バックハーのカラフルサンデーマーケット

けたたましいベトナム人のイビキと共に夜行列車に揺られること9時間、朝の6時ちょうどに寂びれた国境の街・ラオカイへと到着する。このラオカイ、中国との国境の接している為、漢字名もあったりする。その名も老街。ええ、その名の通り、本当に古びれた辺境地の小都市といった印象だ。駅前に屯していた数多のタクシードライバーの勧誘攻撃をしなやかに往なしつつ、事前に予約をしていた駅前のホテルへと足を運ぶ。SPG修行中だが、もちろんSPGの手系ホテルなどはこんな僻地に展開していない。


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こちらが今回宿泊するThien Hai Hotel。漢字で書くと天海酒店。英語にしてみると、パラダイスオーシャンホテルというなんとも豪華絢爛そうなこちらのホテルは、この街有数の大型老舗ホテル。今回は鉄道駅から徒歩一分、バスターミナルまでも徒歩数分という素晴らしい立地条件に惹かれて予約(というか、他にまともなホテルがネットに出ていなかったので消去法で…)。朝食込みで3000円程度と日本人的感覚からしたら格安だが、寂れた小都市のラオカイにあっては恐らく高級ホテルの部類に入るのだろう。

ひだり みぎ
設備は古くガタがきているが、部屋は十分に広く、価格も含めて一泊するだけなら全然アリ。難点としては、直ぐ真後ろにはラオカイ鉄道駅がある為、朝早くから汽笛のモーニングコールが響き渡ることになる。

ひだり みぎ
最上階には川の向こうに広がる中国の小都市・河口市まで遠望できるテラスバーを完備。カクテルなど洒落たメニューはないが、夜風に吹かれながらタイガービールを飲むだけで中々の旅情を味わうことができる。


朝食はベーコンオムレツとパンのセットで、申し訳程度のキュウリも付いてきます。

このラオカイには鉄道駅・ミニバス駅一帯と、ここからバイクで10分くらいしたところにある国境方面にバックパッカー向けドヤ街が形成されている。はっきり言ってどちらも大差無いので、翌日に中国に抜ける人は国境周辺、バスや鉄道でサパやハノイに向かう人は鉄道駅周辺を選べばよいだろう。
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街にはこんな感じの細長い旅館がニョキニョキと建っていて、中国人客取り込みの為の『華僑賓館』の文字が目立つ。街に屯するバイタク野郎どもも大体はニーハオニーハオ言っている。

さて、ラオカイに到着したはいいものの、流石に朝6時からのアーリーチェックインは不可と一蹴される。こんなでかいホテルなのに誰がどう見ても私が唯一の宿泊客だってくらいに閑散としていて部屋も絶対に空いている筈のに、やけに官僚ぶった態度のフロントデスク係。しょうがない、スーツケースのみロビーに預け、バックハーという小さな村を目指すことに。普段は特に見所の無い小規模村落のバックハーだが、日曜日になると、花モン族という非常にカラフルな民族衣装を着た民族が近辺の部落から集結し、大きな市場を開くのだという。モン族は貴州省、湖南省、雲南省、四川省、広西壮族自治区から、ベトナム、タイ、ミャンマー、ラオスと広範囲に渡って生活をしている少数民族で、その中の花モン族は襟から右脇にかけてカラフルな刺繍が入ったシャツとエプロンを巻き付けた民族衣装で知られる美しい少数民族だという。『花モン』なんて名前からしてめちゃくちゃ可愛らしいではないか。

以下、地球の歩き方より抜粋。
「日曜になると、カラフルな民族衣装をまとった花モン族の女性達が、農作物を売り買いしたり、友達に会うために、遠く夜明け前に出発して約20kmもの道のりを歩いてやってくるという。市場とその周辺には野菜や日用品、民族衣装などの露店がずらりと並び、大きなカゴを背負った女性達でごったがえしている。その色とりどりの衣装が集るさまは、まさに満開の花畑を眺めているようだ。
マーケットのピークは10時から昼過ぎ頃まで。」

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早速、ホテル前の広場から延びる一本道の先にあるバスターミナルへと向かう。ハノイ行きの大型寝台バスからミニバンを改造した小型バスまで結構な数のバスが停車中。看板がベトナム語だけだったらどうしようと思ったが、各バスのフロントガラスに行先がローマ字でふられているので助かった。参考までの情報だが、サパのツアー会社でバックハーツアーが組まれたりしているが、地理的にはラオカイを挟んで東にラオカイ、西にサパとなっているので、バックハーに向かうのであれば、ラオカイから直接向かう方が時間的にも費用的にもお得である。

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ハノイから早朝にラオカイ入りし、その足でバックハー観光⇒当日にサパへ移動という日程も組めなくない。*不運にもミニバンが宅配業者気取りをして無駄な時間をかければの話である。

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バックハー行きのバスは08:30発で、運賃はVND60,000。きちんと運賃表にもVND60,000と書かれていたし、地元民もVND60,000を払っていたので間違いない。バスは私と華僑親子1組を乗せて定時に出発。片道2時間半と聞いていたので市場が一番盛り上がるお昼前に着くだろうと思っていたが、発車したバスは市内の色んな場所を行ったり来たり。停車⇒荷積み⇒再発車⇒停車⇒荷積みのサイクルを1時間以上繰り返し、結局バックハーに着いたのはお昼過ぎという…

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バスにこれでもかと積まれた段ボールの山々。これだけではなく、バスの屋根にも大量の資材を乗っけて紐でくくりつけています。乗客が少なかったので宅配便を兼務して小銭を稼いでやろうという魂胆だろうが、限られた時間の中で行動している観光客にとったらたまったものではない。腕時計を指差して抗議するも、ベトナム語で何かまくし立ててきて我、意に介さずといった感じのモーガン・フリーマン似(上半身裸)の運転手。携帯電話での集荷販促活動に忙しい用で取りつく島もないといった感じ。腹立つわ。

バスにこれでもかと積まれた段ボールの山々。これだけではなく、バスの屋根にも大量の資材を乗っけて紐でくくりつけています。
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バスはこのような山岳地帯を走り抜ける。屋根にしこたま荷物を積んでいる上、うねうねとしたカーブ道となっている為、時速30Km程度の低速走行が続く。それにしてもこの先に本当に集落があるのだろうかという不安に苛まれるくらい、周りには何も無い。
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途中、山間を徒歩で行く花モンさん達を発見。この暑い中あれだけの荷物を持ってあの厚着でよくもまあ…

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昼を過ぎ、ここだ!と降ろされた先で辺りを見回すと、女性陣は普通に民族衣装を身に纏って歩いているではないか。花モンさん達は本当にここに集結しているようだ。

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牛www人間と一緒に水浴中。長閑すぎるw

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河を渡った先にあるのは更なる異世界だ。右にも左にも奇抜でド派手な色使いのジャラジャラビーズ系民族衣装を身に纏った花モン族の方たちが!衣裳を装備していない私に対してじろじろと好奇心の眼差しが向けられ、何だか恥ずかしい。

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す、凄い…井戸端会議をしているおばちゃんも、日用雑貨を買い物中のおばちゃんも、女性陣は皆、ド派手衣裳をきっちり装備。流石は週に一回しかない『勝負の日』。皆さんばっちりキマってます。こんな山奥にこんな色鮮やかで華やな世界があるとは。カラフルすぎる露店市の名に偽り無し。青系赤系を中心に、幾つもの鮮やかな色が溢れに溢れ返ってる。

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民族衣装だけに好みに合わせて自分で編んでるのかなーと思いきや、普通に既製品(中古品かも)の衣裳が売られ、買われているようでした。それにしてもすっごい刺繍。近くで見ると、細かい刺繍が物凄い面積に施されている。私には全部似通ったデザインに見えるが、彼女らが見ると色々と違うところがあったりしてオシャレポイントが見極められるんだろう。皆さん、購入前に念入りにああだこうだ言いながら品定めしていた姿が印象的。

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マーケットというからにはここでも壮絶な押し売り攻撃に合うことを覚悟していましたが、花モン族の花モン族による花モン族の為のマーケットのようで、帽子や古着などを花モンさんたちが品定めをし、売り買いしている。

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帰りのバスはNgan NGA Bac Ha Hotelから出発。バスを待っていると・・・キターぁぁぁ!!!!待ってましたとばかりに英語が話せる一部の花モン族が花モン系の土産物をぶら下げて観光客にターゲットオン!!それにしても滅茶苦茶流暢な英語を操る彼女たち。ただただ花モン族の衣装を身にまとった雇われの商売人にしか見えません…

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