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ロマン溢れるベトナム南北統一鉄道


南北に長~い国土を持つベトナムの南北統一鉄道は、北は首都ハノイから南は商都サイゴンまでの1,726Kmを結ぶベトナムの大動脈。辺り一面に広がる青々とした水田や深い緑に包まれた椰子林、白浜とコバルトブルーの海水が広がる東シナ海を見ながら列車は今日も走り続けています。ベトナム南北統一鉄道…名前を聞くだけでロマンを感じます。

今すぐにでも南北統一鉄道でのベトナム横断旅行に繰り出したいのだが、有給すら満足に取れない日本人サラリーマンとしての堅苦しい生活を抱えている自分にはどうしても時間が捻出できない…それでもせめてもの旅情を味わいたいと、南北統一鉄道の南の出発点、1,726Kmの旅の開始地点であるサイゴン駅に足を運んでみることにした。 土曜日の朝、タクシーに乗り込み『Saigon Train Station!』と伝えるも、何やらベトナム語で言い返される。突如のベトナム語攻撃に当惑している私をよそに更にベトナム語で捲し立てるドライバー。こっちがベトナム語ができない外国人と言うことを察していないのだろうか、尚もベトナム語で話しかけてくる。埒があかず、持っていた日本語フリーペーパーに載っている地図を指さす。すると、『ガァ~ サイゴ~ン』と頷く運転手。良く分からないが、『Yes,Yes』と言ってしまい、タクシーは出発する。『ガァ~ サイゴ~ン=サイゴン駅』なのかの確証は無かったが、私の不安をよそにタクシーは無事にサイゴン駅に到着。流石は信用のあるビナサンタクシーだ。


駅前の様子。どうやら『ガァ~ サイゴ~ン= Ga Sai Gon=サイゴン駅』で間違いないようだ。サイゴンの地名はベトナム戦争後にホーチミン市に改名されたが、鉄道の駅名にはサイゴンの名が残されている。それにしても人口700万をも誇る商都ホーチミンの駅にしては随分と小柄な駅舎で、人も疎ら。

ひだり みぎ
敷地内にやたらと粗大ゴミが散乱していると思ったが、これが車内預入れ荷物のようで、梱包袋の上に名前と駅名、電話番号が記載されている。故意に壊そうとしているのか?荷物の所有者に恨みがあるのか?と勘ぐってしまうくらい、落とす投げるは当たり前。余りに杜撰に扱われている様子を見ると、やはり粗大ゴミなのかもしれないな。


入口には旅情どころか場末感が漂う。


駅構内の壁にはもちろんホーチミンおじさんの肖像画が掲げられています。

ひだり みぎ
ベンチでは各々が横たわったり新聞読んだりと、電車の出発を待っている。時刻表を見ると次の鉄道は…13:10発。経済成長逞しい一国の商都サイゴンにある鉄道駅だが、何と一日に10本しか運行していないようだ。


こちらが時刻表。それぞれ停車駅と終点が異なるようで、北の最終地点ハノイまで達するのは計5本、ニャチャン、ダナン、フエなどの主要都市を駆け抜け、最短で29時間半、最長で41時間でサイゴン-ハノイ間を走り抜ける。


こちらは運賃表。値段は細かく『硬座』『硬座+エアコン』『軟座+エアコン』『各種寝台車』で分けれている。一番安い硬座の場合、ホーチミン⇒ハノイ間の1,726KmはVND 767,000(≒3,000円)。

時刻表などを眺めていると無性に南北統一鉄道とやらに乗ってみたくなった。次の発車予定は13:10発のSE22で、中部の古都フエまで丸一日をかけて走破する。明日のフライトで中国に戻る予定の為に流石にフエまではいけないが、次の停車駅Bian Huaあたりまでなら出られるのではないか。


思い立ったが吉日。即、チケットカウンターへ。『To Bian Hua 1 adult Please(にっこり) 』と告げると、ベトナム語で返される。ベトナムの人は何故だかベトナム語ができない相手にも容赦無くベトナム語で返答してくる節がある。先程のタクシーの運ちゃんもそうだったが、私はベトナム人に見えるのだろうか。言葉の壁をパントマイムばりの身振り手振りで何とか乗り切り、チケットの購入に成功。パスポートを持っていなかったので不安だったが、身分証などの提示は求められなかった。さて、後は鉄道の出発時間まで待つのみだ。Biah Huaなぞと言う街は聞いたことも無いが、逆にまだ見ぬ謎の小地方都市への想像が膨らんで心弾む。

出発まで30分もあるので駅舎内を探索しようと思ったその時、柱に備え付けられたおんぼろスピーカーからノイズ混じりのアナウンスが響き、大量の荷物を抱えた人々が一斉に動き出す。改札が始まったようだ。小生も人の波に乗り、プラットフォームへ。ホーム3面6線をもつ廃れた地上駅だ。

13:10発のSE22号は13:54にBiah Huaに到着する。Bian Huaがどんな場所かは分からないが、適当に街を見て歩き、遅くともまぁ夕方の列車で戻れば良いだろう。


旧ソ連製か?年季の入った車体だが、汚れで更に古めかしく見えている。ここサイゴン駅は始発であるが、車体が磨かれていない様子はありありと見て取れる。


さて、乗車券に記載のある第4車両、硬座27番シートを目指す。ベトナムらしからぬ爽やかなユニフォームに身を包んだ係員に乗車券を見せ、タラップを登る。

ひだり みぎ
社内に入ると天井からぶら下がった旧式の扇風機がグウィングウィンと唸りをあげ、その下で既に我先にと乗り込んだ乗客たちがワイワイガヤガヤと両脇に抱えていた荷物を上部の棚にねじ込んでいる。木製のシートは見るからにケツに宜しくない硬さのようだ。狭い通路で忙しなく動くベトナム人たちを掻き分け進み、我が27番シートに到達したのはいいのだが…

寝仏像かのような安眠具合で寝転がるおばちゃんに我が席を占拠されていた。ここまでぐっすりと寝られていては、起こすわけにはいかない。微動だにしない様子を見ると、息絶えているのかとすら思う。


周りを見渡すと、殆ど皆さんお眠り状態。上の写真をクリックして拡大して見てほしいのですが、床にゴザを敷いて座席の下の暗がりスペースで寝転がっているオバサンが二人もいる!日陰になっているので暗くて涼しいのは分かるが、犬や猫じゃあるまいし…

結局、同じ車両にあった他の空席に座ることに。そして、着席とほぼ同時、予定を20分近く遅れてSE22号は駅を出発した。発車の汽笛もなく、お見送りの人の姿も見かけない。長距離列車の旅立ちといった雰囲気は周りからは感じられなかった。

ひだり みぎ
1,038Km先のフエを目指してサイゴン駅を出発したSE22号は、線路ギリギリにまで迫った住宅密集地の間を抜け、家の中でトランプに興じる若者や食卓をせっとと片付けるおばあちゃんなど、車窓に備え付けられた投石避けの金網ごしに庶民の生活を覗き見ることができる。窓から吹き込む生ぬるい湿気含みの風が何とも気持ち良くない

隣のオジサンが大音量で流すベトナムポップスを否応無しに聞かされながら、暫し車窓の向こうの風景に見とれていると、検札員がやってきた。

私の席で安眠するおばちゃんのせいで、乗車券通りの席に座っていなかったが、検札員もその点は察知しているらしく、御咎め無し。すると今度は社内販売係2名が続けざまに飲食品をいっぱいに詰めた台車をガラガラと引いてやってきた。
ひだり みぎ
ヨーグルトやプリンなどのデザート系からカップラーメン、ベトナム風サンドイッチなどの軽食類、他には粽やお粥といった中華系も売られていた。この時ばかりはいったん起きて食事を摂ったベトナム人も、また皆様思い思いの恰好で寝始める。

列車は既にBian Hua(ビエンホア)に近づいているようで、外を見たらサイゴンとは明らかに景色が変わっている。
ひだり みぎ
川を越え、南国風な風景が広がった所で私も出張疲れからウトウトしていたら、係員に肩を叩かれ起こされた。『Bian Hua! Come!』どうやらもうすぐ到着するようだ。そして、14:20、電車はBian Huaに到着した。

ひだり みぎ
う~ん…予想を上回る辺境っぷり…ホーチミンへ戻る列車が来るまでどうしよう…

続く。

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コメント

  1. 飛田 紀美男 より:

    初めまして。いやー! 本当に面白いところですね! ホーチミンのバイク等で喧騒の町での駅を想像していたら、
    なんとも言えないローカル色を漂わせた駅がでてきたので。HCMCは数回行ったけれどもまだ鉄道の旅をしていなかった
    ので、片手落ちだったと反省しています。

    • admin より:

      飛田 紀美男様
      初めまして。コメントありがとうございます!
      地下鉄が建設中だったりと活況に沸くホーチミンですが、ちょいと離れたところにはまだまだローカル色むんむんの景色が広がっています。鉄道旅行というと何となく長旅のイメージですが、隣駅のビエンホアまでは30分程度ですので気軽に乗車体験することができますので次回は是非!ビエンホアの市内は見所が余りないですが(苦笑)