劣化版アユタヤ 古都・チェンセーン

昨晩は何もないド田舎と酷評もしてしまったチェンセーンだが、朝歩いてみると歴史溢れる古都の趣を感じさせる素晴らしい町であることが分かったので、クルリと手のひらを返させて頂く。町中至る所にスコータイやビルマの影響を受け継ぐチェンセーン様式の仏塔や苔生えた寺院跡が点在していて、劣化版アユタヤといった歴史都市と表現すれば分かり易いだろうか。チェンセーンはバンコク王朝初期の頃、ビルマ軍による占拠を防ぐためにラーマ1世によって街全体が焼かれて一時は廃墟となった歴史があるそうだ。その後に再入植が始まり遺跡の中に町が建てられたという背景がある為、古色蒼然とした無人無住の中世遺跡と現代の生活が混在していて、日本の城下町とは違う奇妙で独特な雰囲気が漂っている。


こちらはチェンセーン場内のマップ。一番外側の円は国道のバイパス道路で、その内側の変形四角形がチェンセーン王国を外敵から守った城壁跡。町の東側には北から南へとメコン川が流れ、天然の城壁となっている。この狭い範囲に把握されているだけでも25の遺跡が残されているというので、遺跡密度でいえばアユタヤの上をいくのではないだろうか。

さて、本日はメーサーイへの移動日。チェンセーン市内を適当に散歩してからソンテオでメーサーイへと向かうつもりだったのだが、チェンセーンの興味深い街並みを歩いているうちに色々と道草を食ってしまった。


朝07:00、ホテルを出ると前方から7-8匹の野良犬集団がワンワン吠えながら我がもの顔で近くを通り過ぎていく。犬でも風を切って歩く奴らがいるんだなー。

[youtube]http://youtu.be/yqgoCQaDURg [/youtube]
アユタヤでも吠えまわされ、イサーンでも吠えまわされ、ここチェンセーンでもこの仕打ち。タイに来ると犬が嫌いになる。

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先ず見えてきたのは1515年建立のWat Athi Ton Kaeo。


根本以外は修復されたものだと思うが、ランナースタイルのチェディが住宅と住宅との間の空き地にひっそりと残されている。仏像の頭が掻っ切られているのは、頭部に財宝が隠されていると考えた盗人の仕業。こんな時代を感じさせてくれる素晴らしい遺跡でも野良犬が駆け回っていて、雰囲気をぶち壊してくれる。

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直ぐ近くにあるのは16世紀に建てられたと考えられているPhuok Phan Tong Temple。こちらは逆に仏像の頭部と思われる塊がゴロンと放置されている。世界遺産にも認定されてきちんと整備されたアユタヤ歴史公園とは異なり、チェンセーンの遺跡は強烈な無造作感がウリ。歴史的風土が行政によってきちんと保存されているって訳ではなく保存状態も決してよくないが、それはそれで歴史剥き出し!って感じで風情があるんだわ。時の流れをというものが直に伝わってくるというかね。

他にもとにかく小規模遺跡が盛り沢山!
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ひだり みぎ民家が整然と並ぶ住宅街を歩いていると、突如として歴史を感じさせる仏教史跡が現れ、歴史ある遺跡に現代の洗濯物が干されていたりするんですからね。


駐車場にしかみえない空き地に仏塔が埋もれていたり、本当に遺跡が町の一部になっている。

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遺跡を巡って歩いていると、朝靄立ち込めるメコン川に辿り着いた。ラオスのシーパンドン、カンボジアのプノンペン、ベトナムのミトーやカントーなど色々な場所でメコン川を眺めてきたが、見てきた中ではここが一番の上流にあたる。勾配が無いようで思ったよりも流れが穏やかだ。

意外と面白いチェンセーン。今日は朝一でメーサーイまで北上してその足でミャンマー側の町を見に行く計画だったが、予定を変更してもう数時間チェンセーンの街を散歩してみることに。

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この大通りがメコン川からパーサック歴史公園に真っ直ぐ伸びる目抜き通り。各都市へのバスやソンテオの発着所も殆どがこの通りにある。

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メコン川近くの青空市場。流石メコン川のお膝元、魚介類は豊富なよう。昨晩の炭火焼の川魚は美味しかったなー。

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右はアジアで人気の味の素。朝早くという時間の問題があるのだろうか、野菜コーナーの人出はまばらで、店員さん同士が楽しそうに談笑に興じてる。喉かな地方都市の小さな市場の風景だ。

この通りを西に進むとチェンセーンの見どころであるチェンセーン博物館やワット・チェディ・ルアン、歴史公園が見えてくるのだが、それ以外にも遺跡が盛りだくさん!

巨木の中にひっそりと佇むラピュタ的雰囲気のWat Chetawan。

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Wat Phra Buat。1346年に建てられたものが修復されている。

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Wat Mung Muang。14世紀のものだろう、と。

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名が残っていない寺院も多数あり、Abandoned Templeと紹介されている。

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Wat Maha That。

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こちらの一際高い仏塔があるのがワット・チェディ・ルアン。ランナー王朝を建国したメンライ王の孫のなんちゃら王によって1332年に建立された年季の入った仏塔で、チェンセーン様式のパゴダの模範とされてきたそうだ。8角形の基部の幅24m×高さ88mで、チェンセーンで最も高く格式のあるパゴダとして、今でも多くの仏教徒の崇拝の的になっている。


パゴダの手前に残された本堂跡は現在修復中。

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壁や仏像にこびり付いた苔が歴史を感じさせる。


ワット・チェディ・ルアンのお隣はチェンセーン博物館。開館は09:30なので入れないが、庭園にある展示物なら見学可能(タイ語なんで一切聞き取れないが、多分そういうことを言ってくれていたと思う)ということで、敷地内に入らせてもらう。

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リンガや仏像の顔面など。


仏像の顔面はチェンセーンのWat Pranonから出土したもので、14世紀の涅槃仏の頭とされている。手書きの説明図が可愛らしい。

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最後の見どころはこちらのパサック歴史公園。お堀+高さ2m弱程の城壁で防御が固められていて、中にはさぞかし立派な城跡でもあるのかと思ったが、チーク林の中にクメール風の朽ちた仏塔がある程度のものだった。仏塔の正面には入園料50Bと書かれていたが、係員がおらず誰に支払えばよいのか不明な為、料金未払いのまま侵入させてもらう。

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仏塔は高さ12.5mで、スコータイとビルマの様式がミックスされたものだという。もう少しじっくり観察したかったが、通り雨に降られてしまったので、慌てて撤退。雨から逃げるようにメーサーイ行きのソンテオに乗り込んだ。

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