バイタクで赤ザオ族の住まう村落へ!

ホテルでアーリーチェックインを済ませた後は、休む暇も惜しんで街探索へと繰り出すことにした。 サパの町はこじんまりとしていて、30-40分もあればゆうに一周できてしまうほどの規模で、サパ市場を中心とした半径数百メートルの範囲にホテルやレストラン、ツアー会社などが密集している。首都ハノイからは376km離れた中国国境近くの標高1,600メートルの山岳地帯にあるこの小都市への訪問客のお目当ては市内観光ではなく、サパ近隣に点在する各少数民族の村落巡りである。町を一歩出れば田園風景の中に黒モン族や赤ザオ族、ターイ族、ザイ族などの集落を見ることができるので、サパはに周辺の山岳少数民族の村への観光の基点となっている。



サパ周辺の村落マップ。

サパの町を歩いていて驚かされるのは、街中至る所に少数民族の服を着た少女淑女たちが歩き廻っている事だ。それぞれの民族が自分たちのアイデンティティを主張するかのように衣裳のデザインをそれぞれ工夫している為、彩みどりな感じで面白い。黒っぽい濃紺の衣裳を身に纏う黒モン族、頭に赤い頭巾を巻き、眉毛を剃り落としているのが赤ザオ族、カラフルでジャラジャラした服装なのが花モン族などなど。フルーツを頬張るモン族の親子がいて、その横では眉毛を完全に剃り落としたザオ族の集団が笑顔で談笑していたりと、新鮮な光景が目の前に広がる。彼ら大部分は自分たちの衣装作りのために培われた高い織物技術を活かし、バッグや小物などの土産物を売って何某かの現金収入を得ているようだ。


サパの少数民族の中でも一大勢力を誇るのが、その名の通り黑に近い藍染めの衣装に身を包んだ黑モン族。


カットカットやシンチャイなど、比較的サパの近くに村落を構えているので、町中で出会うモン族の殆どは黒モン族であるようだ。女性は円筒形の帽子に襟と腕の部分に刺繍の入ったろうけつ染めされた濃紺の上着,五分丈のズボンに巻きスカート,巻き脚絆という格好で、小柄だし何だか忍者っぽくてかっこいい。俊敏に動き回りそうというか、絶対身のこなしは軽やかだと思う。


公園では決起集会なのか作戦会議なのか、黒モンさんの行商部隊が結集。当日の販売品目や担当別営業区分けでも決定しているのでしょうか。とにかく黒モン族の面々の営業部隊はサパ市内を隈なく網羅していて、どこを歩いていても囲まれてしまいます。Buy for Meと物悲しい顔をされるとどうしても断りきれない…


結果、このようにミサンガや首掛けバッグなどのモン族グッズで体中が埋め尽くされる事態に。まぁでも土産物を買ったと思って良しとしよう。参考までに、ミサンガがVND10,000(≒40円)バッグがVND100,000(≒400円)~150,000(≒600円)だった。

ひだり みぎ
続いて、朝食を食らいに街の中心に位置するサパ市場へとGo。

ひだり みぎ
青々とした採れたての新鮮野菜にフルーツが盛り沢山。ここでは完熟パパイヤをこれでもかと頬張った。

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こちらはサパ市場の入り口から延びるバーストリート。観光客向けオープンテラスバーや飯屋、マッサージ屋、土産屋が結集。飯屋はベトナム料理はもちろん、イタリアン、フレンチなど、様々なレストランが並んでいて、食事には事欠かなそうである。

バーストリートを徘徊していると、バイタク運ちゃんから声がかかる。

調子の良いことばかり抜かすバイタクドライバー、名をジンさんと言う。小さなサパの町でツアー会社がオープンするまで時間を潰すというのも苦痛なので、時間を有効に使おうとMa Tra(マーチャ)村、Ta Phin(タフィン)村まで乗せていってもらうことに。午前中いっぱいの拘束でVND 200,000(約800円)。途中、好きな所で何度でも止まって良いとの事なので、余り融通の利かない集団ツアーより寧ろ良かったかもしれない。

幅の狭い曲がりくねった山道を下り、バイクに乗って山と川と棚田の間を抜けながらMa Tra(マーチャ)村を目指す。


うおぉぉぉぉ。見渡す限りの緑豊かな山々と、永遠に続く棚田のパノラマの圧倒的な絶景に思わず息を飲み、鳥肌が立つ。心打たれる感動的な景色は久しぶりに見た。それは、この山肌を棚田として切り開いてできた美しい田園風景が、この大自然の中に住みついた人々の人力によって造られた創造物で、彼らの苦労と努力に裏打ちされているからだろう。ただただお見事。

ひだり みぎ

ひだり みぎ

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まるで等高線のように、扇状に広がった山の傾斜に合わせて田んぼが見事に仕切られている。山々に抱かれながら代々受け継がれ、命の源である米を実らせてきた棚田を眺めていると、悠久の歴史の重みを感じるし、棚田をめぐる清涼な水や澄みきった空気とも相まって、日々コンクリートジャングルの中で疲弊した心が癒される気分である。


360度の大自然に囲まれながら芝生に寝転がっていると、ハローと声がかかる。振り向くと、眉毛のない赤ザオ族の女性が笑顔を振りまいている。ここから3時間かけて徒歩でサパ市内までいき、自家製の赤ザオグッズの商売をするのだという。商品が満載された竹籠を背負い、一人で上り坂を3時間かけて歩いて行くとは…山岳民族の女性の逞しさと足腰の強さに心から敬服する。

ひだり みぎ

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尚もバイクを走らせ、ようやく遠く渓谷の谷間に少数民族の村を望むことができるようになった。目に留まるのは、水牛で田植えをする男性や、米の苗を田んぼに植える女性たち、そして、緑の中の畦道を元気良く駆け回る子供の姿。棚田がつくる神秘的な風景の他にも、少数民族の人々の生活を直に感じることができるのもサパの魅力である。

ひだり みぎ
マーチャの村ではバッファロー親子に道を塞がれるハプニングが。ほのぼのとしていて和めます。


サパの町を出て約1時間、赤ザオ族が住まうタフィンの村が見えてきた。


村に着き、バイクを降りるなり、チェックの長スカートに鈴や房飾りをつけた紅い頭巾が目印の赤ザオ族の女性陣に囲まれる。バイタクのジンさんではなく私だけに狙いが定められている。7~8人の眉無し女性に一気に畳み掛けられタジタジに。彼女らはなかなかの粘着力で、走って逃げても脅かしてもぴったりくっついてくる。何かを買うまで永遠についてきて、一人から買ったが最後、皆から買わざるを得なくなること必至。バッグ一つは日本円で400円程度なので、土産物を買ったんだと割り切ろう。でも、買った途端に用無しとでも言うようにあっさりと離れていくのはちょっと寂しい。

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基本的に彼・彼女らが発する英語は『私から何か買って』と『助けて』のみだが、こちらの女性は英語が達者!そして、バッグを買った後でも色々と話をしてくれる。彼女らの生活に関してお伺いしていると、なんと自宅に招かれることに。後で知ってびっくりしたのだが、彼女の御尊顔が地球の歩き方ベトナム2014年版に載っておりました。赤ザオ族の風習に従い眉を剃っているので見た目はちょい怖いですが、素朴で優しくて感じの良い人である。

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彼女の旦那さんが建てたというこの立派な木造家屋はゲストハウスにもなっていて、一泊のお代は朝食込みでUS$10だとか。今回は残念ながら旅程が許さない為に泊まることはできないが、次回は是非こちらに滞在してみたいものだ。彼女はお金の為でなく、純粋に外国人に彼女の文化を紹介したいというモチベーションがあるようだ。

ひだり みぎ
寝室に調理場。


残念ながら彼女のご家族は山に農作業をしに出かけてしまっていたが、他の赤ザオ族の家族も集まってきて楽しく談笑をすることができた。町中では商売ばかりしている商魂逞しい彼女らだが、一旦家に帰ると優しくて人懐っこい人間に戻っちゃうから驚きだ。10月・11月の米の収穫期には山が黄金色に輝くので是非再訪して下さいとのことだが、休みは取れないだろうなーー(涙)

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