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上海豫園名物のお茶(ティーセレモニー)詐欺


リアルタイム@上海。なんとまぁ本日、上海豫園名物のお茶詐欺(未遂)に遭いました。この上海のお茶詐欺、詐欺団一味が小道具まで使って一芝居打ってくるのだが、被害者が詐欺に遭っていると感じないくらいに演技が自然なのでタチが悪い。実際、恥ずかしいことに私も「茶館」のキーワードが出来るまでは自分が罠に片足突っ込んでいるとは気がつかなかった。

では、今後、上海で同様の詐欺被害に遭う犠牲者が生まれぬよう、犯行の手口を書いていこう。
土曜日、上海での任務を終え豫園をうろついていたら、20代(自称)の女性二人組に流暢な英語で声をかけられた。「写真撮ってくれませんか。」とカジュアルに。後から思えば、こんなとこで記念写真なんか撮るかー?と思える絵が背景だった。
外国人に親しく声をかけるような人物とは距離を置くの中国での鉄則なのだが…この二人、素朴純朴で怪しい感じが全くしなかったので、ついつい豫園をガイドしてもらう運びとなった。相手は決して色仕掛けでこないことに注意が必要。明らかな美人であれば警戒もするところ、相手はちょいブス程度ときたもんだ。見事に警戒心を解かれてしまう。しかも、日本語の教材や観光用地図、日本にいる友達の写真などの小道具まで駆使うる準備の良さと、茶館へ入るまでの導入部分の入念さにすっかり騙されてしまった。カモ一匹に対して2時間も観光を同行してくれるなんて手が込んでいる。

【詐欺団のキャラクター設定】
女A:元中国語教師。中国語を白人駐在員に教えていたが、土日中心の勤務スタイルに嫌気が差し、最近になって上海の貿易会社に転職。友人が早稲田大学に留学中。自称27歳だが、多分本当は30代。英語が堪能で、マシンガントークが非常に面白い。知識も豊富だし、こんな悪事に手を染めているのが勿体ない。
女B:黄山出身。現役大学生。天然キャラ。日本語を専攻していて、来年には千葉に留学予定。色白でふくよか。素朴な田舎娘といった感じ。女Aとは親戚絡みの友人で、本日は上海観光中。
女C:茶館の店員で、茶道実演役。中華ドレス着用。彫が深く、少数民族風。中国語のみ。写真を撮らせてもらおうとすると、「神聖なティーセレモニーの儀式で写真撮影は不可」とかぬかしやがる。神聖な儀式をあんな場末の小汚い部屋で行うのもどうかと思うが。

女Bは少し日本語が喋れるが、基本的には女Aが英語と中国語でリードしていく感じ。気さくな性格で、話していて面白いんだこれが。2時間程豫園周辺を探索しただろうか。歩き疲れたんで豫園近くにある小籠包発祥の名店・南翔饅頭店でランチしようということになった。でも、店は生憎の満席。ここまでは、あぁ、飯代目的で声かけられたのかな程度に思っていたが、それじゃあ近くの茶館でお茶でもしますか、という話でピンときた。あぁ、これ、お茶詐欺なんだね、と。たっぷり2時間もかけてからアジトに誘き寄せるとは何とも入念な…しかも、始めは南翔饅頭店に誘うという演技まで挟む狡猾さ。あそこ、昼前の時間は長蛇の列で予約なしには入れないことを知ってての演技であろう。とにかく、写真撮影を頼まれてからここまでの間、不自然なことなどなく、自分が騙されているなど露にも思わなかった。中国ももう長いのに、どんだけ脇が甘いんだ、自分。でも、こんな純粋な女の子がなぁ。彼女たちを見ていると、本当にニコニコしていて無垢で純朴な感じなんだが。

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女B。本当に無垢な天然娘だと思ったのだが、まさか詐欺団に加担しているとは…

茶屋は勘弁と思いつつも、変な冒険心が頭をもたげて、ちょいとアジトまで潜入してみることに。
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彼女らも初めてこの店を訪れたように装っているが、これが彼女らのアジト。茶屋というか、普通に街角の雑貨店といった感じだが、中にある1.5畳ほどの小さな個室が茶道教室のように改装されている。

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先ずは茶道、中国の茶文化に関しての基礎知識を教えてもらう。といっても、本当にカジュアルな雰囲気の中で、雑談を交えながら友人同士で楽しく茶道を楽しむといった感じ。女Aは茶詐欺のベテランなのか、茶の歴史や種類に関して見事な蘊蓄が披露される。その後、じゃあ実際にお茶を飲み比べしてみましょうね、という流れになり、真っ赤な中華ドレスを着た少数民族のように彫の深い娘がやってきて、改めてそれぞれのお茶の由来や歴史、効能などについての説明が中国語で始まる。メニューを見せてもらい、疑惑が確信に変わる。お茶一種類の試飲が一人当たりRMB58~158とか微妙に高いプライシングになっているのだ。この価格設定が微妙なところ。高い。高いけど、高級店では十分アリな価格かなと諦めがつくような微妙な価格設定で、中国の現地相場が分からない旅人なら深くは疑わないレベルのものだ。でも、やっぱりこんな場末の茶館でこの値段はありえないので、ぼったくり以外の何物でもない。せいぜい3人で58元がいいところだろう。茶の種類は果花茶、紅茶、鉄観音、人参烏龍茶など豊富で、本当か分からぬが武夷山で猿に摘ませた珍しい茶なんかもあったので、全部を試飲したらゆうに一人頭1000元オーバーという金額になってしまうので要注意だ。

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5種の飲み比べコースが一般的とのことだが、やっぱり小生は1種類のみをチョビチョビ飲みますわ、と。するとどうですか。強引に頼まされると思いきや、全然そんなことはない。それなら私たちも1種類にするわ、という予想外の展開になる。「あ、こいつ現地相場知ってやがる!やばい!」という危機感が働いたのか、しつこく引きずらない手口と鮮やかな引き際は見事である。法外な高額はふっかけない、断られたらすぐに引き下がるなど、言い逃れできる範囲で活動しているので、長年のあいだ摘発の対象からは外れているのだろう。「お茶詐欺」と「ブラジルコーヒー」詐欺は長年に渡って上海が誇る二大詐欺の座に君臨し続けている。

結局3人でお茶1種類ずつを頼み、1時間ちょっと茶館で談笑。最後は店側から土産用の茶の営業が入る。サイズは大中小あり、小(50g?)で380元~。高級茶としては無くも無い値段設定だが…「二人とも私は買うわ。大は高いから小ね」なんて言ってクレジットカードで支払うフリをする(女Cがクレカを店外に持ち出して会計を済ませたと言って戻ってきたが、女Aも女Bもサインなどしていなかったので支払は発生していない筈)。どこまでも巧妙。茶代で儲けられなかったからなのか、会計時に部屋代とかいう名目で100元取られてしまったが、(女AとBは抗議して値下げ交渉するふりをしていたが、日曜日は高いんだって、しょうがないよね。と言って直ぐに引き下がる。)結局、150元程度の支払いで茶を飲んで楽しく談笑して豫園周辺のガイドをしてもらったので、今回の経験は詐欺とは言えないかもしれない。だが、やはり旅行者の弱みにつけ込んでお金をふんだくってやろうという悪意はあったかと思うし、現地の通貨相場が分からないカモがずるずると色んなお茶に手を出すことを狙っていたのだと思う。でも、派手にやっていては摘発対象になるので、引き際は弁えているのだろう。買わないという意思表示をしていれば、食い下がられて強引に買い込まされるわけでもないし、屈強な怖い人達に囲まれることも無し。ゴリ押し一切なしに自然とお金を使わせられたというのがこの詐欺の被害に遭った他の人達の率直な感想だろう。ネットでは同様の手口で数千元を払わされたとの被害報告を多く見るが、事前にメニューで金額を確認し、恫喝など無しに被害者が納得してお茶を飲んでいるのであれば、悪徳には変わりないが真っ黒黒という訳でもないのではなかろうか。

会計後、店を出たところでストラップをもらう。「これは災いから身を守る幸運のストラップ、中国は危険だから気を付けてね」って、どの口が言うか!
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でも結局、彼女らは3時間も4時間も費やしたのに私の出費は200元以下。それでも別れの時は悔しがる素振りも無く手を振って別れ、その上ストラップまでもらっちゃうという。向こうとしては手当たり次第に日本人に声かけて、「カモれれば儲けもの」くらいのスタンスなのだろう。最後までフレンドリーなこの姿勢があるからこそ、被害者は詐欺に遭ったという意識を持ちずらくなるのだろう。対策としては、面識の無い変な輩にホイホイと着いていかないことが一番だが、当局から目をつけられたくない向こうとしても強引な対応はできないようなので、仮に茶館まで行っても「ここのお茶は高くて有名なのでやめておきます。」と皮肉たっぷりに言い放ってやればいいのかと思う。

「シャッター押してくれませんか。」から弾む会話には要注意。世知辛い世の中になったもんです。

【大まかな流れのまとめ】
1.「写真撮ってくれませんか。」と英語で話しかけられる。今回は豫園商城。夕方には南京東路でも別の女から声をかけられる。
2.写真撮影後「香港人ですか?台湾人ですか?どこから来ているのですか?観光目的ですか?」などなどやたらと積極的に食い込んでくる。
3.今後の予定を聞かれ、「私たちも同じ予定なの!」と更に食い込んでくる。観光マップなどの小道具まで用意されている。
4.普通に楽しく時間を過ごし、休憩したいからと茶館に入る。茶館へ誘う流れを自然に見せる為に、先ずは小籠包店に行くふりをして安心させるが、この小籠包店は予約なしでは入れないような人気店なので、「混んでて入れないから茶館に行こう。」という流れになる。
5.好きな数字を選ばされ、それぞれの数字の意味の説明と、番号に対応するお茶をスターターとして頼む。茶の種類は豊富。果花茶、紅茶、鉄観音、人参烏龍茶、など。武夷山で猿に摘ませた珍しい茶なんかもあった(本当かどうか分からんが)。
6.談笑中、メアド交換なども行い、彼女の微信のアドレスを教えられる。主な会話内容は日系企業の勤務文化、日中政治関係など、結構シリアスなことを聞いてくる。中国共産党は一党独裁で腐敗が凄いの!なんていう際どい発言をしたりもしてた。
7.一つ飲んだ後に他のも飲み比べましょうかという流れになる。(←ここで断れなければずるずる言って会計が数千元にも及んでしまう可能性あり)。茶道の実演は珍しいので、実演中の女Cの写真を撮らせてもらおうとお願いするも頑なに断られる。
8.飲み比べ終了後、どのお茶が気に入ったかを選ばされる。女A・女Bも真剣に選ぶふりをして、渡された茶缶に好きな物を入れて土産として持ち返ろうという話になる。
9.清算。割り勘で良いよとのことだが、女Bは支払う素振り無し。女Aが二人分を支払うのか、クレジットカードを店員女Cに渡す。私はスキミングが怖かったので現金で。暫くして支払いを終えたといって女Cが女Aのクレカを持って戻ってくる。小生は支払証明の為のレシートを要求したが、特別価格の為に領収書が出せないとか意味の分からぬことを言われる。手書きレシートも駄目とのこと。
10.店を出て、幸運のストラップを貰い解放される。
11.上海駐在員に当件を報告。「典型的なお茶詐欺の手口ですね。」と。

因みに、フェアモントピースホテルのバーテンダーにこの経験談を話したら、中国人で地方から出てきた人間もしょっちゅう騙される手口だそうだ。被害者は自発的に支払っていることから公安としても厳しく取り締まることでできないことから悪徳業者が絶えないそうだ。ネットで注意喚起して被害者がでないようにするくらいしかできないのか。被害額は最大でも数千で済むような“カワイイ”ぼったくりですが、上海で観光する際は知らぬ人間にホイホイとついていかぬよう気を付けて下さい。もしも被害に遭ったら?ホテル経由なりで警察に報告ください。警察を引き連れて茶館に再訪したところ被害額の一部が返金されたこともあるそうです。

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