のーんびりとした南国アイランド・デット島

コーンパペンの滝から北上し、シーパンドーンの観光名所であるメコン川に浮かぶ隣り合った二つの島、デット島・コーン島を目指す。これらの島々は1990年代半ばに外国人旅行者にも解放されバックパッカーが訪れるようになると、口コミでその噂は広がり、瞬く間にラオス南部で最も人気の高いエリアになった。ラオス南部を訪れる旅人たちは口々に「もうシーパンドンには行ったか?」と言葉を交わし、多くのツーリストたちがこぞってシーパンドンを目指したのだった。デット島・コーン島のいったい何が旅人を魅力するのだろうか。事前収集した情報に拠ると、コーン島・デット島の見どころは主に3つ。

1. ラオス初の鉄道跡
先に見たコーンパペンの滝然り、複雑に入り組んだ地形のシーパンドーン一帯には島々の間を縫うようにいくつもの滝や大瀑布群が形成されている。フランス植民地政府はメコン川を雲南省までの輸送路にしようと考えるも、最後にこのシーパンドーンの大瀑布群により計画が頓挫。1893年には滝に阻まれ船の航行がままならないことを悟った仏印政府は積荷をいったん陸揚げし、鉄道を敷設してこの瀑布群を超えるという計画に変更し、コーン島に線路を敷設。1910年にはデット島との間に鉄道橋も建造し、蒸気機関車を導入した。この鉄道は第二次世界大戦時に日本軍に攻撃されるまで動いていて、未だに残された蒸気機関車の残骸や積み出し埠頭跡などに当時の面影を探すことができる。

2. ソムパミットの滝
幾筋にも水流が分かれた幅の広い滝。露出した岩盤に激突しながら流れ落ちる大量の水の姿が圧巻。

3. 川イルカウォッチング
カンボジアとの国境沿いに生息するイルカを見に行くツアーが人気。

そんなに大した見どころはなさそうだが、典型的な東南アジアの島といった趣抜群の風景がひろがっていて、その素朴で小さな島の川沿いにあるバンガローで都会の喧騒を忘れてのんびりと長逗留する白人も多いらしい。何も無いのが魅力、ということだろうか。夜は川沿いのバンガローに泊まり、メコン川に突き出たテラスのハンモックに揺られながらランタンやろうそくの光をたよりに星空を眺める事ができるし、スコールが来れば、またハンモックに揺られ、空から落ちてくる雨粒でも数えたりと。暑くなったら子供達と一緒にメコンで水浴びをしたり、自転車を借りて田舎道を走っていけば、メコン川の大瀑布群やカンボジアの国境まで見渡すことができる島の突端まで行く事が出来る。「何もない」と評されるラオスの国で、さらに「何もない」エリアだからこそ、旅人たちは自由に自分に今必要な何かを見つけ出すことができる。「何にもせず、ハンモックにゆられ、のんびりと。それがここのスタイルだ!」と後に会う白人沈没者はドヤ顔で語っていた通り、ここで過ごす毎日は、行った人にしか味わう事ができない、貴重なものになるのだろう。こんな長閑な島にいても「やれ納期はどう、やれ会議はどう」って電話で追いかけられる生活も疲れるし、確かに物質的豊かさから解き放たれた生活ものんびりとしてうらやましいと思うことはある。

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ナーカサン村から渡し船でデット島に渡り、フランスが残した旧鉄道橋でコーン島に入ることになる。ナーカサンの看板が見えてきたところで13号線から抜け、メコン川方面へとバイクを走らせる。

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やたらとピックアップトラックが多く泊まるナーカサン村。規模は小さく、村に入ったと思ったら直ぐに河川が見えてくる。


荷物を一杯に満載した木の小舟が引っ切り無しに往来。ここらはまだ川の流れが緩やかなので船の行き来も問題なし。


右側の小屋のような建物が船の発着所。時刻表は無く、人が集まったタイミングで随時出発していく。残念ながらバイクの乗り入れは不可とのことで、周りに屯していた個人船主にチャーターを交渉するも、完全に足元を見られているようでふざけた価格提示しかしてこない。こりゃあ島で自転車を借りた方がいいかもしれないな。そう思って村の駐車場にバイクを置いていく。5000Kipと有料で、管理人もいるので安心だろう。


バイクを置いて再度船の発着場へと向かう。中々人数が集まらない中、痺れを切らした辛抱弱いお坊さんが船の管理人に二言三言いうと出発することになった。ここラオスでもタイ同様にお坊さん権力が絶大なのだろうか。


小舟で繰り出すメコン川。この周辺には島が無数にあり、シーパンドーン(4千の島々)と呼ばれているのだが、実際に来てみると中州がぼちぼちあるぐらい。 日本だったらせいぜい「九十九島」とか「九十九里浜」と謙虚な表現をするようなところだが、4千とはラオスも大きく出たものだ。


島を縫って毛細血管のように水路があり、気分はジャングルクルーズそのものだ。

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島に着くと子供の物乞いが船着き場に待機しているが、子供からの金くれ攻撃をものともせず進んでいくベテラン僧侶。

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デット島ビレッジ。

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メコン川沿いのレストランにあるハンモックで暫し休憩。


その後、ボロッボロになった自転車で島内探索へと出かけることに。レンタル料は一日10,000Kip(≒100円)と激安だが、自転車の質も値段相応になっていて、とにかく乗り心地が悪く、ケツが痛い。


多分、ここらが一番の繁華街。もちろん舗装などされていなくて所々、ぬかるんだ場所があるので歩く時に注意だ。繁華街を経由し、デット島とコーン島とを結ぶ旧鉄道橋を目指してチャリで砂利道を進む。

ひだり みぎ


コーン島へと続く旧鉄道橋。


穏やかに見えるメコン川ですが、この先には荒れ狂うソムパミットの滝の姿を見ることができる。続いて、この橋を渡りコーン島へと入っていきます。

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