにならない。すると、「機体のトラブルシューティング中で出発時間がいつになるんか分からないので…」と申し訳なさそうにお酒を勧められたので、しょうがない一杯いくことに。

ひだり みぎ
ドリンクメニューとプロモ中というローヌ産のワインリスト。シャンパーニュは高級物の代名詞・ドンペリではないが、こちらも値の張るArmour De Deutz 2005が積まれている。

それにしても、いつ飛べるか分からないのが頭が痛いところ。30分、1時間と待たされて、尚もいつ飛べるかも分からない状況なので、夜に計画されていたメインイベントはキャンセルバイバイサヨウナラ。5年ぶりに誕生日を日本で過ごせるチャンスがやってきたのに、やってくれるぜCX。遅延リスクもとって誕生日に飛行機移動を選んだ自分が悪いしこればっかしは仕方が無いとはいえ、計画丸潰れで精神的ダメージプライスレス。もう、一人で自棄酒だ。ドゥーツ様をハイペースで飲んで飲んで…どうやら飲み干したようで途中からお酒を勧められる声もWould you like any more drink other than champagne?になった。結局、予定から2時間超遅れくらいで離陸できるとの機長アナウンスが入るが、それなら羽田着は23:30前後。5年ぶりの日本での誕生日の夜は一人で機内で過ごすことになり、「遅延によりファーストクラスの時間を満喫できる時間が長くなった」というポジティブシンキングができないくらいに打ちのめされる。

もう後は離陸まで不貞寝。離陸後、水平飛行になってからも不貞寝。今思えばせっかくのF体験だったのに勿体ないことした。
ひだり みぎ
空腹感から不貞寝から覚め、お食事を頂くことに。メインはビーフテンダーロインステーキのマディエラワインソースとベアルネーゼソース ロゼッティポテト 人参とアスパラガスのソテー/ 海老の湯葉巻と中華ハムと筍の煮込み ジャスミンライス 上海青梗菜/ チーズと洋梨入りフィオッキのゴルゴンソーラソース バジル 松の実のトーストの3種類、この他にも和食とマンダリンオリエンタルとの共同開発メニューも選ぶことが出来るとのこと。MOのメニューはラムメインでアスパラガスの前菜、ヴィシソワーズ、チーズのデザートがセットになっている。王道はやっぱり割烹なんだろうが、限定品に弱い自分、ラムなんて全然好きじゃないのにMOディナーを選択してしまう。


白アスパラガスとハムの前菜。


リーキ、キャビア、エゾネギなんかが混ざったヴィシソワーズ。なんかもうごめん、ドラクエのバブルスライムにしか見えないんだが。


ウェールズのRhug Estateというオーガニック農家製の羊の臀部のお肉というメインのラム。エンドウ豆と香草ががっさりのっている。はぁ。無難に懐石いっときゃ良かったか…と思いながら二口三口食べたところで深酒がたたったのか寝落ち。気がついたら羽田に到着していたという。なんかもう残念な誕生日+飲み過ぎで残念なファーストクラス体験になってしまった。誕生日アタックをする際は遅延の可能性も考慮して、「その日はフライトだけ楽しんだる」くらいの心構えで臨んだ方がいいんだな。下手に到着後の予定まで計画していると、遅延になった時に受ける精神的ダメージがデカすぎて、フライトそのものまで楽しめなくなってしまう。(←単に酒に走って飲み過ぎたのが悪いのだが)。もっと他に楽しみ方あったよなぁと猛省する。


羽田でも沖止めか。機体点検でもするのかな。


遅延のお蔭で宿泊先への足が無くなってしまったので地上スタッフに問い合わせ。これまた「外資系企業に勤めてる日本人女性」の典型みたいな対応の御方で非常に残念だった…
この日はタクシーで宿泊先まで移動して速攻バタンキュー。完全に羽目を外して飲み過ぎた。

因みに遅延により発生した移動費用の補填金額の上限は全クラス共に5,000円でした。タクシーの領収書と指定フォームを記入して郵送すると費用分が振り込まれるとのことです。

報告する

関連記事一覧

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。