街歩き天国・ハノイ旧市街とドンスアン市場

ホアンキエム湖の北側に広がるハノイの旧市街には、生い茂る緑の中の入り組んだ小路に歴史を感じさせる二~三階建てのビルが建ち並んでいます。まさにアジアらしい混沌とした雰囲気の中にベトナムの人の生活の臭いが充満している濃い~エリアです。
ひだり みぎ

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旧市街、通称ハノイ36通りは『旧』というだけあって、今から約2000年前、中国の唐王朝の時代に辺境警備・周辺諸民族統治などの為の防衛都市・安南都護府として町興しされ、城壁に囲まれた都市に5000もの中国建築家屋が建設されたことに都市としての起源を持ちます。その後、11世紀にベトナム李朝によって開城された後、李朝の李太祖が旧市街の中に宮殿を建設して伝統的手工芸品地域として旧市街36通りを開発。13世紀の初めには宮殿の周辺の通りごとに伝統的手工芸品の同業組合が組織されました。

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ハノイの旧市街はがハノイ36通りと呼ばれているのは、かつて36のギルドが存在したからとも言われています。そして、通りごとに同業者が集まって居住し、製品や業界、店舗を意味するハン+業界名で通り名をつけたので、旧市街には『ハン○○通り』という通りの名前が本当に多い!!食器や鍋などの台所用品が所狭しと並ぶハンコアイ通りに手芸用品の卸問屋が揃うハンボー通り、御座や鞄を売るお店が軒を並べるハンチエウ通り、ベトナムの弦楽器や打楽器を扱うお店が集まるハンマイン通り、多種多様なお菓子が売られ、甘いもの好きのベトナム女性で賑わうハンザイ通り、手ごろな価格帯のシルバーアクセサリーを売る老舗銀細工店やプロパガンダポスターショップが密集するハンバック通り、価格は高いが質の良いシルクを商う個人経営店が並ぶハンガイ通り、法事に使われる冥器などの冠婚葬祭用の紙製品や飾り物の商店が集まるハンマー通り、オーダーメイドの木彫り判子が手に入るハンクアット通り等等…通りごとにかつてのギルドの名残を見ることができ、時は経てど、今もなお多くの人が訪れるハノイ随一の繁華街となっています。

ひだり みぎ

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ハンガイ通りのシルク商店に、ハンクアット通りの木彫り判子店。判子は既製品を買うのもよし、好きな絵柄や文字を決めてオーダーメイドするのも良しです。

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菓子屋街に御座屋街。御座の販売だけで生計を立てられるとも思わないし、未だに似たような商品を取り扱う隣の店とは競合関係ではなくギルドで共同戦線を張る関係を維持しているのだろうか。

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プロパガンダポスターなんて道を挟んだ向かい合わせの店舗に同じポスターが売られているし…

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良い感じの洋風飲み屋街もありました。Ta Hien通り。

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天秤を担ぐ売り子さんは皆女性たち。女性博物館で見たビデオが頭に過ぎり、食べたくもないのにバナナを買ってしまった。それも一房もwwwというか写真を撮って良いか許可を求めたところ、バナナ購入を条件にしてきやがった。しかも、小売はしてないのでMOQが一房になるとのこと。しょうがなく一房分のお金で1本だけ分けてもらう。商売上手だなー。

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バナナを持って歩くのも何だしそろそろ歩き疲れたので、路肩の飯屋でバナナを肴にハノイビールで一杯やることに。VND15,000(≒60円)也。ミネラルウォーターと同じ値段www中国とベトナムはビールが安くてビール党には大助かりだ。

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飯屋の前には路肩散髪屋が。鏡は勿論、ドライヤーやシェーバー、シェービングクリームまで完備していますwww参考までに料金を聞きたかったが、店の主は昼飯食いに行ったようで不在だった。

廃屋風だが、でも良く見たら人が生活している…そんな景色がどこかユニークで面白い。
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旧市街を北に行けば行くほどローカル色が強くなり、生活感が出てくる。観光客の姿は見えなくなり、その代わりにどう見ても寝間着にしか見えない服を着てノシノシと道路を闊歩するベトナム人のおばちゃんや疲れ切った顔でバイクに跨って動かないベトナム人おじちゃんの姿が目立つようになる。ベトナムではやはり女性が強い。店を見ても女性が働き手としてバリバリ仕事をこなしている横で男性は勤労意欲無しでブラブラしたり爆睡かましたりしている。あったかいホーチミンだけかと思ったらどうやらハノイの男性の怠け度も負けてはいないようだ。

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やがて、旧市街の北の終点・ドンスアン市場に到達。ホアンキエム湖からまっすぐ歩けば15分くらいの距離であろうが、道草ばかり食っていたら3時間半もかかってしまった。

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果物、野菜、魚介類、お肉などの食品から日用雑貨、生地、衣料品、バッチャン焼きや少数民族の民芸品などの土産品、革製品、化粧品、アクセサリーなど、あらゆるものが揃うドンスアン市場、かつては東南アジアでもっとも栄えた場所のひとつであり、今でもベトナムの首都・ハノイのなかで最も古く、最大の規模を誇る市場としてハノイ庶民の台所となっているようだ。入り口に浮浪者っぽい男たちが屯していて入るのに躊躇するが、せっかくここまで来たので中を覗いてみることに。

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ドンスアン市場の建物は3階建て。中央には大きな吹き抜けがあり、それを取り囲んで商店が目まぐるしく並んでいる。始まりは1890年、フランスによって建てられた。その後、第二次大戦後にハノイ再占領の為に戻ってきたフランス軍に対し、約60日間に渡ってハノイで戦闘が行われました。このドンスアン市場でもベトナム解放軍とフランス植民軍間で激しい戦闘が勃発し、多くの兵士がここで犠牲になったそうだ。歴史ある市場にしてはエレベーターまで設置されてて近代的じゃん!と思ったら、それもそのはず、オリジナルの建物は1994年に火災により全焼し、今ある建物は1996年に新しく建てられたそうだ。

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中には小さな店が縦横無尽に並んでいて、ヒトとモノとがひしめきあって活気にあふれている。商品はてんこもりに積まれていて、触れると崩れてしまいそうなので側を歩くにも気を遣う。で、立ち止まろうものなら『どうだい!買わないかい!』とおばちゃんの猛攻撃の的となってしまう。売れ筋の靴を掲げ上げ『どうだい!買わないかい!』、ご自慢の逸品であろう陶器を握って『どうだい!買わないかい!』、その日仕入れた一番新鮮なものを鷲掴みにして『どうだい!買わないかい!!!!』そしてその横で携帯をいじったり、新聞読んだり、寝転がったり、ぼーっと遠目でどこかを眺めたり、手を滑らせて食べてたフォーを地面にぶちまけても掃除しなかったり、鼻くそほじくったりしている華奢な男ども…ハノイのパワフルおばちゃんたちの貪欲にエネルギッシュに生き抜く力強さ・たくましさと男どもの『なんくるないさー』的な楽観主義とどうしようもない怠け癖が良く表した場所である。

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雑踏の音、大声で商売する女性たち、そして外から聞こえるバイク音…その渦中にいると思わず圧倒されてしまう。

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食品エリアのゴミゴミ度も負けてない。お菓子や得体の知れない乾物に調味料、果物、肉や野菜…ぐちゃぐちゃとひしめいていて狭い通路には強烈な臭いが漂い、足元はびちゃびちゃしている…猥雑なアジアの雑踏が好きな者にはたまらないであろう。

何を買う訳でもなく何を食べるでもなく、ビール1杯にバナナ一本だけで半日も潰せるハノイ旧市街。目的も無く街歩きを楽しみたい観光客にはおススメのエリアです。

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